The Brilliant Green |
■Biography ブリグリの名で親しまれる彼らは OASISのDon't Look Back In Angerそっくりの曲で彗星のごとく J-POPシーンに現れたロックバンド。楽器オタクっぽい 宅録系の男二人が、その辺をぶらぶらしていた 勘違い系の小生意気な女(川瀬智子)をボーカルに誘って結成された(多分)。 その後川瀬は自らをTOMMYと名付け(女なのに。)今風の洋服で着飾り、 ティーンエイジャーから絶大な支持を受けることになる。 結果、バンドも一発屋で終ることなく、それなりに安定した位置につけ 現在も順調に活動している。2002年にはTOMMYさんがトミーフェブラリー名義で ソロデビューアルバムを発表。 ■The Brilliant Green/The Brilliant Green (1998) 01 I'm in heaven 02 冷たい花 03 You & I 04 always and always 05 stand by 06 magic place 07 "I" 08 baby london star 09 there will be love there 10 rock'n roll 彼らの記念すべきファーストアルバム。非常にUKぽい曲もあれば、 そうでもない曲もあり、かといって彼らの本筋が見えるわけでもない 微妙な作品で、最初から最後まで統一感がない。それは歌詞が日本語だとか 英語だとかそういう問題ではなく、いったい彼らがロックバンドとして 何を表現したいのか全く見えてこない。かといって曲がすばらしいかと いえば、これまた微妙で、音が良いわけでもない。何曲か打ち込みドラム のデモがそのまま収録されているのも最悪で、本当にアルバム制作時間が なかったんだなぁこんな納得のいかないものを発表しなくてはいけない なんて可哀相だと同情します。 まぁ、とはいってもそんなに悪いアルバムじゃないんですわ。 01のパワフルなベースラインと佐野康夫の天才的なドラムはひたすら 心地よいし、全体的にポップでキャッチーな佳曲がつまってます。 UKロックにこういうロリっぽい舌足らず系ボーカルがのってるって、 それだけでもう新しかったですからね。この子にこの曲歌わせた地点で 彼らの勝ちなんですよ。 川瀬智子の歌は上手いか下手か、ってよく議論されてますけど、 そんなことどうだって良いんですよ。いやいや、ど下手ですけどね、 下手なほうが良いんです。聞き手が感情移入できますから。 英語の発音も色々いわれてますけど、洋楽沢山聞いてきただけあって それっぽい歌い方は出来てると思います。これ以上上手く歌うなら 英語のレッスンが必要になるね。そんなところで良いですか。 というわけで、彼らの作品としては未完成で適当なこのファーストは 個人的にあまり良い事いえないんだけど、どの作品を一番きいたか、と 聴かれればこのアルバムだったりするわけで。冷たい花とか、ほんと 好きでしたから。(B) ■terra 2001/The Brilliant Green (1999) 01 Bye!My Boy! 02 愛の愛の星 03 brownie the cat 04 call my name 05 maybe we could go back to then 06 september rain 07 funny girlfriend 08 Round and Round 09 そのスピードで 10 can't stop cryin' 11 長いため息のように 1999年に発表のセカンドアルバムは、彼らの事実上のファーストアルバムと 呼びたい、前作での問題点が見事に解決された傑作となった。 つまり、音質の向上と統一感である。前作では適当にアンプに つっこんでいるとしか思えなかったギターやベースの音もずいぶん 向上し、分厚く音抜けが良くなった。全体的に 前作よりも曲の幅が広がったにもかかわらず統一感が生まれたのは 間違いなくドラマーが佐野康夫に固定され、彼の生み出す グルーヴが全体を包んでいるからだ。彼のドラムは(実際に生演奏の ライブでも確認しているが)楽曲にポップな息吹を与え、ジャズ〜 フュージョン的な否ロックプレイヤーにしか出来ない斬新な音を どんどん繰り出して聞き手を魅了する。シングルとなった04のイントロの ドラムソロを聞けばそれは明白であろう。先に シングルとして発表済みであった09と11のみ、ドラマーが違うという 事もあってアルバムの中で少々ういてしまっているのが唯一の難点か。 前作のレビューで『彼らが何をやりたいのか全く見えてこない』と 書いたが、それはこのセカンドも同じであり、逆にそれが自分に 答えを見せてくれた。つまり、彼らは何かしたいわけではない、と いう事。音楽的に斬新なものを生み出したいわけでもなければ、似非UKや 似非USロックをやりたいわけでもない。単純に、色々やってみたい だけなのではないだろうか。普段から色々な音楽を聞いていて、なんとなく ギターをとって曲を作る。プレイヤーというよりリスナー的な志向を 僕はこのバンドに感じた。だからこそ何でも出来る。やりたい事なんて 絞れている必要ない、川瀬智子が歌えばすべてJ-POPなんだから。 だったらやりたい事をなんでもやってしまおう。そんな感じじゃ ないだろうか。 だからこそ01や02のような曲を突然発表しても違和感なくはまって しまう。この驚異的な腰の軽さは、このJ-POPシーンにおいては 非常に良く作用していると思う。The Brilliant Greenとは一体 何なのか。このアルバムが一番それを表しているのではないだろうか。 間違いなく最高傑作。(S) ■Los Angeles/The Brilliant Green (2001) 01 The Lucky Star☆☆☆ 02 yeah I want you baby 03 angel song 04 サヨナラ summer is over 05 ヒドイ雨 06 ☆falling star in your eyes 07 It's up to you! 08 黒い翼 09 Los Angeles 10 Hello another way 11 I can hold your hand baby 2001年元旦に発売された、現地点での最新作。アルバム2枚も 作ってようやくレコーディングに関する知識も興味も増えてきたのか、 これまでの2作と違い、かなり作りこんでます。アルバム全体に 変なリバーブが強烈にかけられているんです。ギターやベースの音は アルバムを重ねるごとにどんどん分厚くなって、今作での威力は 目を見張るんですけど、ドラムとボーカルに強烈にかけられた エフェクトが個人的に非常にいただけない。軽快なリズムの グルーヴがそがれ、打ち込みみたいなデジタル化してます。 ボーカルも風呂場で歌ってるみたい。 楽曲そのものは今までと変わらずで、全体的にメロウな曲が増えた 感じなんですが、めいっぱいかけられたエフェクトのおかげで 良くも悪くもこのアルバムにしかない雰囲気で完成されています。 たしかにメロウな曲をこういう音で仕上げるのは今までになかった 事だし、良く機能している部分はある。だけどポップで激しい曲まで こう仕上げてしまうと勢いを完全に殺してしまっているように 感じるんだよね。 全曲日本詞だ!ってんで話題にもなったらしいですけど、まぁ そんな事はどうでも良くって。 音にたいする拘りがこういう形に出てきたって事で、もしかしたら 今後彼らはどんどんデジタル志向を強めていくのかもしれない。 そもそも元々腰の軽いバンドだって事を忘れていたけど彼らが今 エレクトロニカになったって全然不思議な事じゃないんだよね。 これからの彼らの進む道を示しているのかもしれない問題作と いえるのではないでしょうか。(A) ■tommy february6/tommy february6 (2002) 01 T.O.M.M.Y. 02 Everyday at the bus stop 03 トミーフェブラッテ、マカロン。 04 bloomin'! 05 Hey Bad Boy 06 Kiss One More Time 07 Where are you? "My Hero" 08 walk away from you my babe 09 恋は眠らない 10 can't take my eyes off of you 11 I'll be your angel 12 Candy Pop In Love Tommy February 6って名前はどうなのよ、って思っているうちに トミフェブとかいわれ始めて気付いたらバッチリ聴きまくってた トミー・フェブラリーの最初で最後のアルバム。 元々雑誌やテレビじゃその強気な勘違いキャラを縦横無尽に見せつけて きた川瀬智子さんですが、やっぱり音源じゃあ許されたスペースは ボーカルのみなわけで。じゃあ彼女がソロやったらどうなるんだって 想像もつかなかったわけですが、まさかこういった形でくるとは。 元々シングル単発の予定だったのが、思ったより売れたんで どんどんアルバムまで発表しちゃった、みたいな話をどっかで 聞いたような気がしますが、そんな偶然から生まれたアルバムは スゲエの一言です。 音楽性は、いわゆる80年代ポップスです。シンセがキラキラひかり、 打ち込みベースとドラム、過剰にほどこされる煌びやかなアレンジ。 勿論80年代の音楽が今クールなものとして蘇りつつある事は 音楽好きなら誰でも知ってることだと思うんですけど、元々 もっていた彼女の『インチキ臭さ』と、80年代ポップスの 作りこまれた『インチキ臭さ』がばっちりドッキングしちゃったんです、 コレ。川瀬智子の怪しい英語まじりの歌詞も、それを歌う 彼女の声も歌い方も、ついでにもう27歳を迎える彼女(でもXガールとか 好き)そのものの、インチキ臭さ。そんな彼女は元々80年代ポップスと 素晴らしく相性が良かったわけなんですよ。 だからこそこのアルバムは孤高の輝きを放っています。 踊りに集中したいから(というほど難しい踊りではないのだけど) 口パクで歌ったと堂々と発言する川瀬智子さんが僕にはとても 印象的でした。シングルの3曲だけでなく、お馴染みカバーの10など 1曲1曲のクオリティも素晴らしいので最後まで非常に楽しんで聞ける この作品、僕の2002年度ベストアルバムの一つになりそうです。 (S) 追伸:作曲プロデュースを手がけるMalibu Convertibleとは、 The Brilliant Greenリーダー奥田を中心とするチームらしいので、 事実上ブリの別ユニットと言えるのではないでしょうか。 |