リーごまPart3 その4   E-103   No178     20091126()

 

0 クリップモーターにかかわって

1 さて, <リーごまPart3 その2>に, コイルのローターにはLEDがつけにくい, と書きましたが, そのローターを作ってみました.

2 LEDをつけるために, 0.4mmφのエナメル線で, 25Tの方形コイルを作りました. ローターが重くなって, 軸が下がってしまうので, 軸の部分には1mmφの銅線を使いました.

  そして, LEDの位置でローターの重心を調整しました.

  試行錯誤の末にできた作品は, LEDが点灯した状態でローターが回りますが,出来栄えは,よいとはいえませんが.

 

蛇足

1 本稿の<その2>を 1112日 に書いた直後の 1114日〜15, 長野に教研集会があって, その実験を見て貰いました.

  その際, “クリップモーターに似ている” という感想がありました.  そうです. 形の上では似ています. しかし, クリップモーターのように, 軸にはエナメル線を半分剥くという操作はしてありません. 軸はそのままの銅線です. すると, “クリップモーターは,軸のエナメル線を全部剥がしてしまっても回る” という意見が続きました.

  原理的には回るようには思えませんが, 実際には, 回ることがあるのです.クリップモーターのローターは, 軽く作られていて, わずかなトルクで回るので,エナメル線の剥き方にムラがあったりすると, 僅かな抵抗の差による電流の多寡で,ローターが回るのでしょう.

  そこで, コイルがショートしないように注意ながら, エナメル線ではなく, 銅のはだか線でローターを作ってみました. 回転しにくいようです. 気まぐれ的に,回ることはありますが….

2  クリップモーターは優れた実験装置です. オリジナルを知りたいと思っていたところ, 小林卓二さん(1942年 東京理科大卒), <ファラデーのモーターの科学>(1986 さ・え・ら書房)で、このことについて書かれているのを発見しました。この方式は“わたしが30年ほどまえに考えて本にのせた、モーターのしかけです”とありました。 

このことが書かれている<電気の歴史>(1957 出版社不詳)をみたいと思って,千葉県の図書館を調べてみましたが.“該当する書誌がありません”ということでした.

誰かが, <クリップモーター>というネーミングで発表されてから, 広く使われるようになったのでしょう.ネーミングもデザインの一部であって, 重要視したいものですが, オリジナルの大切さも, 心得るべきだと思われます. 論文, 実験などを引用するときには, その出所を明確にするべきでしょう. 

3  ポリプロピレンのストローの両端に, 向きを逆にした小型のネオジム磁石を填め込んだ, NN磁石, SS磁石型のローターも, リーごまの装置で回るのです。チョット見,には回ろうとは思われませんが…, 

  サークルの誰かが“電気っていい加減だネ”と云ったことがありましたが ,自然(物質界, 私たちの予想を遥かに超えて, ゆたかなのです.

ローターにLED ローターにLED 2
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