理科実験を楽しむ会

 電束電流(その2)   E-31    No72 071115()

 

(1) 使い捨てカメラの電子回路の部分を取り出し、 スイッチの部分(裏を見ると2つの電極が並んでいる)をはんだづけでつないで、 onの状態にしておきます。 電源は単3乾電池1個で、 本体の電池ケースを、市販のスイッチつきのものに変えて使います。 カメラの蓄電用のコンデンサーC1からミノムシクリップをつけたリード線を出しておきます。 これはC3の充電を容易にするためのものです。

(2) 直径7cmの鉄のリング(蛇足の[3])に、 0.4mmφのエナメル線を250回巻いてコイルにします。

(3) 電束用コンデンサーは、 直径7cmの接着剤つき銅板で、 発泡スチロールのトレイに貼って導線を出しておきます。これの2枚で、 (2)のリングを挟むとコンデンサーC2はできあがりです。

(4) 電源をonにすると、 1分ほどでネオン球が点滅して、 330V 150μFの蓄電用のコンデンサーC1が充電したことが分かります。 これから容量1nF、 耐圧2kVの小型コンデンサーC3に電荷を分けて使います。

(4) コイルを3段アンプにつなぎ、 電束用コンデンサーC2C3をつなぎます。

  いよいよ実験です。 C3の電極を片方づつに指で触れると、 その度に3段アンプのLEDが光ります。 少しづつの放電で変化する電束が、 電流と同じはたらきをしていることが見えるというものです。

 

蛇足

[1] C2の容量を大きくするために、 水を浸したペーパー・タオルを、 小さなポリ袋に入れて、 鉄のリングの中に置いてみましたが、 ほとんど効果がなかった(容量が11pFから13pFに増した)ので、 取り去りました。

[2] C3を充電したら、 高圧装置の電源をoffにしておきます。 C1を空にするには、 放電叉(2本の細い電極が並んでいる)をショートさせると、フラッシュが発光して放電が完了します。 実験前にこうするのは、 高圧装置が3段アンプに影響を与える(回路(その2) No49)かもしれないからです。

[3] 鉄のリングは、 <てつまる>という商品名でダイソーで売られています。 鉄分摂取用調理補助グッズです。

[4] 些かの理論を記しておきますと…、 コンデンサーの電圧を変えると, 電極の間の電束が変化するので、その周囲に磁場Hができます。 つまり、 変化する電束∂D/t は電流のようにはたらきます。 これを電束電流といいます。 マックスエルの方程式で云えば rotH=∂D/ti の部分です。

  コンデンサーの電圧を変えると、 鉄枠の磁束場が変わり、これに巻いたコイルに電流が流れて、 3段アンプが作動するのです。

[5] 充電しているコンデンサーについての注意です。C1に触れると大きな電撃をうけるので要注意です。身体には害がありませんが、驚きます。C2はビリッとする程度で、C3単独では何も感じません。
 
 
電束電流で充電 電束電流用のコンデンサー コンデンサーの充電
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石井信也