理科実験を楽しむ会
高校生の物理 重さ2   重さと元気    M-91 No286   2011年5月26日(木)

先生 物理っていうのは文字通り物(もの)の理(ことわり)なんだけど、ものって何だと思うかな?
一平 ものっていう名前がついているものでしょう。
和美 禅問答みたい。
先生 では、ものという言葉をあげてごらん。
和美 食物、着物、建物、なんていうのでいいのですか。
先生 そうそう。このようにいうと、私たちの身の回りにある生活に関するものが、ほとんど出てきてしまうね。
和美 もっと詳しく言うと、食物には、煮もの、焼きもの、蒸しもの、揚げもの、飲み物、漬けもの、和え物、なんていろいろあるし…
先生 料理の仕方で分けた言い方だね。
和美 着物を身につけるものと考えれば、靴やスリッパは履き物というし、帽子やヘルメットはかぶり物というし…
一平 夏に着るものは夏物、冬に着るものは冬物。
先生 建物でもそのように言えるかな。
和美 床に敷く敷物くらいかしら。
一平  建物ではないけど、家の中にあるものでは、瀬戸物、金物なんて、材料の種類で言うのもあるよ。
和美 掛け物、置物なんて、それがある状態でいうのもあるし…
一平 別の考え方をしてみます。ものを物(ぶつ)と読んでもいいですか。
先生  いいことにしよう。意味は同じことだからね。
一平 それでは、動物、植物、鉱物。
和美 このように分けると、世界がの全部が入っちゃうことになりそうに思えます。万物という言い方もあんるだし。でも、人間も生物なので、私もものになってしまうの、なんだか 
    いやだね。      
一平 そうだけど、だからといって、ものでなければ、なおさら、おかしなことになっちゃうよ。
先生 生物については、特殊なものということで、また後で考えることにしよう。
和美  当分「もの」にしておくというんでしょ。
先生 そうそう。さて、このように見てくると、どういう条件があればものだと言えるか、が見えてくるかな。
和美 目に見えること。
一平 手で触って手ごたえがあること。
和美 ということは、形があるっていうこと? それじゃあ、固体なみんなものだ。
一平 そういうことかな。飲み物という言葉があるんだから、液体でもいいみたい。液体だって見えるし、手ごたえがあるし…
先生 それでは、ものでないものを言ってごらん。
和美 その言い方って変ですよね。ものでないものなんて…
一平  矛盾って言うんでしょ。
先生 そうか。それでは、ものでない例をあげてみよう、と言い直そう。
一平 すぐには考えつかないけど、電気とか?
和美 エネルギーなんていうのはどうですか?
先生 エネルギーというのは、無理に日本語に訳すと<元気>みたいな意味だよ。
和美 なんだか、言葉に<気>のつくのは、ものでないような感じですね。
先生 それでは、気のつく言葉をあげてみようか。
一平 電気、元気、の他では、空気、湿気、病気、雰囲気、…
和美 人の性質で、気長、 気短、もそうかな。気短はひっくり返して短気という言い方もあるし。陽気や、陰気もあるしね。
一平 しらけの<け>も気なのでしょ。白気って書くのかな。
和美 お化けの<け>もそうですか?
先生 昔の物語では<もののけ>というのが盛んに出てくる。
和美 物の怪という言い方には、ものがあると、そのものに気(け)が入っているように思えますが。
一平 その気だけが、ものから離れて、ふわっと出て来るんだ。
和美 このように言ってみると、目には見えないものを気という言葉で表しているみたいです。
一平 見えないものではなくて、みえないことを言うんじゃないかな。
先生 ものの性質を気という言葉で表すことと、空気のように気体のものを表すことがあるようだね。
一平 空気を袋に入れれば触ることができるけど、元気や白気は触れないね。
和美 湿気は冷やせば水になるからはっきりものだといえるけど、 雰囲気なんていうのは、ものではなくて、ムードでしょ。
先生 こう見てくると、ものの性質を<気>という言葉で表そうとしていることがわかるね。子どもは元気がなくなるとおとなしくなってしまうし、湯は熱気が失われると冷えるし、朱塗             
    りの建物は色気が飛んでしまうと色あせてしまうし、人から生気が離れると死んでしまうし…。その生気が身体から独立して出てくると、お化けになったり、もののけになった
    して…。それでは、これまでのことを、まとめてごらん。
一平 見えて、触れればものです。
和美 固体や液体の状態になれればものです。気という名前でも冷やして液体になればものだといえます。
一平 見えないものを気といいましたが、そのなかで、空気のようい袋に入れて触ることができれば、ものだといってよさそうです。
和美 昔の人はものの性質を<気>という言葉で表しました。ものから性質だけが抜け出ることもあると考えたようです。
先生 ものとその性質は切り離せないのだから、性質というのは<ものの性質>だということを忘れないようにしたいね。
和美 元気はものではないけど、元気な犬はものなんですね。
先生 ものかどうかを判定するのに、とても大切なことが抜けているけど、それは、この次に考えることにしよう。
もっぱら ものから まなぶ石井信也と赤城の仲間たち 
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