交流回路(その4)   E-67      No140      0935()

 

1 3乾電池を壊して炭素棒を6本とりだします.

  フィルムケースに薄めた酢(できれば希硫酸)を入れて, 炭素棒を2本浸します. 厚紙を炭素棒の間に入れて隔壁とします. どちらか一方の電極に赤の+印をつけておきましょう. これで 燃料電池的ケミカル・コンデンサー(ケミコン 以後CCと略す)ができあがりです. これを3組作りました.

2 0.4mmφのエナメル線を, フィルムケースの口の部分に3400回巻いてコイルにし, フィルムケースから外して使います.

 コイルの片方の端にLEDの正極をはんだづけすると, LEDの負極の部分がプラス電極になります. これをCCにつないで, コイルの上で ブンブンごま を回すと,  LEDが点灯して燃料電池が「充電」しているのがわかります. これで準備完了です.

3 CC3個並列にして, ブンブンごま の発電機で充電します.

  1000回ほど ブンブンごま を回して充電したら,  3個を直列につなぎ替えて使うと, メロディーを鳴らせることができます. 

 

蛇足

1 この方法で充電するには時間がかかります.

 およその見当ですが, ブンブンごま を1000回まわすと, 電池1個について0.3V程度の充電がされると思われます. これを3個直列にして,  1V弱にしてメロディーを鳴らすのです. 

2 この装置は, 電圧は弱くても, 多くの「電荷」が蓄積されているようで, メロディーが途中で弱くならないのが強みです.

3 容量の大きいキャパシターを作るのは難しいことです.

  アルミ箔を塩ビシートの表裏に貼りつけた平行平板コンデンサーの面積を100cm2(10cm平方)とします. この容量はおよそ100pFです.(塩ビシートの厚さにもよりますが). 1cm21pFとしてみましょう.

  メロディーを鳴らすための 10000μFにするには, その面積は

  10000μF10000×106nF1010pF (106106)

  (1μF103nF  1nF103pF  ∴1μF106pF)

  1010pF1010cm2106m21km2  となります.

  恐ろしく大きいキャパシターです. 電気をためることは難しいことです.

 それをカバーするひとつの方法が電気二重層コンデンサーです.

  陽極の金属と負極の溶液の間の絶縁性金属酸化物が誘電体になっていて,この厚さがナノオーダー(10のマイナス9乗メーター)なのです.大雑把にいえば,面積が駄目なら距離で行こう,という訳です.

  キャパシタの容量をC, 極板面積をS, 極板間隔をd, とすると  CkS/d  ( kは比例定数で極板間の誘電体の性質),dが原子論的な長さなので,Cが大きくなるのです.

 


ケミコン2
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