どんなパッケージで作るか

CDの体裁には市販品をみればわかる通り実に様々なケース・様式がありますが、ここでは以下、一般にもっとも普及している様式、あるいは実用的にもっとも「こなれた」様式にしぼって紹介します。精確に作れば当然、販売に供してもオカシくないものになります。

ジュエルケース(10mm厚)
マキシケース(7mm厚)
スリムケース/スーパースリムケース(5mm厚)
マルチケース(ダブルケース/10mm厚2Dタイプ)
トールケース・シングル/ダブル(DVD用とされているものを流用)
ショートトールケース・シングル/ダブル(10mm厚)
各種不織布スリープ

●ジュエルケース(10mm厚)
もっとも普及した、普通のケースです。蓋にあたる部分(リッド)、CDを嵌めて固定するトレイ部分、および底にあたる部分(ボトム)の3ピースで構成されています。


↑完成品。いわばケースうつぶせ状態

↑中身、開いて立ててみた。K-rec製品です。


●マキシケース(7mm厚)
CDを固定するトレイ(ボトム)と蓋部分(リッド)の2ピースでできた7mm厚の薄手のケース。10mm厚ケースに対して「スリムケース」と呼ばれることもあり、以下の5mm厚スリムケース(スーパースリムケース)と呼称上の混同する場合もあるようです。印刷物は一枚を折り返して背表紙部分と一体化したものを使うのが普通です。市販品としては一般的に収録時間の少ない〜いわゆるマキシシングルCDやミニアルバム等のケースとして用いらることが多いようです。


↑市販のマキシケース入りCD。(尊敬してやまない、金子由香利大先生の超銘盤「巴里の屋根の下」)


↑裏から見ると盤面がまる見えになります。レーベル面を見せるようにセットすることもできます。

↑さり気なく開いてみた


●スリムケース/スーパースリムケース(5mm厚)
CDを固定するトレイ(ボトム)と蓋(リッド)の2ピースでできたマキシケースよりさらに薄くできたケースです。マキシケース(別称=スリムケース)と混同するため「スーパースリムケース」とも呼ばれます。蓋(リッド)部分にはジュエルケースと同サイズのカード/ブックレットが装着できます。プラスチック自体も薄手で華奢にできており、パッケージソフト=単独の商品に使われることはあまりないようです。

ボトムが透明(半透明)のケースではケース裏から盤の記録面が透けて見えます。(イタズラっぽいデザインができそうです。)


●マルチケース(ダブルケース/10mm厚2Dタイプ)
ジュエルケースと同じ外形サイズでCDを2枚収納できます。蓋(リッド)と底(ボトムは)ジュエルケースと同等。印刷物も同サイズのものが使えます。CDを表裏に装着可能なトレー(ミドル)部分をもっているのが特徴です。2枚収容のマルチケースには他にもいくつかの形態がありますが、このタイプが事実上もっとも洗練された形状といえると思います。商品としては、2枚組としては比較的廉価な製品で使用されることが多いようです。
*マルチケースにはこのほかにも3〜4枚収納できるいろいろなタイプがあります。

参考↓ マルチケース10mm厚3枚用タイプ

←いわゆるバックインレイは入りません。盤面に写っているのは私の手とカメラです。

通常ケースと同じ10mm厚ながら3枚収納可能なケースです。あまり売っていませんし、非常に割高です。最近作った例があるので載せてみました。何故か、ミッド・トレイが黒のものしか見たことがありません。


●トールケース(DVD用を流用/アマレイサイズ*)

最近は各種ケースへのCD/DVD相互乗り入れ?するケースが(シャレです)増えているようで、ケースへのCD、ないしDVDのロゴの刻印がないタイプに、モデルチェンジが進んでいます。

↑一般的なDVDソフトでみられる縦長のケースです。ポリプロピレン系の柔軟性のある樹脂で整形され、プラスチックケースのように割れることがありません。左側にはブックレットを挟めるクリップが付いています。盤自体にテンションをかけずにトレーから脱着出来るロック(ポップアップ)機構をもっています。
*この手の、カドが丸いケースはアマレイタイプと呼ばれており、他にワーナータイプと称される、装丁された本を象った、4スミの角ばったケース(中の構造はほぼおなじ)もあります。

←クリップ部分

←ロック機構の一例。PUSHの部分を押すとディスクがはずれ、ぴよんとポップアップ、します。(この仕掛けについてはじつに様々な機構が考案されており、コレクションしてみたくなるほどです)

↑ケースの外周にはブックカバーのような感じでビニールが張られており(ビデオのハードケースと同じ)ジャケットを挟めます。最低限の付随印刷物はジャケット1枚で済みます。しかもジャケットには折りやミシン目を入れるなどの(細密な)加工の必要がなく、CDのケースより遥かに少ない工数で作成でき、出来上がりも悪く有りません。特にこだわった体裁にする必要もなければ、メモ書きでも何でもパッと挟むだけで、それなりに格好がついてしまうのが何とも結構です。ケースは多少割高ですが手間を考えると非常に安上がりでオススメです。2枚〜6枚収納できるタイプもあります。

↑ダブルのケース。ブックレット等は真ん中のクリップ部分に挟めるようになっています。

*このところ、上記アマレイ・サイズの厚み15mmに対して、薄手〜厚み7mmのケースが見受けられるようになりました。ちょっといいかもしれません。

現在、市販されている音楽CDソフトのパッケージに用いられてはいませんが、付随印刷物が作りやすく扱いも容易なため、自主制作ものを先導に、CDへの転用は急速に進むと考えられます。


●ショートトールケース/シングル・ダブル(10mm厚半透明ポリプロピレン製)

実態からしてDVDトールケースの、上下の余分な部分を切り詰めたものなので、当方では勝手にショートトールケースと呼んでいます。標準的CDケースと同じ10mm厚です。同じ外寸サイズで4枚収納タイプもあるようです。(4枚収納タイプを資財として販売しているところがあったら教えてほしいです)



↑DVDケース同様、ブックカバー状に透明ビニールが張ってあり、ジャケット等をはさめるようになっています。本体の金型が共通で、CDのホールド部の金型を入れ子にして1枚入りから4枚入りまで作っているようです。



↑ケースにただディスクを入れただけの状態


↑ディスクの軸受け部。PUSHと刻印のあるところを押して外します。ポップアップはしません。



↑ディスクを外した状態。材質が半透明のPPなので、はさんだジャケットの裏側の印刷が、ケースの内側からちゃんと読めます。


↑見開き左側。ブックレット等がはさめるように、かわいい爪が2箇所ついています。

←右が市販のCD
↑商用CDとの比較。背表紙は背キャップをつけた状態です。視認性では微妙に一歩譲りますが、特段見劣りはしません。


↑裏表紙、下が従来のケース。


大変重要なこと。従来の3種類分の印刷物が、このケースでは1枚で用が足りてしまいます。ジャケット裏へのデザインもできますし、中には従来型のブックレットも入れられ、割れず、傷つきにくく、敢えてOPP袋に入れなくても厚手の透明ブックカバーを装着したような質感があり、きわめて生産性、実用性の高いケースと言えます。


こちらは2枚入りタイプ。カバージャケットと分離して〜写真とってみました。


内側にブックレットを挟むツメはありません。


●不織布スリープ
オマケや配布用の、最低限の包装が必要な時に用いられます。透明OPPフィルムと不織布のものが主流ですが、透明部分がPP(ポリプロピレン)のものもあります。PP製は端が折れず、ディスクに張り付かず、個人的に愛用しています。

 

←写真は透明OPP製のもの。

↑書籍への添付に用いる裏面に粘着テープのついたタイプ。製品としては1枚入とされていますが、何かに貼付けなければ現実には(不織布を挟んで)2枚入れられます。

貼付け状態では、赤いティアテープ部分でフィルムを切除してディスクを取り出します。

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