理科実験を楽しむ会
もっぱら ものから まなぶ石井信也と赤城の仲間たち 
高校生の物理   音と振動   (1)ものを叩いて A-2  No315   2011年9月8日(木)
 
一平 ぼくの部屋の蛍光灯がうなってやかましいんです。あればどうしてなんですか。(今ではこのようなことはないでしょうが。 2011年記)
和美 きれかかっているからでしょ。切れて捨てられた蛍光灯の中から水銀が出たんですって! 一平さん、切れた蛍光灯をやたらに捨てちゃだめよ。
一平 ?!
先生 電池や蛍光灯が問題になっているが、それは、また論じることにして、今日は音の話をすることになっているので、一平くんの問題に戻ろう。
一平 交流は50サイクルの振動をしているっていうんだけど、電気が振動したって音にはならないんでしょ。
和美 でも、トランスが唸っていることもあるし、電熱器だってスイッチをいれたときにはうなるわよね。
先生 そうだね。そのうち電気の学習をやるとわかるようになるが、同じ向きに電流が流れている導線は引き合うんだ。だから、コイルの隣り合っている導線の部分は、電流が流れているときには引き合い、電流が0になるとコイルの弾性で元に戻る。この繰り返しでコイルが振動して音が出るのだ。
一平 じゃあ、あの音は振動数が50サイクルなんだ。(関東でのこと)
先生 いや、違う。100サイクルだ。交流の電流のグラフで考えてごらん。
一平 ああ、そうか。電流の山のところで引き合い、0の所で戻り、谷のところで引き合うんだ。
和美 だけど、電熱器が熱くなると音がとまっちゃうのよ。
先生 熱せられて、コイルの弾性が弱くなってしまうんじゃないか。
一平 なるほど。トランスや蛍光灯も同じようなもんですね。
先生 一平くんがいい問題を出してくれたので、ここから話を進めよう。振動には大きく分けて、二つあると考えるとよい。電子の振動とものの振動だ。
一平 交流っていうのは電気の振動なんですね。ばね振り子はものの振動だ。
和美 先生、振動っていっても、とまっている振動と、動いていく振動、があるんじゃないですか。
一平 エッ、それどういう意味?
和美 例えば、音の場合には、その止まっている振動が空気を伝わっていくでしょ。電気だって、例えば電話機の中の電子が振動が、空間を伝わって行くでしょ。
一平 前のやつが音で、後のやつが電波なんだ。
先生 そうそう。まとめて書いてみると、 ものの振動:音波(弾性波)    電気の振動:電波(電磁波)
一平 それじゃあ、ものが振動してその振動が伝わって来れば音として聞こえるってことで、逆に、考えれば、音が聞こえたらどこかで何かが振動しているっていうことだ。
先生 ただ、人間の耳にすべての弾性振動が音として感じるわけではないぞ。
和美 それは学校で習いました。
先生 それじゃあ、学校で習った音の基本的なことを復習してみよう。
和美 音の高低は振動数で決まり、振動数が大きいと高い音、振動数が小さいと低い音になります。人間の耳に聞こえるのは、20サイクルから数千サイクルまで。
一平 音の大小が振動の振幅の大きさで決まる。
和美 高い低い、大きい小さい、のほかに、音には質の違いがあって、アとイの違い、バイオリンとピアノの違い、先生と一平さんの声の違いなどは音の波の波形で違います。
先生 この3つを音の3要素というんだった。まだあるかな。
一平 速さは空気中で毎秒340m。
和美 音は波だから振動の一般的は性質が当てはまります。
先生 例えば?
和美 直進、反射、屈折、干渉、回折、共振、…
先生 よく知っているね。
和美 教科書に書いてあることは一応覚えるけど、それと日常生活で出てくる音とがつながらないんです。それを知りたくてここへ来るんですから…
先生 物理を学んでも自然が見えて来ないとつまらないものね。
和美 理論の枝に花が咲く、とでもいいましょういか。
一平 ちょっと、格好良過ぎるんじゃない。
先生 よしよし、では、話に花でも咲かせますか。では、発音体にどんなものがあるか、言ってもらおうか。
和美 弦でしょう、膜でしょう、棒でしょう、板でしょう、…
一平 気柱もそうじゃない。
先生 楽器で言えば…
和美 弦はバイオリン、チェロ、コントラバス、ギター、バンジョウ、ハープ、それにピアノ、しゃみせん、琴、
一平 膜は、太鼓、
和美 棒は、シロフォン、トライアングル、拍子木、音叉。板は棒と同じかしら?
一平 気柱は、トランペット、トロンボーン、管楽器ってみんな、そうじゃないかな。
和美 管楽器って口にいうけど、木管と金管とでは発音体が違うんじゃない。クラリネットはリードがないんでしょ。発音体は薄い板なんでしょ。それが気柱を共鳴させる。
一平 そういえば、トランペットなんかは唇が振動するだってね。
和美 唇は膜みたいなものかしら。口をほとんど閉じて、その少しの隙間から息を強く吹き出させると唇は膜みたいに振動するのがわかるわよ。
一平 声帯っていうのも膜なんですね。
先生 穴あきの膜といったところかな。紙を折って穴をあけて鳴らしたことあるかな。声帯のモデルになるね。
和美 オルガンもリードなんですね。
一平 知っているよ。学校に壊れたオルガンがあって、中を見たんだ。長方形の穴に同じ形の弁がついていて、片側が固定されている。
和美 舌がついているんです。
先生 葦で作ってごらん。簡単にできるよ。
一平 先生、今考えたけど、どんなものでも発音体なれますよね。
先生 そうだよ。すべてのものが発音体になれる。こういう言い方が大切なんだ。“すべてのものが何々だ” という言い方ね。そして、すべてのものが、特有の音色をもつが、その振動数も決まっているんだ。固有振動数というね。それは物体の性質を反映している。
一平 ものを叩いてみると、そのものの性質がわかるっていうわけ。西瓜なんか叩いてみて、その音で見分けるんだよね。
和美 お医者さんは打診するんですね。
先生 叩いて高い音が出たら…
和美 そのものが固いとか、しまっているとか。
一平 高い音が出るのは弦や棒が短いときですよね。管も長さが短いとき…。
和美 弦や膜はピンと張られているとき。
先生 少し具体的な例をあげてみようか。
一平 この間、テレビで氷壁という映画を見たんだけど、岩にハーケンを打ち込んでいくと、だんだん音が高くなていくんですネ。
先生 そうそう。そうなることをハーケンがうたう、というんだ。
和美 声楽家でもソプラノやテノールの人は比較的細かったり小さかったりすることが多いんじゃないすか。逆に、アルトやベースの人は体格が豊かで…
先生 傾向としてはいえそうだね。
一平 スピーカーも低音用のは大きくて、高音用のは小さい。
和美 歌を歌うとき、高い音は固い頭の骨に響かせ、低い音はやわらかい胸に響かせる、といいますね。
一平 壁に釘を打つとき、金つちで叩いてみると、壁の裏に桟が入っているところがわかるので、そういうところを探して打つんですね。
先生 黒部のトンネルを両側から堀り進んできて、貫通間近になるとドリルの音が変わるというところが、小説には感動的に書かれているんだ。
和美 蛙や虫や鳥の声を聞いてその大きさを想像するなんていうのいいわね。
先生 なかなか。ではここでクイズを一題。ゴムひもを両手で持って引っ張っていくと音の高さはどうなるかな。
和美 弦を引くんだから、音は高くなります。
先生 ウフフフ。ひっかかったね。張力は大きくなったんだが、長さも長くなった。密度も変わって、トータルとしてはあまり高さは変わらないことになる。やってごらん。
和美 アラ!ほんとだ。
先生 同じ弦楽器でもバンジョウとハープでは音の質が違うね。
和美 ええ。バンジョウは固いかさかさした音だけど、ハープはソフトですよね。
一平 それは何によるんですか。
先生 高調波の含まれる割合による。基本振動は同じでも、バンジョウは倍振動が、つまり、振動数が2倍、3倍などの音がたくさん含まれている。演奏する時にもそのように演奏する。つまり、かたい爪でつま弾く。ハープは倍振動が少なく、演奏者は指の腹でやわらかく奏でる。
和美 微妙なんですね。他の楽器の場合でも、それぞれの演奏家にはそれぞれの音があるっていいですね。
先生 ものを叩くとき、その響きを長く保ちたいといには、工夫が要る。振動が物体の支持台に吸収されないように糸に吊すとか、ナイフエッジの台に載せるとか、布団に座らせるとか、適当な柄をつけるとか、…
和美 国語で漁鼓(ギョク)というのを習いました。禅寺で魚の形をした板を叩いて食事の知らせをするといいますけが、紐で吊してあります。
一平 仏様の鐘は布団に座っているんですね。
和美 音叉には柄がついているからよく響くのかしら。
一平 かんかん石は紐で吊して叩くと金属のような音がします。
先生 何しろ、どんなものでも音を出すのだから、何でも鳴らしてみたいね。“ザンギリ頭を叩いてみれば文明開化の音がする”という唄があるけれど、“ものを叩いてその性質を知ろう”ということを流行らせたいね。
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