静電気の変化も電流? 電極の片方を触る 放電叉
容量の放電による電束電流 「相互誘導」
理科実験を楽しむ会

電束電流(その5) E-34     No75   2007126()

 

(1) 使い捨てカメラの蓄電用コンデンサー(150μF)を取り出して、プラコップに封じ込め、 コップの上下に貼りつけた銅箔の電極につなぎました。 

(2) 直径70mmのペーパーリング(カードリングとも云う)4本を重ねた「鉄芯」に、 0.1mmφ, 2000Tの空芯のコイルをさして、 リングをコップに填めこんでみました。 コイルは3段アンプに繋ぎます。

(3) このコンデンサーをカメラの装置で充電してから、 コンデンサーの電極(見えにくいが写真のコップの横に出ている)を交互に指で触って*徐々に放電させるとLEDが点灯します。

(4) 実験してみると、 この装置の銅箔の電極の有無は関係がなさそうなので、 カメラのコンデンサーに0.1mmφ, 2000Tの(1000Tを捻って二巻きにしてある)小さいコイルを、直に填めこんでみました。 コンデンサーを充電した後の操作と結果は、 上の(3)と同じです。

 

蛇足

[1] このシリーズ実験は、 コンデンサーの充放電による電束の変化は電流と同じ意味を持つという、電束電流を確かめるためのものです。 とすると、 電流(i)、 電束電流(dD/dt)、 電場の変化(dE/dt→rotB)、 電荷の移動(qv)、 はみな同じ意味を持っていることがわかります。そこで、 次の諸実験をしてみました。

[2] 4本重ねたペーパーリングを鉄芯とした多数巻のコイルをプラコップにはめ、 カップにコーヒー缶を立てて、 擦ったポリプロピレンのストローを出し入れして電荷(q)を変化させ(dq/dt)てみました。 これでLEDが点灯しますが、 (qv)によるものかどうかは分かりません。 静電誘導の結果であるかもしれません。

[3] プラコップの中央に導線を立てて、 これに電流を断続して流してもLEDが点灯しました。 直線の導線とコイルが相互誘導する

のかもれません。 そこで、 配線用のダブルの導線の片方を3段アンプの入力端子につなぎ、 他方に電池の電流を断続させると、LEDが点灯しました。 相互誘導するのです。

[4] 3段アンプの入力端子を繋がないで離しておきます。 6Vの電池を使って、ショート回路で電流を断続させても、 また、コンデンサーを充放電させても、LEDは点灯しませんでしたが、 コイルを介して回路を断続させると、LEDが点灯します。 この時、 パチッという弱い放電音が聞こえます。 自己誘導による電波発振で、 3段アンプが作動してLEDが点灯した模様です。 

 このように、いろいろな要素が考えられるので、”安易に結論を出さないように”、と自分に言い聞かせています。

[5] (3)の操作*では、 電極の片方づずを触ることに<ご注意>を。 コンデンサーの充電電圧は330Vあって容量も大きいで、両手で同時に触ると強い電撃を受けます。
 また、残ったコンデンサーの電荷を放電させる放電叉を作っておくとよいでしょう。 カメラから取り出したネオン球と抵抗を直列につないで、 端子を遊ばせておき, 中央のネオン球を、 ホルダーのストローに差し込んでおきます。
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石井信也