YPC(その10) S-1 No118  2008年10月2日(木) 
 
 

 

  YPC 5月例会(第10回)  慶応義塾高校    08年5月18日(日)  

  

  カウンター   

 

(1) 工作

  放電管:紙コップ(高速道路SAの湯茶サービス用)の底を切り、これに合うプラカップをはめて、 底を作ります。

  撚線(ヨリセン)のビニル線から素線(0.18φ)1本を取り出して、中央から2つに折ってこれをプラカップの底から中央あたりまで刺し、 外側はゼムクリップにはんだづけして、 プラカップの底にセロテープで貼りつけ、 正の電極とします。 

  紙筒の外側にゼムクリップをセロテープで貼りつけ、 負の電極(紙筒自体が電極)とします。

  耐圧 2.5kV、 容量 4.7nF のコンデンサー(秋葉原の鈴商で1100)を、 正負の電極にはんだづけします。 このコンデンサーには極性がありません。

  発電棒:外径 13mm の塩ビパイプを 50cm , 外径 26mm の塩ビパイプを 5cm に切ります。 ウールの布を長さ 10cm、 幅 8cm に切って筒状に丸めて、 細いパイプに巻き、その1端を太い方のパイプの半分ほどのところまで差し込ん、 絶縁テープで貼りつけます。 ウールの残った部分は接着剤つきのアルミで巻いて、クリップつきの赤の被覆導線をつなぎます。 太いパイプの反対側には、 アルミを二つ折にして、 5mm 程度に、縦に切り込みを入れてブラッシュにします。 こちらにもクリップつきの黒の被覆導線をつなぎます。 

(2) 測定

  発電棒の導線をコンデンサーにつなぎます。 放電管にガスライターのブタンガスを入れて、 ポリエチレンシートで蓋をし、輪ゴムで押さえておきます。

  放電管の口近くに、 放射能と、 AM放送で周波数帯を外すように「チューニングした」ラジオを置きます。 発電棒を200300回しごいて、 コンデンサーを充電していくと、ある電圧でラジオがコツコツと鳴り出すので、 導線を外します。    

(3) 放射能

  線源にはカリ肥料を使用します。 K40 は半減期は 42×10∧8(10の8乗)年 で、存在比は 0.0117% です。

 ただし、特に線源を用いなくても、 自然放射能でカウンターは鳴ります。   

 ゴム風船を膨らませて数日か放置します。壁から出る埃にはラドン由来の放射能があって、静電気でゴム風船に付着するので、線源として使えます。

 掃除機の塵芥を収集する袋の中の細かい塵も同じ意味で線源になります。

(4) 注意

 1 放電管にはフィルムケースが使えます。 この場合には、 普通の紙を丸めてフィルムケースの内壁に付着させ、 陽極と同じ素線をケースの壁の小穴から挿入して(フィルムケースの壁と紙に挟まれている

)陰極とします。  

 2 ブタンガス(分子量58)の代わりに、 ドライアイス(分子量44)も使えるようです。

   ガスなし、 つまり空気(平均分子量29)だと不安定です。また、 電極を逆にしても不安定でした。

 3 人形石(CaU(PO)1〜2H2Oは科教協岡山大会の時、 地元で入手したものです。 金属容器に入れてマトリョーシカ風に保存します.

 4 電極の片方を3段アンプにつなぐと、 LEDの点滅で放射線が「見え」ます。

 5 この実験は、 千葉の三門正吾さんに教えて貰いました。

GMカウンター 石井さんの発表
 石井さんは、千葉の三門正吾さんの一連のGM管の実験を追試し、改良した。
 まず、放電管の製作。底を切り捨てた紙カップに、 上部を切り捨てたプラカップを重ねる。紙カップが円筒電極(陰極)になる。紙カップの外側にゼムクリップをセロテープで貼りつけておく。
 次に、ビニル線から素線(0.18φ)の1本を取り出して、 中央から2つに折ってプラカップの底から中央あたりまで刺し、 外側はゼムクリップにはんだづけして、プラカップの底にセロテープで貼りつける。 これが中心電極(陽極)だ。それぞれのゼムクリップの間に耐圧2.5kV、 容量が4.7nF のコンデンサーをはんだづけする。放電管にブタンガスを入れて、ポリエチレンシートで蓋をしてできあがり。
 発電棒は、外径13mmの長い塩ビパイプと、外径26mmの短い塩ビパイプを重ねて作る。 電極にクリップつきの導線をつける。発電棒を200〜300回しごいて、摩擦電気でコンデンサーに電荷を蓄えて準備完了。
 。

 測定は放電管の口近くに、 放射線源と、 短波放送で音声周波数帯を外すように「チューニング」したラジオを置く。ある電圧でラジオがコツコツと鳴り出すので、コンデンサーから導線を外す。
 線源は、カリ肥料を使用する。 カリウム40は半減期は42億年で、 存在比は0.0117%。 特に線源を用いなくても、 自然放射能で計数管は鳴る。

 上右のように、3段アンプにつなぐと、 LEDの点滅でカウントできる。左のように万歩計を使ってデジタルGMカウンターとすることもできる。

 例会での実験で、後半、 計数管がうまく作動しなくなったのは、 時間の経過で湿度が上がったためと考えられる。 石井さんが後日自宅で放電管の周囲(特に放電管を保持した緑色のプラスチックの部分)をヘアドライアーで乾燥させたところ、 普通に作動したそうだ。

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