CD付随の紙印刷物(ジャケット等)の製作


●基本的には紙と鉛筆・・・
があればできるわけですが同じものをいくつも作る場合、より本格的なものを作りたい場合はパソコンやプリンターなどあった方が便利です。
ソフトは何でもいいわけですが、CD-R(W)ドライブがはじめから付いているメーカー製パソコン、また盤面印刷機能つきのプリンターには、盤面やジャケット印刷に特化したレイアウトソフトがバンドルされていることがありますので、チェックしてみるとよいと思います。サプライ品の盤面ラベル/ジャケット用紙に同主旨のソフトが同梱セットになって売られているのを見たこともあります。手軽にできて良いかもしれません。
またアイデア次第で、特殊な紙を使ったり、プリントゴッコやカラーコピー、版画、謄写版、芋版など、様々な資材を駆使して市販品にはないものを工夫するのも面白いと思います。

●市販品と同等の印刷物を作りたい場合
市販品の付随印刷物は、特殊なものを除いてはオフセット印刷で作られています。しかしオフセット印刷は印刷工場を稼働しなければならないので、少枚数では事実上無理です。オフセットと同等品質でより少ロットに対応出来る、オンデマンド印刷機というのもありますが、印刷業者に出さなくてはならないことには変わりありません。したがって現状(家庭)でオフセット印刷と同等の印刷品質を得るにはアルプス電気のマイクロドライ・プロセスを採用したプリンタしかないと考えます。これはデザイナーが、オフセット印刷で量産することを前提とした製品の試作品や見本品を作る時に使うプリンターで、当然、オフセット印刷にかなり近い印刷品質をもっています。
印刷は極めて遅く、見映え上の印刷品質は最新のインクジェット機にはぜんぜん及びませんが、インクジェット印刷では実現できない様々な特性から、当方でも採用しています。市販量産品=オフセット印刷と同じコート紙に印刷できるため「インクジェット=アマチュア作品」という印象から脱却できます。
よく百貨店や人の集まるところで、手持ちの携帯電話にその場で印刷したフルカラーのフィルムを貼付けて装飾をしてくれるワゴン店「きがえTel」「Yum」等がありますが、それもこの種のプリンター(ALPS電気/MD-5500)を使っています。(携帯に貼付けている伸縮性のあるフィルムは市販してないそうです)

ALPS/MD-5500  52,300円(機械本体はメーカー直販/通販でしか買えません。完全なる正価販売が実現しています!)
参照→アルプス電気


盤面印刷に必要なもの


現在、盤面印刷の方法として、私の知る限り以下の9種類があります。それぞれの特徴について述べます。

印刷適性
手書き 注1)
カシオタイトルプリンター 注2)
シール貼付け 注3)
盤面印刷対応インクジェットプリンター 注4)
シルク印刷 注5)
オフセット印刷 注6)
リコー電子写真方式 注7)
昇華型(熱転写)方式 注8)
PIQUA
<コピレタ>
注9
メーカーロゴ入り盤
 注イ)
○/△
×/△
×
×
?
プリンタブル盤
 注ロ)
×
×/△
×
無地盤
 注ハ)
○/△
×/△
×
(専用盤?)
(専用盤?)

○=適当 △=チャレンジ ×=うまくいきません ?=不明


各種、盤の特徴

注イ)(一般名称)メーカーロゴ入り盤
普通に売っている、メーカーのロゴをはじめとする最低限(?)の品質表示がなされた盤です。デザインは各社各様です。インクジェット以外、様々な印刷が施せます。

注ロ)プリンタブル盤
盤の表面にインクを吸着する層があり、インクジェットの用紙と同じように微妙にマット感があります。白の盤が多いですが、シルバーや薄いカラーの盤もあります。各メーカーによって微妙に処理の性質が違うので、プリンターとの相性があります。

注ハ)無地盤
無地にも、微妙に梨地になった曇りのある盤と、完全にツルッツルキッラキラの鏡面のものがあります。インクジェット以外、様々な印刷が可能です。品位、耐久性からも熱転写やシルク印刷が好適です。

参照→K-recのオリジナルCD工房


各種、印刷方式の特徴

注1)手書き 
チップの柔らかい筆記具を使わないと反射面をヤッてしまいます。プリンタブル盤の場合水性インクも油性インクも使えますが、非常に吸収性のよい処理がされているので、ものによっては激しく滲んでしまいます。専用のペンを使えば間違いないと思います。

注2)カシオ/タイトルプリンター(熱転写式)
カシオのHPに対応する(転写のノリの良い)盤・銘柄のリストがあります。文字などたいへん奇麗に印刷できますが、ジャギーが目立ちます。盤面印刷ではなく「タイトルプリンター」と謳っているだけに、印刷できる領域に「えぇ〜」というくらい制約があります。メーカーのロゴ入り盤の余白に印刷するのが、実用的です。使う人が増えればカシオもより高機能のものを出してくるでしょう。
←CASIO/CW-50 15,800円 カワイイ機械ですね。

参照→カシオ計算機

注3)インクジェット・ラベル張り付け 
専用のラベルと貼付け治具が売られています。印刷品質はインクジェット専用紙とほぼ同等と思います。最近では内周方向に印刷領域の拡大されたラベルもあるようです。盤のメーカーでは専用のラベルであれ部分的な貼付けであれ、貼りものはすべて禁止事項となっています。しかし実際上、上手に貼れていれば、貼付け当初は問題ない(ことも多い)ため、使用されています。専用の治具をつかわないと奇麗には貼れません。
他に見栄えの良い方式が普及していく中にありながら、とっつきやすさと、インクジェットのダイレクトプリントで失敗した時、上から貼ってリカバーできるためなかなか重宝されているようです。市場では新しい色やサイズ、材質等を使った新種のラベルがどんどん売り出されています。
CDらべる←貼付け治具とセットの商品の一種です。

注4)盤面印刷対応型インクジェットプリンター 
使える盤はいわゆるプリンタブル盤に限られます。プリンタブル盤にも様々な種類があるので、プリンターと相性の良い盤と組み合わせれば非常に美しい写真画質フルカラー印刷が可能です。高温多湿の日本の気候で、写真やグラデーションなどの印刷品位が何年維持できるのか疑問はありますが、使う人が多いのでプリンター・盤ともに、今後も改良が重ねられていくと考えられます。
インクの吸着が良いということは、汗や手垢、油脂の吸着も良い理屈で、インク乗りの良い盤=汚れやすい盤、ということが言えると思います。湿気の多い時など、盤によっては表面がネバついたりします。各メーカーもより光沢感をもったプリンタブル盤の開発をしているようですが、本当の鏡面のものはまだ開発されていないようです。
K-recでは、シルク印刷の技術をもちい、インクジェット面を紫外線硬化型のクリヤーインクで全面コーティングして、高級感と耐久性を持たせています

→PM870/EPSON 29,800円
上の機種はだいぶ前の型になりますが。現在ではほとんんどの機種がCD/DVDレーベル印刷対応になっています。
家庭用CDレーベルプリンターはこのほかにCanonの製品が主力となっています。

注5)シルク印刷 
市販CD同様、CD-Rに最も適した印刷方式です。インク厚く、盛り上がったように印刷できるのが特徴です。鏡面無地の盤に印刷出来るため、発色もよく、洗練された美しい盤面デザインが可能です。故に、高度な技量をもったデザイナーが好む印刷方式でもあります。イニシャルコストが高い反面、大量に作れば劇的に単価が下がるため、一般には市販・大量生産に適しているとされています。事実上、自主制作等ごく少数の生産では無理な印刷方式と思われていますが、K-recでは最小ロット〜のない手作業での印刷を実現しています。  参照→オリジナルCD工房見学コース

当方の工房で印刷したサンプル品です。上は文字、下はベタ(抜き文字)です。他の印刷にはない(手仕事の)味わいがあります。

注6)オフセット印刷
市販の量販/大量配布CDで、フルカラーの盤があったらこれです。紙媒体へのオフセット印刷同様、基本的に4色の各色の網点でカラーを表現します。印刷機械(工場)を稼働しないとできません。

注7)リコー電子写真方式 
いわゆるレーザープリンターをCD専用にしたもので、一部の業者が導入しています。フルカラー印刷が可能で、WEB上で見たサンプルではオフセット印刷よりも精細で、発色もたいへん良く見受けられました。単色ベタ(部分)の印刷にムラができるようで、リコーでは既にこの種のプリンターの製造販売を終了しています。

注8)昇華型(熱転写)型
大変高価な業務用製品になりますが、この方式のプリンターが輸入され、一部の業者で採用されているようです。非常に発色の良いフルカラーが印刷できるようです。印刷機構部分はアルプス電気(技術的にはマイクロドライプリント)が供給しているといわれています。原理的にも保存耐久性、耐汚損退色性ともインクジェットより優位と考えられます。印刷特性としては、単色ベタ部分にムラができやすいようです。〜というか、ピカピカの盤に印刷するために紙への印刷では問題にならないようなムラが、顕在化してしまうものと思われます。基本的に専用メディアへの印刷が前提の方式ですが、新しい機種では白インクによる印刷、ならびに一般流通の(インクジェット・プリンタブルではない)無地盤への印刷が可能になっているようです。

注9)PIQUA<コピレタ>
(有)ピクア様の開発による特殊な転写紙=コピレタシートを利用した印刷方式。詳しくは(有)ピクア様のサイトを参照ください。

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