GUITAR by 清水 智徳

 このギターという楽器はあまりにポピュラーで幅広いジャンルの音楽に用いられているため、その説明は不用であろう。
 そもそもアイリッシュミュージックでは極端に言えば笛やフィドル、バウローンがあればいいわけであるが、近年になって多くの楽器が伴奏用として導入されてきた。弦楽器で言えば、ブズーキ、そしてギターである。ギターはどんな音楽においても主役の位置を勝ち得る事ができる楽器であるが、ここではあくまでも伴奏用、それも目立たず地味に存在しており、この音楽のフィーリングに合った伴奏楽器としてはブズーキにその地位を譲らねばならない。しかしミハエル・オドンネール等、素晴らしいミュージシャンの力によってトラッドにおけるギターの魅力が見なおされてきている。また話はそれるが、フィンガーピッキング(トラッドやジャズ、ブルースなどの要素をもつギターインストのジャンル)の世界では、そのメロディーの美しさからジョン・レンボーン等によってトラッド系の曲が古くから取り上げられていた。伴奏の方法も変則チューニングを用いたり、ブズーキでのプレイに近いものであったりと発展してきており、このジャンルでのギターの使われ方は今後も注目すべきものがある。
 そこでトラッド系のミュージシャン達はどんな楽器を使っているかというと、全くアイルランド的というか、もうギターであれば何でもありなのである。まあそれが正しいアイリッシュ・トラッドの方法論なのであるが……。ガットギター、アーチトップジャズギター、エレクトリックとそれぞれの個性に応じた楽器を各プレイヤーが弾いているという感じだ。ただ比較的この音楽になじむ楽器というか、よく弾かれているギターはスチール弦を用いたフラットトップで、主にローデン、CFマーチン、タカミネなどがあげられる。メーカー物ではビデオなどで見るかぎりにおいては以上のブランドの物が多い。トッププロになると個人製作者の物を弾いているケースが多く、きりがないので触れずにおきたい。とにかくチープな楽器であろうと構わずに、音が大きく箱鳴りする物を選び、自分にあった調節をして弾けばよいというのがここでの結論である。今後アイリッシュ・トラッドの世界でさらにギターの可能性が引き出されることを期待したい。

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