倍音とは何か? |
音楽をやっていると、時折「倍音」という言葉を聞くことがあります
これは一体どういうものなのでしょうか?
普通に音楽を楽しむ場合、知らなくても全く問題はありませんが予備知識として解説していきます
倍音が音色を作る
倍音の語意の前にまずは倍音の役割について解説します
世の中には様々な楽器が存在します
また楽器に限らず、足音やサイレン等、音は普段の生活の中にあふれています
そもそも音には色々な成分が含まれています
その成分の中に問題の「倍音」もあります
この倍音というのは、忍者とでも言うべきか幽霊とでも言うべきか・・・
普通に音を聞いててもまず分かりません
例えばピアノの音なんかも当然倍音を含んでいるのですが
じゃあそこで「ド」の音をポーンと鳴らして見ると
調律が狂っていない限り、それは「ド」の音ですよね
他の音なんて感じ取れません
しかし!!実は他の音も混ざってます
感じ取れないのに、実は混ざってる
不思議な話ですよね
実は人間様はほとんど感じ取れない倍音ですが、これが音を形成する重要な役割を持っています
当サイト内でも音の形成について触れているコンテンツがいくつかありますが
例えば、音の高さというのは波が時間軸に対して細かければ細かいほど高くなります
そして、その音を奏でてる波全体を見ると形が作られます
その形が楽器等の音色の違いを生み出します
エンハンサーなんてエフェクターがありますが、これはこの形をよりくっきりさせてくれるものです
つまり、同じ「ド」の音でも、ピアノとトランペットでは波全体の形が異なっているわけですね
で、この中に倍音がさり気にお邪魔しちゃってるわけですが
ある楽器なら楽器の音の中の特定の周波数に対する倍音が含まれている為に
その楽器特有の音を奏でてくれています
つまり、倍音がなければ確実に「これなんの楽器?」という疑問が頭に浮かんできます
倍音とはつまり何?
さて、いよいよ倍音の意味に突入です
まず最初に簡単に言っちゃいますと、倍音とは基本となる音の周波数の倍の周波数を持つ音です
例えば、100hzの音があったとしたら、倍の200hzの音が倍音です
これは2倍の周波数の音ですが、3倍だったらどうでしょう?
100hzの3倍の周波数は300hz
実はこれも倍音です
同様に4倍5倍・・・とあります
ここで「ド=C3」の音の各倍音を見てみましょう
第1倍音 | C3 | 第9倍音 | D6 |
第2倍音 | C4 | 第10倍音 | E6 |
第3倍音 | G4 | 第11倍音 | F#6 |
第4倍音 | C5 | 第12倍音 | G6 |
第5倍音 | E5 | 第13倍音 | A6 |
第6倍音 | G5 | 第14倍音 | B♭6 |
第7倍音 | B♭5 | 第15倍音 | B6 |
第8倍音 | C6 | 第16倍音 | C7 |
はい、おおよそこんな感じになります
ん?おおよそ?
実はこの倍音で見ていった場合の音は※純正律の音です
※平均律(12平均律)の音とは若干異なった音になります
平均律と純正律についてはページ最下部に用語説明を記載してあります
話を元に戻しましょう
元の音の倍の音は元の音と同じ音(高さは違う)です
第2倍音の更に倍である第4倍音もまた同じ音です
つまり、周波数を完全に2倍すると1オクターブ上がるということになります
倍音を体験してみよう
え?体験してみるって?
実は一部の楽器では倍音成分を簡単取り出すことができちゃいます
ここではピアノでの取り出し方をこっそりお教えしましょう
ピアノの鍵盤は通常本体にある弦を押さえている状態ですが
鍵盤を押すとその押さえている部分が浮いて弦の振るえを邪魔するものがなくなります
その為に、鍵盤を押さえている間は音が伸びますが、鍵盤から手を離すと音が切れちゃうんですね
では簡単に真ん中の「ド」の部分を押して、音が完全に切れても押しっぱなしにしておいてください
(ゆっくりそろ〜っと押せば音を出さずに最初から押しっぱなし状態を作ることもできます)
その状態でサスティンペダル(音を伸ばすペダル)を踏む準備をしましょう
そしたら、その「ド」の1オクターブ低い「ド」の音を一瞬「ボン」と弾いてすぐに離します
と同時に準備していたサスティンペダルを踏んで見てくださいな
おや?押さえている「ド」の音より1オクターブ高い「ド」の音が鳴ってますねぇ
はい、倍音の抽出に成功ですね(笑)
ちなみに、電子ピアノなんかでは出来ませんので注意してくださいね
他にも、ギター等の弦楽器をやっている人だと「ハーモニック」というのを聞いたことがあると思いますが
あれ、実は倍音です
※解説
純正律は、元となる音の整数倍の周波数を辿っていく調律です
つまり、倍音=純正律になります
平均律は、1オクターブを分けることによって音階を作り出す調律です
純正律は周波数が整数倍になっているために、和音なんかが非常に綺麗にハモってくれます
平均律は、音階を奏でる際の音程関係の苦しいとこを取り除けることで
転調なんかをするときに非常に都合がいいんですが、和音は純正律に比べてきちゃないです(ノ_・、)グスン
といってみても、純正律のソの音と平均律のソの音を比べても、よっぽど良い耳をもってない限りほとんど区別つきません(笑)
ただ、和音の場合は、周波数がずれると「うねり」が起こりますので、平均律の和音と純正律の和音は注意すれば簡単に聞き分けられます