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掲示板 石井信也

稲葉正さんへの手紙10  E-128 No266  2011317日(木)

  

 稲葉正様                 09102日     石井信也

 

 No10  玉振発電器      

@ 工作:長さ10cmの塩ビパイプ2本を, それにちょうど入る太さで, 長さ5cmのアルミ棒でつなぎます. パイプの両側から送電子(carrier)としての鉄球(ベアリングのボール)を入れ, パイプの両側に長さ23cmのアルミ棒をさして固定し,集電子(collector)とします.

 中央のアルミ棒の両側近くで, パイプの外に接着剤つきの銅箔を巻いて誘電子(inductor)とし, 左の集電子と右の誘電子を, 右の集電子と左の誘電子を, それぞれ導線でつなぎます. 誘電子に電気振子の電極を立てれば玉振発電器はできあがりです.

A 実験:発電器を水平に振って, キャリアを往復させる(初めは, もとになる電荷がないので100回以上),高圧に発電して, 電気振子を運動させられます. 

B 工夫・発展:

1 塩ビパイプの代わりに, プラスチック(ポリプロピレン)のストローを使い,キャリアとしてアラザン(argent,洋菓子の材料,化学記号Agの語源), 仁丹, 大豆, 米粒,ゼムクリップ, 鉛筆, 抵抗器, キャパシタ,植物の堅果(:ヤブミョウガ)などを使うことができます.

  このタイプであれば, 中学生でも, 1時間の授業でゆっくり作ることができます. 費用も安価です.

 太いチューブで作って, キャリアにドングリを入れてみたいものです.

2  Uボルトを使って, U型発電器を作ってみました.  

3  2個の目玉クリップを導線でつなぎ, このクリップを誘電子と集電子にすることができます. このようにすると, 集電子を抜いて, キャリアを取りかえることができて便利です.

C 理論:左の誘導子と右の集電子は導線でつながっていて, 例えばこれがプラスに帯電したとします. この誘導子に誘導されて, チューブの中のアルミ棒には,左端にマイナスの電荷が, 右端にはプラスの電荷が静電誘導されます.

  発電器を振ると, 右の送電子が, この右側の誘導電荷(), 右の集電子()へ運び. 左の送電子は, 左側の誘導電荷(), 左の集電子()へ運びます. このようにして,

ジティブにフィードバックされて, 電圧は容易に, 10kV程度にまで上ります.

  反発力に逆らって同種の電荷を合体させる仕事が, 電気エネルギを増加させるのです.

  原理も, 静電誘導と仕事だけなので, 容易に理解できそうです.

D その他:

1 初めの電荷は摩擦によって与えられる, あるいは, 保持している手(衣類の電荷による?) から誘導されるのかもしれません.

2 放電電極に 68pF のキャパシタをつけてみました. これで, ネオン球を発光させることができ, 電気振子の振動時間を長くすることができました.

3 この実験は AD・ムーア著<静電気の話>から学びました.  

 

  注:<YPC 20>を参考に。
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