理科実験を楽しむ会
もっぱら ものから まなぶ石井信也と赤城の仲間たち 

乗り物の中の実験(3)  M-21    No52     07628()

 

(0) 飛行機の中で  慣性力2

(1) 飛行機に乗った際、 離陸の時の加速度を測ってみました。

  壁に簡単なおもりを吊って、 その下の紙に、その振れを書き込みました。

  飛行機が離陸したと思われてからも、 暫くは、 おもりの位置は変わりませんでした。

(2) 飛行機は一定のパワーで、 滑走路を加速して行って、 離陸してからは、 おもりの傾いた
    角度で、等速度で上昇したものと思われます。 滑走時の「加速角」と上昇時の
  「重力角」が同じ程度で、角度は20度くらいだったでしょうか。 

   とすると、 加速度α=gθ=9.8×(π/180)×203.4≒g/3 (単位略)

(3) 滑走時におもりにはたらく力は、 重力と糸の張力と慣性力です。
     飛行機の中という非慣性系で、これらの3力が釣合って、おもりは静止しています。

(4) 上昇中には、 飛行機は等速度で運動していて、 この慣性系で、 おもりにはたらく
     重力と糸の張力の2力が釣合っていて、おもりは静止しています。

(5) 飛行機にはたらく力は、 重力、  空気からの力(噴射の反力、 揚力、 抵抗力)

    地面からの抗力(離陸前)など、 かなり複雑だと思われます。 

 

[蛇足]

[1] 飛行機は、 離陸前には等加速度運動を、 離陸後には等速度運動をしているとか、

    エンジンの出力は一定であるとか…、いくつかの仮定があります。エンジンの出力は、

    離陸前には飛行機の運動エネルギーに変わり、離陸後には重力エネルギーに
    変わったことになります。

[2] 糸はスチュアデスさんに貰ったと思います。 おもりは5円硬貨で、
    糸はセロテープ(持参)で貼りつけました。

[3] 英国での実験もあります。飛行機が着陸時、エンジンを逆噴射して減速するときには、
     おもりの振れは最大30度ほどでした。

[4] 搭乗の際、 前に並んでいた年配の男性がいいました。
    「こんなに大きい鉄が空を飛ぶんだからな!

[5] 実験の後 "重力と慣性力が同等である" という等価原理を考えながら、
    眠りに落ちました。 

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shinya@aqua.dti2.ne.jp. 石井信也