理科実験を楽しむ会
 物理読み物32 発光ダイオード     O-16   No239      2010年11月25日(木)
 
 発光ダイオード(以後LEDとします)にはいろいろな使い道があって、物理実験には便利なものです。値段も安いので、気楽に使えます。
 まづ、パイロットランプの代わりに使います。電圧は1.7V以上ないと点灯しないので、乾電池1本ではつきません。これが最大の欠点ですが、そお代わり、電流は0.1mAあればつきます。メーターなどに使われている006Pという9Vの乾電池があります。これの使えなくなったもので、LEDはつきます。また、40個ほど直列につないで、100Vの交流電源でつけてみましょう。発光ダイオードは文字通りダイオードですから、一方の向きにだけ電流が流れるので、交流で点灯させるとチラチラして見えます。ダイオードの電流の流れる向きを順方向、流れない向きを逆方向といいます。交流電源は1サイクルで順方向と逆方向があり、家庭の電源は50サイクル(関東以北)なので、1秒間に50回ちらつきます。点灯しているLEDを目の前で素早く往復運動させてみると、LEDが点滅しているのがわかります。
 1個のLEDを100Vの交流電源で点灯させるにはどうしたらよいでしょう。100Vで5mmA流すには、100÷(5/1000)=20×100 即ち、回路の抵抗を20kΩ程度にすればよいことがわかります。仕事率は電圧×電流ですから、この抵抗の仕事率は100×5/1000=0.5[W]ですから、1/2〜1[W]の抵抗を使います。この抵抗にLEDを直列につなぐと、100Vの電源でつけられます。
 ファックス原紙の黒い裏紙を拡げて、その両端を金属のクリップ(洗濯ばさみ、紙はさみ、みのむしクリップ、わにぐちクリップなど)で咥えて、これに交流100Vをかけ、紙の上の任意の2点にLEDの足を、直に触れると点灯します。紙の中の電位の傾きがわかって、発展的な実験ができます。
 誘導起電力でLEDをつけてみましょう。壊したTVの中から探し出したいろいろなコイルや、エナメル線を200〜300回巻いたコイルに強い磁石を出し入れすれば、LEDが光ります。磁石を入れた時に光れば、出す時には光りません。磁石を逆にすれば、光り方も逆になります。
 5本のLEDを使い、その4本で全波整流のブリッジ回路をつくり、残った1本を整流された電流でつけてみましょう。スライダックで降圧した交流を使います。
 電流を流せば、LEDは光りますが、逆に、LEDに光を当てれば、回路に電流が流れる筈です。電流は弱いので、エレクトロニック電流計で調べます(1000倍のアンプで増幅して検流計を使ってもよい)。白のLEDを青のセロファンで包んで光を当てると電流が流れますが、赤いセロファンで包んで光を当てても電流は流れません。光子と電子が相互作用している、いわゆる、量子効果です。青い光の光子はエネルギーが大きいので、電子を動かせるのですが、赤い光の光子はエネルギーが小さいので駄目です。
 現在、LEDは、赤、橙、黄、緑などのものが得られます。これらの光は単色光なので、波長の測定に利用できます。      (88/4 補助教材)
 
 注1:まだ、この時期には青のLEDは存在しませんでした。その後、幕張メッセで行われた展示会で、青のLEDが紹介され、1本300円で譲って貰ってからは、実験の範囲が増えたものです。
 注2:高輝度のLEDの1本を黒のフィルムケースの中に収め、ケースの後から足を出しておきます。これに、同じ高輝度のLEDの足を、同電極同士で、はんだづけします。外のLEDに太陽光を当てると、中のLEDが点灯します。白の強いLEDの光を当ててもOKです。これは、最近発見したこと(2010年9月)です。
もっぱら ものから まなぶ石井信也と赤城の仲間たち 
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