理科実験を楽しむ会
もっぱら ものから まなぶ石井信也と赤城の仲間たち 

 電磁の学習 5      E-151   No348         2012315()

 

 電場の発生(1)                                      88/7/12

 

1  中学の頃に習った電磁石の覚え方も災いしていたようです. くぎにエナメル線をまきつけた電流を流し, 虫ピンをくっつけて遊んだりしたものですが, 私はその時. 電流=磁石だと思い込んでしまったのでした. 電流のはたらきによって磁石の性質をもつことはできるが, 電流そのものが磁石だとするのは誤りでしょう. *磁石というより磁場と言った方がいいでしょう.

2  くしの歯の幅が1/10ならば, 1つのくしの刃に起きる渦電流の量は1/100, これが10個集まっても, 1/10にしかならないということに気がついた. 渦電流の面積は透き間の面積を考えなくても小さくなっていくから. *君の渦電流理論だね. 

3  ところで, ところで, ところで, “ファインマン物理学”のV巻を買ってしまいました(明倫館, 2500).あとから聞いたんですが, “明倫館”って有名なんですね. 父も知っていました. 56ページ読んでみましたが,なかなか分かりやすい.私もあれだけ物理が分かれば面白いだろうなと思いました.*ファインマンの物理観, 物質観, 世界観はすごいね.

4  電磁誘導ではマックスエルの EBv の式を使うのが一番いいと聞きました.

V=−dΦ/dt 以上に重視するというのは,Φというのは便宜上使っている概念だからでしょうか. それで, 後のこととのつながりが見えてこないというわけですね. *Φについては後述.

5 電気の方に静電誘導があったように,磁気の方には静磁誘導はあるのだろうか.僕はあると思うナ.昔,磁石に鉄をつけていると鉄が磁石になるような気がした.*ナカナカ.

6 そこで物理について, ぼくが思うことは, やはり, すなおにならなくてはいけないナーと思うことである. 物理とは, 実験をかさね, その現象を説明のつくように, 理論化したものだろう.つまり, つじつまがあうよに体系化したのだろう. だから, 「何故?」と問うてはいけないのだろう. *それで何がわかったか, それから何がわかりそうか, それは何に関係しそうか, そんなことどもの関係の全体が体系なのでしょう.

7 また, Dが発生したならば, vにかかわらず, Hができるのだから, vというのは電子のスピードではなく, Dができた!!」という情報が伝わることだとか読んだことがあったが, やっとその意味がわかった. *ナカナカ. 速さというより, 運動が起きたということです. 動いたということです. 止まっているか動いているかで世界が変わるのです.

8  vc が出て来た.場の移動速度が光速度に等しいのである.物理はとても美しい.まさに「自然が美しいので,それを表す方程式も美しい」というのを感じた.*自然は美しいのですネ!!   

9  ワルテンホーフェン振り子をはじめ「Bが増えるとBが減る方向にBが動く(ママ)」という理論は, 何を原理として言っているのですか? *物理は何かの原理から出発するというものではありません. 原理というのは「ナゼ?」の大元みたいなものです. 自然には慣性があり, 変化には抑制があるんです.

 

 電場の発生(2)                                             88/7/13

 

1  土曜日と月曜日の「電磁気学のまとめ」は感動的でした.月曜日は甚だ体調が悪くて,学校に行きたくないと思いましたが,土曜日の物理の授業がすごかったので, これは絶対に休んではならないと, 頑張って登校しました. まだ理解が足りないので, これから復習しようと思っていますが, 今まで, 嫌いだった電磁気に興味を持つようになっただけでも,すごい進歩だと思います. 電磁気学の学術性に始めて触れたという気がしています. *嬉しいことを聞きました. 教師冥利に尽きます.  

2  たいへんつまらなかった. *この人の感想はこれが全部でした. <つまらない>内容がもう少し具体的だとよかったと思いますが.

3 C[C]C[]から始まって,ローレンツ力をみちびき,揚げ句の果に光速度にたどりつくという,物理という学問の壮大さ,幅の広さに感動した.*はじめてこれに接したときは, 私も同様でした.  

4 私がそのとき思ったのは, 1(略 石井)のようなB場がくっついてしまい, FlIB に影響を与えないでしょうか? また, 逆の図2のように II’なら,B場は消え去ってしまうのじゃあないかな? *この人がどうような勘違いをしているかわかりますか.

5  理想では磁場や電場のみについて考えることができますが, 現実では, 各電子にも重力が働いており, そう簡単には解決できないのではないかと思います. *l[V/m]の電場はそんじょそこらにいくらでもあります. 電子の電荷は1.6×10^-19[C] なので. これがl[V/m]の電場から受ける力は FEQ1.6×10^-19[N] 一方, 電子の質量は [kg] だから重力場における重力は Fmg9.1×10^-30[N] その比は 100億分の1です. あなたはそれを気にしますか.

6  磁束が増加するとそれを打ち消す向きに磁束をつくるように電流が流れて, 本当に自然は変化を好まないんだと感じた. しかし, 変化を全く好まない訳ではないことも理解できました. 宇宙の引力の働かないところで, 物体に力を加えると, 等速直線運動をし続けることから, もし全く好まないなら, すぐに止める向きに力が働いてしまいます. それなら, 動きというものがなくなって, ひょっとすると, 時間も止まってしまうのでは? 自然は順応していくんだなあと感じました. *両方の性質があるのですね. 保守性と革新性と.  

7 はっきり言ってしまうと Q/lI/v (lは長さ,Iは電流)がうまく理解できず, 頭が混乱しています. 左辺は制止した状態で考えたとき, 右辺は速さをつけて考えたとき, ということでしょうか. EHを並立させるように理論づける意味はよく分かるような気がします. あとはだいたい式の変形なので, 上の式以外は理解するのにはそれほど苦労はしませんでした. 要は,変形された式の意味をどう受け取るかになっていると思いました. これからは公式のもつ意味についても考えられるようにしたいと思います. (ちょっと気づくのが遅かったかな?)  * Q/lI/v → (Q/t)/(l/t)I/v

8  磁力線1本で何[N]の力になるのでしょうか. *電束密度 D1[C/m2] という意味でしょうから, ED/ε01×1/(8.85×10^-12)10^11[N/C] 従って

1[C]の電荷を持って来ると, それに100[N]の力が働きます.

 

  電場の発生(3)                                             88/7/15

 

1  電場が電荷を動かすと, どうして電場が減らないか不思議だ. * “電流が途中で減らないんじゃ東北電力はまるもうけだ”と言った東北の子どもの発言は如何でしたでしょうか. <たなのぼたもち>が落ちたら重力場が減りますか?  UK , 運動のタイプが変わっただけです.

2  Φ[Wb]の磁荷からΦ[]の磁束がでているとう説明は, 後々の過程まで大きな影響を及ぼしているのに, どうして駄目なのですか.*Φ[Wb]の磁荷という概念は有効に生きています. ただし, Φ[]の磁束を作っているのは電流であって, 磁荷ではありません. 逆に, Φ[]の磁束を作っている磁石の極にはΦ[Wb]の磁荷があると決めるのです. 本当は, 磁石の極では, 鉄の原子軌道の電子電流が磁束を作っているのです. Φといったら磁荷でなく磁束です. 固まった磁気の固まりではなく, 磁力線で表現された磁場を思い浮かべてください.  

3  電荷を置くと電場が生じ, 磁荷を置くと磁場を生じる. では, 物質が存在すれば空間が生じる? 空間それ自体一種の場ではないか. ビッグバンで発した光すら届かない事象の地平線の向こう側は空間とは言わないそうだ. (中略) いわば, 宇宙は発生点を中心とし, 半径200億光年の球形の場, といえないだろか. しかし, vHr (H:ハッブルの定数)の式を見ると, 点状の原因量がつくる場に見えてしまうから, やはり, 空間の場というわけにはいかないのだろうか. *物質は重力場を作ります. <宇宙が光の場>というのはいいね. 光の地平線(地平面?)の向こうには空間でないというのも気にいっています. 光のパイオニアの後から「物質」がついていくのでしょう. 

4 電束や磁束の「切り口」が+−とかNSとかになるということだった. ぐるぐる回るものに始点も終点もない. 「ニワトリが先か卵が先か」というのも,まあそんなものであろう.どこで切るかによって, 「先」と「後」にどう分かれるかが決まる.ところで,重力場の場合にも,このようなことがあるだろうか.あったら, どうなるのだろうか.*電束と磁束には向きがあるから, どこで切っても「前後」ははっきり決まります.重力場(あるいは重束)の切り口が質量というのは魅力があるアイデアです.切り口に物質と反物質が現れたりして!    

5  B=μ0I/2πr はややこしい式だ. これは磁荷mが存在するとしていろいろなことを決めたのだが, 実際はmが存在しないことがわかって, 電流Iを基準にすることにしたため, そのしわよせが出てしまったということのようだ.

6  静電場では電束は放射状に出ていたために, その電荷のまわりを一周すると, 電位の変化の総和は0になった. しかし, 電流の作る磁束は電流を取り巻いてリング状になっていて, その回りを一周しても(たとえば)磁位の総和は0にならない. そしてそれは実は電流Iになっていた. *うまい表現だ!

7  一つの現象に対していかに多くの見方があることか. 頭を軟らかくしないと, 本当に物の世界を見通すことはできなそうだ.

8  鉄は磁石にひきつけられのは自由電子が関係するようだ. それなら, どのようなシステムがあって, 他の金属は磁石にひきつけられないのだろうか. *自由電子が互いに打ち消しあうような状況を作り上げるとか….

 

  電場の発生(4)                                             88/7/16

 

1  実験でできたあの電磁ブレイキというのは, 釣り具のリールに使われている“マグネチック・ブレイキ”と同じなのであろうか. その宣伝に「プラスとマイナスが引っぱり合うからブレイキがかかるのではなくて,電磁誘導の応用なんですよ.高校物理で学びます」というようなことであった.

2 始めに自然ありき,ということで,最初は自然に「聞いて」発展していった物理だが,これでけ物理の学問が体系づけられて秩序だっているのは,結局それだけ自然が秩序だっているということか.物理の公式というと,文字ばかり使ってやたらいかめしくて,そんなノートの上だけの世界じゃないか…と高校に入る前には思っていたけれど,どうやらそれは大間違い.特に今回の電場と磁場とかいうものから光速が出たのには驚いた.物理の公式は紙の上に自然を展開する…といったら気障だけど,本当に物理は自然だ!! *量的側面で自然を表現することもできるが…   

3  場を勉強してから, ポテンシャル・エネルギーについて考えた. ポテンシャル・エネルギーというのは, 2つの間の差という形でのみ存在し, 絶対量がない. 最初, いやだったが, 考えて見ると運動エネルギーも絶対的ではない. 全くの真空に物体があっても, それが, 直線運動をしているか, 静止しているかがわからないからだ.(後略)

4  アンペール則では, 仕事と関連して説明されたので, 線積分の意味がよく分かった.荷物を持たないで仕事をするコースだけを計算しておいて, 後でそこに荷物をくっつけようなんて, うまいことをやるもんです. *私もそう思います.

5  *平行平板コンデンサーにたまった静電エネルギーを変形してみます.

  E(エネルギー)(1/2)QV(1/2)(DS)(Ed)(1/2)ε0E^2(Sd)  Sdは電場の体積だから(1/2)ε0E^2は単位体積当たりの電場のエネルギーという感じがよく掴めるのではないでしょうか. それに形がよい. (1/2)mv^2, (1/2)kx^2などと同型です. 磁束場のエネルギーの式も類推できようというものです!

6  *上の電場が<力の場>つまりベクトル場であるのに対して,重力ポテンシャルの場は<エネルギーの場>つまりスカラー場です.ポテンシャルghのところに質量mの物体を置くと, その物体はmghのエネルギーをもつという場です. 電気の場合は, Eは電場で, ここにQの電荷を置くとEQの力を受けますが, Vはポテンシャルの場(電位の場), ここにQの電荷を置くとVQのエネルギーを持つようになるのです.
 
 
 
 
 

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