理科実験についてのお問い合わせ等はメール・掲示板にてお願いいたします。
掲示板 石井信也
理科実験を楽しむ会
もっぱら ものから まなぶ石井信也と赤城の仲間たち 
物理読み物51  静電誘導   E-134   No276    2011年4月21日(木)
 
 金属の近くへに帯電体を持ってくると、金属中の電子が移動して電気の分離が起きます。これを静電誘導といいます。
 具体的にいうと、アクリルをウールで擦ると、アクリルにはプラスの電気がたまります。これを金属の近くに持って来ると、アクリルに近い方にマイナスの電気が、遠い方へプラスの電気がたまります。塩ビ(塩化ビニル)をウールで擦ると、塩ビにはマイナスの電気がたまり、これを金属の近くに持って行くと、塩ビに近い方へプラスの電気が、遠い方へマイナスの電気がたまります。
 二つの金属球を接触させておいて、一方の金属球の近くに、例えば、ウールで擦ったアクリルを近づけると、アクリルに近い方の金属球にはマイナスの電荷が、遠い方の金属にはプラスの電荷が分布します。その状態で、二つの球を離すと、二つの球は、それぞれプラスとマイナスの電荷を持ちます。
 銅板を円形に切って、その中央に、発泡スチロールのブロックを両面接着テープでつけて、柄とします。アクリル板と塩ビ板及びウールの布を用意します。このセットを電気盆といいます。一種の発電器です。
 アクリルの板をウールの布で摩擦してプラスに帯電させておき、その上に銅板を置くと、銅板には静電誘導で、アクリルに近い方(銅板の裏側)にマイナスの、遠い方(銅板の表側)にプラスの電気が分離します。アクリルのプラスの電気と、銅の裏のマイナスの電気は一対一対応で、電気力線で結ばれています。それらを束縛電気ととでもいっておきましょう。銅板のプラスの電気はお互いに反発していて、運動できる自由な電気ですから、銅板にちょっと指でも触れると…これをアースといいますが…アッという間に地球に広がってしまいます。このとき、指の代わりに、手で持ったネオン管を触れてアースすると、ネオン管は、一瞬光ります。プラスの電荷がアースされたのです。次に、ネオン管を離してから、銅板の柄を持って、銅板をアクリルの板から離して、その後で、これに、ネオン管を触れると、ネオン管は、また、光ります。マイナスの電荷がアースされたのです。
 もっと、ダイナミックにやろうというのなら、スーパーマーケットから貰ってきた発泡スチロールの箱の底と、絶縁体(発泡スチロールの小片)でつまんだアルミホイルの電気盆で静電誘導を起こさせて、蛍光灯を点灯させてみましょう。蛍光灯はきれているものでもよいのです。部屋を暗くしてやってみましょう。上手にやると、かなり明るくつけることができます。
 教科書や参考書には、静電誘導は金属だけが起こすように書かれていますが、実は、絶縁体以外のどんなものでも起こすようです。発泡スチロールの小片をたくさん作っておいて、これでいろいろなものをつまんで、電気盆を使って静電誘導させてみましょう。紙でも、石でも、皮でも、木でも、ミカンでも、せんべいでも、なんでも、静電誘導します。人間を静電誘導させるにはどうしたらよいでしょう。水を静電誘導させるにはどうしたらよかを考えてみましょう。
  静電気と電池を使う動電気(?)では、導体、不導体の概念が全く異なります。静電気は大概のものを通してしまいます。