テントウムシ 石井さんの発表
 塩ビ管のてっぺん近くにテントウムシがとまっている。塩ビ管を逆さにするとテントウムシはくるりと向きを変えて新たに上になった方へ登っていく。仕掛けは水入りの塩ビ管(外径18mm)に発泡ポリスチレンの「浮き」が仕込んであり、それに小型のネオジム磁石がついているのだ。
 

 クライマーは磁石につくものなら何でもよいはずだ。画鋲やホチキス針でも可。スチールウールはトトロの「まっくろくろすけ」みたいでユーモラスだ。ゼムクリップの一部を伸ばしたものは塩ビ管を斜めに構えるとくるくるプロペラのようにスピンしながら登っていく。

 テントウムシを甲虫のキマワリのように幹を回りながららせん状に登らせる工夫は、千葉の大村さんや群馬の宇敷さんのアイデアと改良により実現された。浮きに斜めの溝を掘って旋回しながら浮き上がるようにしたのである。
 素朴なおもちゃであるが、浮力、磁力、摩擦、流体の圧力と粘性などいろいろな要素が複雑にからんで、思い通りの動きをさせるには数々の調整が必要で面白い。

理科実験を楽しむ会
もっぱら ものから まなぶ石井信也と赤城の仲間たち 
 YPC(その13)  テントウムシ  M-38   No121       08年10月23日(木)
 
 
  
   YPC(13)9月例会  多摩大付属中高    08923() 

 

    テントウムシ

 

 1 はじめに

  プラスチックの棒のてっぺん近くにテントウムシが一匹, 頭を上にして止まっている. この棒の上下を逆さにすると,テントウムシはくるりと向きを変えて, 新しく上になった棒の端まで登っていく.

 棒は水が入った塩ビパイプで, 磁石がついたプラスチックが浮いている. テントウムシに貼りつけた小さい磁石がこれに引かれて登っていく.

 

 2 作り方

  外径18mm, 内径13mmの塩ビのパイプに, ちょうど入る太さに発泡スチロールを切り, ネオジム磁石を埋めこんでおく. 棒に水を入れてこれを浮かせ(以後これを浮きと呼ぶ),ゴム栓の蓋をしてビニテープでしっかり止めておく. テントウムシの絵の裏に小さなフェライト磁石または鉄片を貼りつける.

 

 3 遊び方

  棒を立てて浮きの磁石があるところに, テントウムシを止まらせ, 棒の向きを逆にすると,テントウムシは棒の端まで登っていく. テントウムシが頭を上にして登るように工夫する.

  テントウムシの代りに登るクライマーを探してみよう.例えば, 画鋲,ホック, ゼムクリップ,ホチキスのたま, まち針,モール,…

  スチールウールを丸めたクライマーは,となりのトトロの<まっくろくろすけ>に似ている.

 ゼムクリップの一部を伸ばしたクライマーは,棒を斜めにすると回りながら登る. 鉄の針金にスパンコールをつけたものも同様.

 

 4 発展

 2匹のテントウムシを一緒に登らせてみよう.

  テントウムシを甲虫のキマワリ(樹の幹を回る)のように登らせたいと思い,発泡スチロールにフィンをつけたりしてみたが駄目であった.この話を大村吉郎さん(千葉)にすると,浮きに斜めの溝を彫って, 2mmボルトのワッシャーをクライマーにすることで可能にした. その後, 宇敷輝男さん(群馬)が改良し発展させた.  

 

 5 参考

  力関係は, 浮き(主に磁石)とクライマーの質量, 浮きの浮力, 磁力の強さ, 棒とクライマーの摩擦, 水の流体圧力, と複雑である.

  テントウムシの実験は,戸田盛和著<おもちゃの科学(2)(6, 日本評論社)に記録がある.   

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石井信也