理科実験を楽しむ会
もっぱら ものから まなぶ石井信也と赤城の仲間たち 

使い捨てカメラを電源に その2    E-86  No161  09730()

 

1 直流の高圧電源を330Vとします. 直列につないだ4個のキャパシターの一つ一つをこの電圧で充電すると, 合計で1300V(330×4)程度の電圧が得られることになります. しかし, これを「合理的」に配線した装置があります.

2 コッククロフト・ウオルトン(CockcroftWalton)の高電圧装置がそれで,この装置を作るには, 高圧ダイオードと高圧キャパシターが, それぞれ4個ずつ必要です. 使い捨てカメラにはこのパーツが使われているので, 4台の装置を壊して入手することができます.

  キャパシターは写真3の下の方に見えている黄色い部品で, ダイオードは中央に黒く見えているものがそれです. この写真では,トランスは取り払ってあります.

  これらのパーツは秋葉原でも入手できます. 例えばダイオードは A38 IN4007, キャパシターは 102K 2KV などです.

3 CW装置の配線図は写真2に示した通りで, 作られたものは写真5です. ダイオードとキャパシターのセット1組を1段とすると,この装置は4段で,この入力部分にカメラの交流の出力部分をつなぐと, 直流の2000V以上の出力が得られます. (白く見えているのはセロテープです)

4 電気振子は,つめくさとして使われる発泡スチロールの小球を使います.小球は100円ショップでも入手できます. これに洗剤を1滴入れた墨汁を塗り, 乾いてから,瞬間接着剤をつけた水糸で吊ると電気振子ができます. これを,  高圧の電極の間で振らせます.

5 3Vの電源で10段の装置を作れば, 軽く作ったハミルトン風車を回すこともできます. 使い捨てカメラは乾電池1本で作動させていますが,電源を3Vにしても大丈夫です.

 このHPの<ハミルトン・モーター>を参考にしてください. 

 

蛇足

1 CW装置のキャパシターは, 電気振子を振らせる程度なら, 耐圧が高ければ容量は小さくてもよいので, 写真7のような装置を作ってみました. それは薄い絶縁シートの両面に接着剤つきの銅箔を貼ってキャパシターとしたものです.  

2 CW装置の配線図は<岩波理化学の辞典 第5版>のp482からとりました. ただし, その図の一部が誤っていて, アース印のすぐ上の2本の導線が交差しているところは, つながっているので, 交差点に黒丸印をつけておいてください.

3 CW装置の出力は, 高圧ですが電荷が小さいので, 電気ショックを受けても危険はありません. しかし, 不快ですので,実験が終わったら出力の電極を金属でショートさせて, 放電しておきましょう.

4 もっと大きい電圧が欲しいときには, 写真6のように段数を増やせば(写真は16段,ちょっと形式が異なっていますが)よいのです. サークルの福田利明さんの実験データーを<仲間のページ>に載せたので参考にしてください.

5 このHPの<静電気>(その1,No25)(その7,No31)(その8,No32)などを参考にしてください.

 

 

 

 

 

 

 

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石井信也
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