YPC 10月例会(14回)  慶応高校   08年10月19日(日) 

 

 

  YPC(その14) SSK E-77  No150     09年5月14日(木)

 

 Space Spin Koma(6月にリポート)その後  

             

(1) つくりとはたらき.

  3段アンプの入力に細くて巻数の多い1次コイル(サーチコイル,0.1mmφ・1420T), 出力に太くて巻数のやや少ない2次コイル(ドライブコイル,1mmφ・120T)をつないだ. 両者はともに直径1100mm, 両コイルに並列にLED, 出力コイルには並列にスピーカーをつないだ.

  バイアス電圧を加減して, スピーカーとLEDが作動する寸前にセットしておいて, コイルの間で磁石ごまを回すと, スピーカーが鳴りLEDが点灯して, こまが加速していく.

(2) ローターを選ぶ.

  左右NSの磁石を使う. 磁石ごまでなくてもよい.

  短い円筒形のネオジム磁石が100円ショップで買える.

  この磁石2個で水糸を挟んで吊す. ちなみに, 水糸(120本×3360)は単線で50gに耐える.

  この磁石2個で真鍮棒を挟んでフィルムケースにセットする.

  表裏NSの磁石, 球形磁石(直径10mm), マグネットテープ(10mm, 厚み1.2mm)も使える.

(3) 軸受けを工夫する.

  糸の捩れを防ぐには, 釣り用のサルカン(ねじれどめ,100円ショップ)を使う.  左右NSの磁石の中心に鉄釘の回転軸を貼りつける. 釘の細い端を他の磁石につけて吊す. かなり大きめの磁石でも回る.

  ローターの紐をプラ球に挟み, このプラ球を他のプラ球の内面や外面で回す.  同上の装置を, プラシートの上で回す. 

(4) あれやこれやと….

1 電流は1次コイルで0.7A(単線で 0.7A/14200.5mA), 2次コイルで7.8A(単線で 7.8A/12065mA)であった。

 1次コイルはダイナモに, 2次コイルはモーターになる.

  ローターが回った状態で電源を切ると, 1次コイルのLEDが点灯する.

2 大形ローターを糸で吊して回すと, 水に浮かせた装置の容器がローターとは逆向きに回る. 作用反作用の関係である. (後日, 再実験予定)

3 両端が磁極の細長い磁石の一端に糸を結んで回す.

4 逆立ちごま風に「磁石ごま」を回す. 10円硬貨を2個の磁石で挟んで回す.

  市販の逆立ちごまに磁石をセットする. (課題)

5 マグネットテープのブンブンごまで発電させると….

6 2個のローターを同時に回すことができる. 同向きでも, 逆向きでも. この時, 水に浮かせた本体はどうなる? (課題)

7 水に浮くローター(魚釣りの浮きに小型磁石をつける)を作って回したい. 地磁気フリーにしたいが…. (課題)

 

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石井信也
理科実験を楽しむ会
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SpaceSpinKomaその後 石井さんの発表
 2008年5月の例会で喜多さんが紹介した永久コマの発展実験。SSKはコイルが<鉄心縦型>なのに対して、この装置は<空芯横型>だ。2個のコイルの、1次側は細線多数回巻(金色、0.1mmφ,1420T)でダイナモ的にはたらき、2次側は太線少数回巻(青色、1mmφ,120T)でモーター的にはたらく。コイルの間で磁石ごまを回すと、1次コイルで発電した電流がトランジスターで電流増幅されて2次コイルに流れ、これが磁石ごまを加速して、更に1次コイルのはたらきを強める。
 こまが十分に回った時点で、装置の電源を切ってしまうと、1次コイルに(並列に)つないだLEDだけが点灯する(動画はここ)。両コイルは互いに強調し合うよう(ポジティヴ・フィードバック的)にはたらいているので、こまは加速的に回転していくが、片方のコイルを逆向きにすると、反対(ネガティヴ・フィードッバック的)にはたらいて、こまは止まってしまう。コイルの距離は近い方が効果的だそうだ。
 

 あとは種々の磁石を回転させて遊びながら、電磁場のイメージを広げていく。糸につるした棒磁石(上右)、磁石を埋め込んだドングリごま(下左)など。コインをネオジム磁石ではさんだもの(下右)は回転するうちに重心が上がってくるのがわかる。逆立ちごまやゆで玉子回しでも見られる現象だ。
 なお、磁石ごま(ローター)は装置から力を得て回り続けているが、力を<場>から受けるのではなく、<もの>としての本体(ステイター)から受けるとすると、その反作用で、本体はこまから力を受けて回るのではないか、という発想に達する。例会では実演できなかったが、装置全体を入れたプラ容器を水に浮かせこまを回すと、ステイターはこまとは逆向きに回りだす。