理科実験を楽しむ会
今日、精密検査の結果が出ました。
 危険な程度を75%とすると、現在の状況は50%程度だというのです。
 何だかよくわかりませんが、生活に注意をということのようです。
もっぱら ものから まなぶ石井信也と赤城の仲間たち 

作用反作用Part2 その2 作用反作用の説明 M-77 No252 2011年1月13日(木)
 
 机の上に角柱が置かれています。“…この力を垂直抗力といい、通常Nという記号で表します。重力をWとすれば、角柱を真横から見た場合、WとNは図2.1(b)のような関係になっています。あるいは、重力は角柱に及ぼす作用、.垂直抗力はその反作用ということで、図2.1(b)は運動の第三法則を表すとも考えられます。”<物理を楽しもう>(岩波書店)
 角柱の重力と机からの垂直抗力は、角柱にはたらく力で、この2力はつりあっていて、作用反作用ではありません。角柱の重力は角柱にはたらいている力なので、机からの抗力には無関係です。
 しかし、この著者(東京大学名誉教授 R.A.)は、角柱には重さがあるから、角柱は机を押すことができ、それによって、机からの反作用を受けている、と考えているのでしょう。つまり、重力の作用によって、机からの反作用が起きる、というメカニズムをイメージしているようです。
 現在、使われている高校の教科書<理科基礎>(啓林館)によると、“机の上に本を置くと、本は重力によって机を下向きに押しますが(作用)、この時、反作用は机が本を押し上げる力(抗力)です”ということになります。この編集者(前東京大学総長 H.Y.)も、上述の著者と同じ考え方をしているようです。この教科書の編集集団は46名です。
 くどいようですが、重力は角柱や本(以下本は略す)にはたらく力なので、机を押すことには関係ありません。
 それでは、角柱が机から受ける抗力の反作用はどのような力なのか、と考えるでしょうか。しかし、ここでは(ここ以外でも)、力の種類を云々する必要はありません。力はモノからはたらくので、“角柱が机を押し、机が角柱を押す”といえばよいのです。それを、<力の呼び名>で云おうとするから、重力が…といことになるのです。それでも、敢えて、力で言いたい人には、角柱が机を押す力は、角柱の重力ではなく、角柱の弾性力だと申しておきます。
 ここで、ばねを例にして、弾性力について述べてみます。ばねにおもりを吊した状態では、ばねは伸びておもりを引いています。この力をばねの弾性力といいます。ところが、おもりも同様に変形してばねを引いています。この力も弾性力です。ばねの伸びは、よく見えますが、おもりの伸び(変形)は見えません。しかし、ばねとおもりは直に触れあっているので、そこで、力のやりとりがあります。弾性力同士が引きあうのです。弾性力と弾性力とが作用反作用の関係にあるのす。
 <法則と定数の事典>(岩波書店)で、著者(上智大学 T.S.)は、“作用と反作用は物体間の相互作用である。ここで作用する力は、たとえば、ばねのような力学的力、万有引力、電磁気力、など、どのような種類であってもよい。一方の力と他方の力の種類が違っていてもよい”と表現しています。ここで、力学的力とは弾性力のことだと考えてください。つまり、弾性力と重力(万有引力)は作用反作用するというのです。しかし、このようなことがある筈がありません。万有引力は万有引力同士で作用反作用をするのだし(f=G・mm’/r^2   m同士が作用反作用している!)、電気力は電気力同士で作用反作用をする(q同士が同様に)のです。先の例の、角柱や本の重力は、机の弾性力と作用反作用の関係にはなれません。
 なお、前者は、その後、次のように訂正されました。“もう少し詳しくいいますと、重力は鉛直下向き、垂直強力は鉛直上向きで、重力の大きさWと、垂直抗力の大きさNとは等しくなっています” この記述では、重力と垂直抗力が何にはたらいている力であるかが記述されていないし、この2力がつりあっていることも言っていません。前述の記述である作用と反作用に関しても記述がなくなりました。2力の大きさが等しくても、両者がつりあいの2力なのか、作用と反作用の2力なのかを区別することが重要なのですが、これらのことについては何も言っていません。これについて述べなくては、訂正の意味がありません。
  岩波書店には、これらのことに関して、“他からの意見や質問などがなかったか”を尋ねたところ、“そのようなことは一切ありません”という答えでした。
ばねにおもりを吊るすと、ばねにはおもりの重力がはたらいてx[m]だけ伸びます。このとき、ばねはおもりを f[N]の力で引いています。これが弾性力の定義です。伸びが小さいうちは、弾性力の大きさ f は、伸び x に正比例します。ただし、伸び x が下向きのとき、弾性力 f は上向きなので f=−kx と定式化します。ただし、高校物理の教科書では、ばねにはたらく力が、弾性力なのか(弾性力はばねにははたらいていません)、外力なのかが曖昧です。そして、符号がついている教科書はありません。
 この関係は比例限界を過ぎても、比例関係がなくなるだけで、「弾性力」ははたらきます。塑性体でも「弾性力」ははたらきます。どんなものにでも、それに力を加えれば、作用反作用の関係は成立します。
 固体はみんな、ばね、つまり弾性体で、これに力を加えれば、抗力、つまり反作用を発揮しますが、液体や気体も閉じこめれば、弾性を示します。固体は変形の弾性を持ちますが、流体は体積の弾性を持ちます。考えようによっては、浮力も一種の抗力と考えられます。排除された流体の重さが、流体を排除した物体の重さに等しいという、特別な量的関係があるだけのことです。
 このように見てくると、物体同士の接触による力の及ぼしあいを、弾性力で説明しようすることには抵抗を感じます。
 モノとモノとが、互いに触れ合うときには、実体に不可入性があるので、「相互浸透」できずに反発し合います。つまり、力を及ぼし合います。弾性を考えられない(!)、電子などミクロの実体でも、作用反作用を及ぼしあう筈です。
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掲示板 石井信也
重力と抗力が作用反作用