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黄金の踊り子 ストーリー
作:鷺塚良太

※『創作ファンタジー』として見ていただけますと幸いです。

 時は紀元前。場所は古代エジプト。 全人口の1%に満たない貴族。
その中でも更に少数の王族は文明最後の隆盛を謳歌していた。

二百年もの間、王族の中で繰り返される近親婚。
それによりこれ以上ないほど強固になった中央集権。
堕落するためだけに生きているような王族の暮らし。

しかしその中でもひとつだけ禁忌とされることがあった。
それは父と実娘による婚姻。
その禁忌を犯した先王は同族に責められ、ついには暗殺される。

しかし先王とその実娘の間には一人の子が生まれていた。
何の因果か、その子は悪魔の図形記号(グリフ)を生まれながらにその白い胸に刻まれており、
周囲の王族は子を王国に災いするものと忌避し捨てた。

 その子供は孤児として拾われ、やがて踊りの上手な、美しい娘に育った。
しかし孤児院の困窮を理由に、娘はその美しさ故に、奴隷商人へと売られることになった。 孤児院の義理の父親も苦渋の決断だった。

しかし娘が一人犠牲になることで、何十人もの別の子供たちが助かるのだ。
娘は言った。

「私は生まれついての悪魔です。悪魔を救う神は古今東西、どこを探してもおりません。
私は生まれた時から自らの祝福を諦めています。だから、よいのです。
こんな私でも、誰かが幸せになるための手伝いになれるのなら」

娘が踊る理由は、自分を祝福するためではなく、誰かの祝福を願うためのものだったのだ。
(当時、踊りはただのダンスではなく、呪術的な意味合い、特に神へ何かを願うための儀式として機能していた)

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