音楽ネタ

2001・3.24 ディープ・パープル@国際フォーラム



 今回はオーケストラとの共演ということは知ってたんだけど、会場に行って初めて、ロニー・ジェイムス・ディオも特別出演するという事を知って、はっきり言って関心は一気にそっちの方に行ってしまった。なんせロニーを観るのは意外にも初めてだし、今回のパープルのメンバーで、どっかのバンドで「同僚」だったという人が、よく考えてみると一人もいないというのもこれまた意外な話だ。ロニーもれっきとした「パープル・ファミリー」の一員だし、あんなに結成・解散・加入・脱退の激しいファミリーだからどっかで会ってそうな気はするんだけど、ロジャー・グローバーはレインボウにロニーとは入れ違いの加入だったし、イアン・ギランもブラック・サバスにロニーの「後釜」としての加入だったし・・・・・ロジャーはプロデューサーとして一緒に仕事してるかもしれないし(エルフ辺りかロジャーのソロアルバムにロニーが参加という形で)、スティーヴ・モースもカンサスのメンバーのソロにロニーが参加した事もあってひょっとしたら共演はしてるかもしれないというのはあるけど。

 そんでもってロニー・ジェイムス・ディオなんだけど・・・・・・・
 
 1曲目にギランが“Picture Within”という曲を「地味」に歌った後、いきなり出てきて4曲ぐらい歌って行ったんだけど、“Love is All”とかいうポップな曲も歌ってて面白かったっす。ポップな曲を歌うロニーってレコードなんかでもあまり体験したことなかったからなあ。ギランとロニーのヴォーカルの違いっていうのも何となく分かったし。今までは特に比較しようという機会もなかったから考えなかったんだけど、ギランが「大らかに」歌う感じなら、ロニーは「高らかに」歌う感じかな?ギランって結構リラックスしたヴォーカルスタイルでその場に広がってくって感じだけど、ロニーの場合は多少緊張感があっていきなりこっちに「ボン!」と向かってくるみたいな・・・・ア、言ってること、全然分かりませんね。
 でDio時代の曲も“レインボー・イン・ザ・ダーク”とか2曲ぐらいやったけど、ディ―プ・パープルをバックに歌うDioの曲が聴けたというのは良かったなあ。ディープ・パープルによるDioの曲というのがね。パープルが「後輩」の曲を演奏するというか、「練習したということか!」という意外性が。

 で肝心のバンドの編成だけど、オーケストラのほかにもブラス・セクションが数人、女性コーラスが3人という編成でした。わりと昔と比べるとリラックスした感じでしたね。「親子のクラッシック・コンサート」みたいな(?)。ブラス・セクションの持ち味が発揮されたのはジョン・ロードの口から“swing”とか“big band”とかいう言葉が出た時。何が始まるのかなと思ったら第1期時代の“wring that neck”をブラスを交えてジャズっぽく演奏したのでした。元々ジャズっぽかったといえばジャズっぽかったし、ブラスが非常に合ってたんだけど、この組み合わせは初めて気付いたなあ。実は基本的にブラスはあまり好きではない僕もこれには感心しました。
 オーケストラの方はパープル自体が4枚目でやってるので、大体予想ついてたような展開でしたね。もうちょっとパープルの曲に大勢で切り込んでくというようなところがあれば良かったかなあ。ほとんどはジョン・ロードとかロジャー・グローバーがオーケストラのために書いた曲みたいだったし。ページ・プラントがオーケストラと組んでちょこっとやってたのを見たことあるけど、あの時の意外性の方がインパクトがあったなあ。 ストリングスの音をキーボードでうまく再現できなかった昔とは違い、逆に今聴くとオーケストラがキーボードの代わりみたいに感じられるようなところもありましたね。イエスなんかは最近オーケストラをバックにキーボードなしでツアーをやってるという話も聞きますしね。あとは音量のバランスの関係かな?いくら大人数で音を出したところで、アンプで調整のできる電気音のほうが勝ってしまうんではないかと思ったりして。となるとオーケストラが更にキーボード代わりというか、第2キーボードみたいに感じられてしまうということですね。
 でも、そういう難もあったけど、やはりオーケストラとの共演は良かったですよ。パープルがハードロックバンドになる直前の、4枚目の再現を観れたというのは良かったですし、やはり豪華ですよね。これを逃したらもう観れない可能性もありますもんね。わざわざ東京まで来た甲斐がありました。名古屋でもやって欲しかったけど。

 で、アンコールはというと・・・・・・まず、なぜかレッド・ツェッペリンの“ハート・ブレイカー”が演奏されてしまった。前のツアーでは“スピード・キング”の前にラップと“ウォーク・ジス・ウェー”のイントロがプレーされたし今回もコンサートの途中で“銀嶺の覇者”のイントロがちょこっと演奏されたが、ついに長年ライバルと言われてきたツェッペリンを演奏したか!しかも今回はイアン・ペースやロジャー・グローバーまでもが・・・・そんで、そのイントロが終わったら、皆さん御待ちかねの、ロックギターを弾く人なら誰でも一番初めにコピーする(少なくとも俺はそうだったんだけど)あのイントロのリフが演奏されて、全員で大合奏大合唱大会へ。全員とはパープル、オーケストラ、ブラス、いかにもというネイミングのバック・ストリート・ガールズ(もちろん女性コーラスのことね)、そしてなんとロニー・ジェイムス・ディオ!あの伝説のハード・ロック・ヴォーリスト2人の共演なのである。この人達、人前ではデュエットなんてしたことないじゃないかなあ。ロニーがブラック・サバス時代に“パラノイド”を、なんだか窮屈そうに歌っているのをライヴ盤で聴いたことがあるんだけど、それが今回は余裕で、高らかに楽しそうに、しかもギランと仲良く歌ってるだからなあ、ビックリしたなあ、もう!こんな組み合わせまで観られるなんて思ってなかったしなア。こんなにエンターテイナー然としたロニーを観られたというのも良かったし、もう観れないだろうなあ。

 ということで今回の目玉はやはり初めて観た、しかもいつもとは違った「楽しそうだなあ」という面を見せてくれたロニー・ジャイムス・ディオだな(笑)。

         

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