ナイター 「障害児学校・学級と教材作り」 

障害児・者と自然科学教育サークル(文責 黒田健次(群馬))

1.はじめに

 このナイターでは、障害児(子ども)・者(成人)でも、自らが主人公として自然やものに働きかけることによって、その素晴らしさを感じ楽しむことができるということを、実践や教材作りを通して追究してきた。文字通り『全ての国民に自然科学を』という科教協のテーマを実践してきたと言える。その方法は、分科会での報告の中で、それぞれが目の前の子どもたちや大人たちを相手に楽しんだり学んだり格闘した教材を持ち寄って、お互いに披露し学び合うというスタイルでやってきた。今回も約20名の参加で計6名の方から発表があり、時間いっぱいまで全員で楽しみ盛り上がた。

2.ナイターの概要

 それぞれが発表した内容は以下の通り。

 @ 暑い夏こそ楽しい! 簡単・便利・おいしい「ゼラチンのゼリー作り」

  (市川 広義(東京))

 A 〈 お薦め、図書 〉

   ・「じめんのしたの 小さな虫」(たしろちさと作、福音館)

   ・「ツバメのたび」−5000キロのかなたから−(鈴木まもる、偕成社)

   ・「ぶた にく」(大西 暢夫 写真・文、幻冬舎)

(伊藤 廣子(東京))

 B 「アメーバを顕微鏡でみよう」「手作り石けん」

 (佐原 淑子(福島))

 C 「回る浮沈子」「回る空き缶蒸気タービン」「回るストロー風車」

(山口 俊三(広島))

 D 「虹のメガネ」「静電振り子」

(黒田 健次(群馬))

 E 「やっぱり天気はおいしい! 前線ゼリー(気団のぶつかり合いのモデル)」

   「空気はスゴイ! の実験

(塩ビ管の筒の空気を真空ポンプで抜く実験およびそのミニ実験器)」

(岡馬 裕人(広島))

@は、市川さんの簡単でおいしいゼリー作りの紹介。みんなで作っておいしく食べることができた。

その方法は、

1)ゼリーの粉をカップに入れ水を少し足してかき混ぜる。

2)次に分量の水を入れてよくかき混ぜる。

3)さらにカルピス液を足す。

4)好きな具(ミカンの缶詰など)を入れて、さらにぐるぐるかき混ぜる。

5)この中へ氷を一気にどっと入れれば… あら不思議! あっという間においしいゼリーの出来上がり!! 

先生が独自に考案したものかどうか聞き逃したが、随所に学級の実践の中で工夫した様子が見受けられた。カップには目盛りが打ってあって、その通り測れば誰でもあっという間においしくできるようになっていた。丁寧すぎるようだが、障害児にとってはこの操作自体が学習の目標となり基本の操作を学ぶことになっていることに驚く。最後の固まるまでのドキドキ感や固まったときの驚きとそのおいしさは、夏には格別だった。

Aは、伊藤さんの本の紹介。これもこのナイター独特のものだ。伊藤さんが紹介する本は、どれも見てわかりやすく、楽しく、しかも本質的なことを直感的にとらえさせくれるものばかりだ。今回、特に私の興味をひいたのは、「ぶた にく」の絵本? だ。おいしい豚肉は、そのでき方を追っていくと、「と殺場」に行き、「生きている豚」に辿り着くことが、生々しい写真で綴られていて一目でわかるようになっている。私たちが、他の命を頂いて自らの命を生きていることが実感できる。こうした絵本や写真を活用すれば、私たちの実践がさらに豊かなものとなるだろう。

Bは、佐原さんの、アメーバの姿をとらえた顕微鏡写真の紹介。アメーバを実際に観察した人は少ないと思われるが、佐原さんが、たくさん写真にとらえているのには驚かされた。そのコツを聞いて見ると、田んぼの底の泥水を取ってきて、とにかくプレパラートをたくさん取り替えながら、根気強く右から左へと探すことだという。写真は、デジカメを直に顕微鏡にくっつけてカシャっと撮ったものだそうだが、よく写っていた。

Cは、山口さんの“回る実験”シリーズ。空き缶蒸気タービンは、その回転部分に磁石を利用し、針の先をその磁石に軽くくっつけてよく回るようにしたものであった。ストロー風車は、風車と言うよりも、「軸のストロー」から「回るストロー」へ息が抜けることによってくるくる回る仕組みになっていた。これも回転部分がポイントで、山口さんによれば針金で留めると良く回るという。もっと良いのは、「東京でしか売っていないビーズ」で留めるのが最高なのだそうだ(今回はできなかった)。回る浮沈子は、実際にみんなで作ってみた。これは私のサークルの十八番(おはこ)でもあるが、うまく回るように作るのは結構難しく今後の研究課題だと思った。

Dは、黒田の実験。虹のメガネは、前回の虹のシートをさらに発展させたもの。分光シートを利用して、光源の光を虹色に見えるようにした。これで世の中を見れば『人生バラ色』というわけである。今回は、メガネ型にしてずっと見ていられるように工夫してみた。しかしそのメガネ姿が怪しくて、評判はあまり芳しくなかった。さらに一工夫したい。

静電振り子は、プラスチックのコップの上下にアルミ箔を貼り、中へ墨を塗ったスチロール小球を入れ、静電気で上下に激しく動くようにしたものである。これは、湿気の多い悪条件の中でも結構楽しめたので良かった。

Eは、岡馬さんが授業の中でやった実験の紹介。天気という難しい学習を、少しでも楽しく直感的に理解できるように工夫したのだそうだ。

「前線ゼリー」は、「赤く染めた暖気(ゼリー)」と「青く染めた《砂糖を混ぜ重くしてある》寒気(ゼリー)」の2つのゼリーを、一つの箱の中で混ぜながら固めるとその境に前線ができるというもの。授業後はおいしく食べられる、というのがミソだそうだ。

 “空気圧砲”は、本当にすごかった。1回目はドーンという音ともにピンポン球が発射され、みんなをびっくりさせた。アンコールの声に2回目、3回目と挑戦し、「3,2,1」というかけ声とともに岡馬さんが片方の○○○ラップを破ると、反対側から大きな音ともにピンポン球が飛び出し、拍手喝采となった。私がこれを手で持って、「『的当て』をしよう!」と言うとさらに大盛り上がり。ただ、下に向けて的を狙ったらピンポン球が動いてしまって、残念ながらあまり勢いよくは出なかった。これをきっかけに、ミニ空気圧砲でも参加者が手で持って挑戦したりして、とにかくおもしろかった。ミニタイプは、わざわざ材料をそろえてくれたのだが、作るヒマが無く希望者へのおみやげとなった。(岡馬さん、ありがとうございました)




















3.まとめ

 このナイターで紹介されたものにはいくつか共通点があるのではないかと思う。ハンデイをかかえた目の前の子どもたちや大人たちでも楽しめるように、誰もが簡単にでき誰もが存分に楽しめるよう様々な工夫がなされていたという点だ。それらの視点を、このナイターの肝としてまとめてみると、

@ だれもが簡単に手に入るような素材で

A だれもが簡単な手順でできて(または市川さんのように、そうシステム化されていて)

B だれもが「え〜っ!」と驚きと感動を味わえ

C だれもが「そうか〜」と仕組みや原理が直感的にわかる

教材作り…となるのではないだろうか。そうした視点で、今まで定番となっていた実験でももう一度見直してみることは大事なことだと思わされたナイターであった。

追記)実際、帰ってすぐ黒田は『登り虫』の実験を素材から見直し、誰でも手に入る素材で簡単な行程で作れるよう工夫してみた。そのことは、いつかどこかできちんと報告したいと思う。また、今回発表したものもさらに見直してみたいと考えている。

                                         (文責:群馬 黒田健次)
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理科実験を楽しむ会
夏休みの理科工作Part4  (その6)     M-119     No314   2011年9月1日(木)
 
  科学教育研究協議会(略称 科教協)という、理科の民間団体研究会があって、この夏休みに、
宇都宮で全国大会が持たれました。これはその一分科会の記録です。
  簡単な理科工作の参考になると思われますので、紹介します。
もっぱら ものから まなぶ石井信也と赤城の仲間たち