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(新譜、旧譜が混在しています)

評価は100点満点。ネオクラ度は5段階。
テクニカル度はギターに関してのもので5段階。数字が上がるほどテクニカル度高し。

 

Shock Waves
LEATHER
NEO-CLASSICAL度=1 TECHNICAL度=3 POINT=76
STYLE Heavy Metal
 CHASTAINのヴォーカリストLEATHER LEONEのソロアルバム。しかしソロと謳いながらも、メンバー的にはギターでMICHAEL HARRISが全面参加、ベースとドラムもCHASTAINというCHASTAINからギターが差し替わっただけという構成。正統派メタルにパワフルな女性ヴォーカルという、悪く言えば、80年代の香りがプンプンする典型的なB級メタルサウンドを展開している。LEATHERのヴォーカルは、近頃はやりのオペラ系、癒し系とは一線を画す、古き良き時代の女性ヴォーカリストで、DOUBLE-DEALERの下山武徳を薄味にしたような、粘着系のやや灰汁の強いタイプだ。MICHAEL HARRISのギターはネオクラではないが、時折D.T.CHASTAINを彷彿とさせる奇妙な音階を絡ませ、地味ながら安定したソロを披露している。全体的にはやはり楽曲の弱さが顕著で、正直言ってリピートして聴くのは少々つらいものがある。(2003/07/27)

Lick This
GUITAR 2001(V.A)
NEO-CLASSICAL度=1 TECHNICAL度=3 POINT=77
STYLE Instrumental(HARD ROCK/FUSION)
 ギタリストのMICHAEL KNIGHTが主催している"GUITAR 2001"なる雑誌監修のオムニバスインストアルバム。RUSTY COOLEYなども含め多少名の知れたギタリストもいることにはいるが、一般的にはほとんど知られていない人たちばかりである。フュージョン系の曲が数曲と残りがハードロックインストという構成で、すべてインストで占められている。この手のアルバムはほとんどの曲が凡庸であることが多く、残念ながら今作も例外ではなかったが、その中でも注目株はMIKE GALLAGHERというギタリスト。ドラマティックなメタル曲にタッピングも織り交ぜたレガート系のスリリングな速弾きを連発し、曲の短さに不満は残るものの、高レベルのインストを聴かせてくれており、今後要注目と言えるだろう。次点はインストアルバムの"The Alchemists"にも参加していたTERRY SYREKで、ダークでアバンギャルドな曲調ながらも、弾きまくりの速弾きはなかなか圧巻である。この2人とRUSTY COOLEY以外は平均的な曲なので、点数はこんな感じかな。ちなみにRUSTYの"The Butcher"はソロアルバムにも収録されている曲。(2003/07/26)

Vibe
MIKE CAMPESE
NEO-CLASSICAL度=4 TECHNICAL度=3 POINT=80
STYLE Instrumental(HARD ROCK/NEO-CLASSICAL including 3 vocal tunes)
 ジェイソン・ベッカートリビュートにも参加していた、GIT出身のテクニカル・ギタリストの3rdソロ。MIKE CAMPESEと言えば、過去のアルバムをGUITAR 9などで試聴した限り、やりたいことは分かるが、「雑」「センスいまいち」の魅力ほとんどなしとの印象で今まで手つかずにいた。だが、このアルバムでは大胆にストリングスを導入し(打ち込みだけど)、シンフォニックかつネオ・クラシカルなアプローチを積極的に試みるなど、ネオクラインストマニアにも十分アピールしうる内容となっている。ヴォーカルナンバーやブルージーな曲もあるが、組曲風のインストなど聴かせどころも多い。テクニック面に関してもストラト独特の柔らかいトーンから弾き出されるテクニカルフレーズに加え、オリジナリティーある音使いも披露し、単なるモノマネインストとは一定の線引きが出来ているように感じる。ただ、一連のテクニシャン達と比較すると今一歩詰めが甘いという事実は明白で、プロダクションのチープさと共に今後の克服課題として残るだろう。(2003/07/20)

Silver Seraph
SILVER SERAPH
NEO-CLASSICAL度=3 TECHNICAL度=3 POINT=87
STYLE HARD ROCK
 音楽性の相違からMIDNIGHT SUNを脱退したピート・サンドベリがTIME REQUIEMのリチャード・アンダーソンなどと組んだプロジェクトの1st。2nd、3rdのMIDNIGHT SUNで聴かれた北欧ネオ・クラシカルメタルとはやや趣を異にし、DEEP PURPLEやRAINBOW路線の古典的様式美ハードロックに、ネオ・クラシカルのエッセンスを所々注入したようなサウンドを展開している。ある意味問題作とも言えるMIDNIGHT SUNの4thと今作を比較すると、何故ピートが「脱退」という道を選択したのかが明確に示されていると言えるだろう。ピートの繊細ながらも甘美で印象的なヴォーカルラインと、リチャードの裏方に徹していながらも、バンドのカラーを主張するのに貢献しているキーボードワークは実に味わい深い。惜しむらくは、テクニカルながらネオ・クラシカルに徹しきらないギターソロで、敢えてそっち系統にならないよう気を遣ったとの話もあるが、ネオクラマニアにとってはある種煮え切らなさが残ってしまうのは否定できないところ。ギターさえ完璧ならプラス5点は確実だったんだけど。(笑)でも良いよ。(2003/07/12)

Upgrade
GONCALO PEREIRA
NEO-CLASSICAL度=2 TECHNICAL度=4 POINT=86
STYLE Instrumental(HARD ROCK)
 ポルトガルのギタリストのオールインストアルバム。ジャケットからタッピングへの執着を連想させるが、それだけではない。もちろんタッピングも巧いが、(8フィンガータッピングもやっている模様)音粒の揃ったファストプレイや、スウィープ等も軽々こなし、テクニックに関しての安定感は抜群だ。フレージングの引き出しも豊富な上、ソロの構築センスもなかなかのもので、ハードロックサウンドを軸にフュージョン、ブルース、インダストリアル、クラシカルな小曲まで、幅広いサウンドを聴かせてくれる。全体として若干散漫な印象もないわけではないが、ノリの良いハードロックサウンドに、印象的なメロディー、それにさらりと絡めてくるテクニカルなリックは聴き応え十分で、高品質なンストアルバムの部類に入るだろう。(2003/07/06)

ALIEN LOVE CHILD: Live And Beyond
ERIC JOHNSON
NEO-CLASSICAL度=0 TECHNICAL度=2 POINT=78
STYLE Rock
 エリック・ジョンソンが自身のバンドAlien Love Childを引き連れて行ったライブを収録したアルバム。彼のスタジオアルバムは「Ah Via Musicom」1枚しか聴いたことないが、初めて聴いたときは、オープニングソロに続くインストナンバー「Cliffs Of Dover」(タマスもカバーしている)の軽快ながら、一度聴いたら忘れられない親しみあるメロディーに、ジャンルこそ違うが、歌心のあるいいギタリストだなあ、と思っていた。で、このライブ盤であるが、 インスト5曲、ヴォーカルナンバー4曲とスタジオ新録1曲で、ソロアルバムからの曲中心の構成となっている。彼の持ち味である柔らかなギタートーンから弾き出されるテクニカルながら繊細なフレーズはライブでも色あせることなく、これまた繊細な自身のハイトーンヴォーカルとでまさにAORと呼ぶに相応しいアダルトなロックサウンドを展開している。「Cliffs Of Dover」が収録されていないのは残念だが、全編にわたる落ち着いたメロディーの洪水が耳に心地よい。メタルではないので点数はこの通りだが、たまにはこういうのも良いね。(2003/06/29)

...In Inconstancia Constans
CYRIL ACHARD'S MORBID FEELING
NEO-CLASSICAL度=3 TECHNICAL度=4 POINT=82
STYLE Progressive/Hard Rock/Heavy Metal
 フランスのテクニカル・ギタリスト、シリル・エイチャード率いるプログレッシブHRバンドの1st。シリルのソロプレイはネオ・クラシカル系ではあるが、ライブ感溢れるトーンに加え、恐らくインプロヴァイズ中心であろう型にとらわれないタイプで、既存のネオ・クラシカルプレイとは一線を画す、独特の味わいをもたらしている。整合感あるプレイを良しとするこの手のギタリストが多い昨今、時にはエモーショナルに、時にはラフに一音一音情感に訴えかけるセンスあるスタイルは貴重な存在と言っていいかもしれない。プログレ系はあまり聴かないので、全体のサウンドについては言及しないが、素人的にみてもいわゆる紛れもないプログレハードなので、点数はこんな感じかな。なお、トニー・マカパインがキーボードで3曲ゲスト参加している。(2003/06/28)

Virtual Virtuosity
THEODORE ZIRAS
NEO-CLASSICAL度=5 TECHNICAL度=4 POINT=90
STYLE Instrumental(NEO-CLASSICAL)
 ギリシャのネオ・クラシカルギタリストの2ndソロ。1stでマニアを狂喜させた100%ネオクラインストの流れを引き継ぐ内容で、曲の完成度が高まった分、全体的にもワンランクアップした印象だ。彼の持ち味であるアルバムを通して、ほぼネオ・クラシカルフレーズだけでメロディーを構成する手法は、実はトニー・マカパインやヴィニー・ムーアら誰もがやらなかったことで、マンネリズムに陥る危険性は孕んでいるものの、ある意味方向性としては新たなものと言える。フレーズ自体に特段目新しさはないけれど、ある種内向的とも言える曲に絡む確かなテクニックに裏打ちされたネオクラリックとの調和が独自の世界を生み出している。相変わらずリズム面の薄っぺらさは気になるが、前作で問題だった曲のエンディングの中途半端感も完全とは言えないまでも一定程度克服され、着実に進歩している。まさにネオクラインスト界の救世主と言っても過言ではないくらいマニアにとっては頼もしい存在だ。(2003/06/25)

Life On The Wire
CONCERTO MOON
NEO-CLASSICAL度=3 TECHNICAL度=4 POINT=81
STYLE Hard Rock/Metal
 テクニカル・ギタリストの島紀史率いるジャパニーズ様式美メタル・バンドの(おそらく)4th。正統派チューンを中心に様式美やジャパメタ風、さらにはJ-POP系バラードやインペリテリがやりそうなネオクラインストまでバラエティーに富んだ仕上がりになっている。初期に見られたジャパメタ臭さが減退し正統色が濃くなったのは、ダブルディーラーの影響が少なからずあるのかもしれない。新加入の井上のヴォーカルは、そのダブルディーラーの下山武徳似だが、彼ほど灰汁のきつさはなく、はっきりと好き嫌いが分かれるほどの声質ではないと思う。個々人のレベルは高いと思うが、かつてからの個人的な懸念であるギターソロの印象の薄さと、ヴォーカルラインのつまらなさは依然克服されていない。スーっと右から左の耳へ流れ出ていってしまう曲が多いのが気になる。(2003/06/22)

No Boundaries
ARK STORM
NEO-CLASSICAL度=5 TECHNICAL度=4 POINT=85
STYLE Hard Rock/Metal(Neo-Classical)
 太田カツ率いるバンドの1st。全編に渡り典型的な様式美チューンと、イングヴェイを彷彿とさせるネオ・クラシカルなギターソロが堪能出来る。太田のギタープレイはイングヴェイクローンと言ってしまえばそれまでだが、一番の魅力は初期のソロの構築美を具現化しているところだろう。インプロヴァイズに走りすぎるあまり、ソロの印象が希薄になってしまっている最近のイングヴェイに納得がいかない諸氏には間違いなくおすすめだ。マイク・ヴェセーラが風邪をひいたようなヴォーカルの声質に好き嫌いが分かれるだろうが、全体的なプレイはメジャーデビューに恥じない高レベルの部類に入る。目新しさはないけれど、これぞ「80'sネオ・クラシカルメタル」と言える王道パターンで、ファンには堪らないサウンドだと思う。

Sign Of The Winner
HEAVENLY
NEO-CLASSICAL度=1 TECHNICAL度=3 POINT=81
STYLE Melodic Power Metal
 フランス産メロディックパワーメタルバンドの2nd。同系統の中でこのバンドがどの程度のポジションにいるのか語るほどの知識は持ち合わせていないが、全盛期のHELLOWEENの流れを汲む一派の中でも高位に位置するのは確かだろう。細めでやや頼りなさが残るハイトーンヴォーカルにクサいメロディー満載の疾走チューンとお約束の形態ではあるが、メロディー、展開とも良く練られていると思うし、インストパートの実力も高い。ただ他を圧倒するほどの個性があるかと言えば、やや疑問符を付けざるを得ない。今後はいかに「らしさ」をアピールするかがポイントだが、それが出来る実力を兼ね備えているバンドだと思う。

The Second Coming
NEIL NAGAOKA
NEO-CLASSICAL度=2 TECHNICAL度=4 POINT=81
STYLE Instrumental(HARD ROCK/FUSION)
 2ndアルバム。前作のリリースが’97年なので約5年ぶりということになる。前作を踏襲したフュージョンがかったHRインストで、叙情的なフレーズの中で得意のスウィープを多用する独特のソロの組み立ても変わらない。GITの講師らしく音粒の揃ったフレージングは相変わらず見事で、少しでもギターをやったことがある人なら溜息が出ること必至である。ただ全体的に前作よりも落ち着いた曲調になり、ハードさを求める向きには少々物足りないかもしれない。玄人好みのアルバムと言えそうだ。

Say Yeah
AQUILA
NEO-CLASSICAL度=0 TECHNICAL度=0 POINT=80
STYLE ROCK
 レーベルとの軋轢を埋めることができず、惜しくもTERRA NOVAは解散してしまったが、中心人物のFred HendrixはニューバンドAQUILAを率いて戻ってきた。サウンド的にはアコースティックナンバーが大半を占め、TERRA NOVA時代より「ハードさ9割カット」といった印象だが、Fred Hendrixの耳に心地よい歌メロはまさにTERRA NOVAのそれそのもの。親しみあふれる日本人好みのメロディーのオンパレードで、相変わらず個性は際だっている。もはやハードロックと呼ぶには語弊があるかもしれないが、何はともあれFred節が再び聴けたことは素直に喜びたい。(2003/05/25)

Let It Go
SLAV SIMANIC
NEO-CLASSICAL度=2 TECHNICAL度=4 POINT=88
STYLE HARD ROCK
 2ndアルバム。今回はソロ名義ではあるが、ヴォーカリストを迎えて歌モノ中心のアルバムとなった。路線変更ということで手を出せずにいたが、これがキャッチーな歌メロ満載のメロディアスHR曲オンパレードで、嬉しい誤算とはまさにこのこと。前作で魅せたネオ・クラシカルがかった安定感抜群のテクニカルギターも健在だし、インストが苦手というリスナーにも十分お薦め出来る内容だ。だが最も特筆すべき部分は、コンポーズ面での能力の高さだろう。どのナンバーでもサビでは印象的なメロディー絡ませ、最後まで飽きさせることなく進んでいく。後半、唐突に6分超のネオクラインストを入れて、この手のマニアに気を遣うことも忘れていない。(笑)

El Lenguaje De Los Espiritus
HITTAR CUESTA
NEO-CLASSICAL度=3 TECHNICAL度=3 POINT=83
STYLE Instrumental(METAL/HARD ROCK/NEO-CLASSICAL)
 エクアドル人ギタリストによるオールインストソロ。国籍もよく分からないギタリストだったのでダメモトで購入したが、なかなかどうして思ったより悪くない。店の宣伝文句は「TAMAS,KELLY SIMONZタイプ」とのことだったが、ネオクラ調の曲が数曲あるにせよKELLYほどネオクラ一辺倒ではないし、むしろ「TAMAS,JOE SATRIANIタイプ」のほうがしっくりくるかもしれない。それほどバカテクの持ち主ではないため、ファストなフレーズは弾ききれていない部分もあるし、若干タイミングがずれるなど未熟な部分もあるが、オーソドックスながらも、単なる速弾きオンリーの自己満プレイに陥らないところは好感が持てる。バラードで魅せるエモーショナルなフレーズも様になってるし、キャッチーなHRナンバーや疾走型のネオクラインスト曲など内容も多彩で、インストとしては十分合格点をあげられる。

Full On!
TOSHI ISEDA
NEO-CLASSICAL度=1 TECHNICAL度=3 POINT=85
STYLE Instrumental(METAL/HARD ROCK)
 エクアドル人ギタリストによるオールインストソロ。国籍もよく分からないギタリストだったのでダメモトで購入したが、なかなかどうして思ったより悪くない。店の宣伝文句は「TAMAS,KELLY SIMONZタイプ」とのことだったが、ネオクラ調の曲が数曲あるにせよKELLYほどネオクラ一辺倒ではないし、むしろ「TAMAS,JOE SATRIANIタイプ」のほうがしっくりくるかもしれない。それほどバカテクの持ち主ではないため、ファストなフレーズは弾ききれていない部分もあるし、若干タイミングがずれるなど未熟な部分もあるが、オーソドックスながらも、単なる速弾きオンリーの自己満プレイに陥らないところは好感が持てる。バラードで魅せるエモーショナルなフレーズも様になってるし、キャッチーなHRナンバーや疾走型のネオクラインスト曲など内容も多彩で、インストとしては十分合格点をあげられる。

Electric Storm
SEAN MERCER
NEO-CLASSICAL度=5 TECHNICAL度=3 POINT=85
STYLE Instrumental(METAL/NEO-CLASSICAL)
 アメリカ人ギタリストによる1stソロ。オールインスト。15年前に逆戻りしたかと思わせるほどの、(良い意味でね!)古典的なネオクラ・インストで、全体の雰囲気はVinnie Mooreの「Time Odyssey」に近い。強者がゴロゴロいる昨今、テクニック的にはオーソドックスにきっちり弾きこなすタイプだが、曲の構成が古き良き時代のネオ・クラシカル色を醸し出しているところは一聴の価値がある。Theodore Zirasといい、このような純ネオクラ・インストの継承者が、地味ながらもアルバムをリリースしてくれていることはまさに歴史は繰り返すという証左と言ってもいいかもしれない。状況は厳しいが是非ともがんばって欲しいものである。

Promised Land
FERRIGNO・LEAL・KUPRIJ
NEO-CLASSICAL度=4 TECHNICAL度=5 POINT=79
STYLE Instrumental(PROGRESSIVE/NEO-CLASSICAL)
 Vitarij Kuprij,Marco Ferrigno,Javier Lealによるオールインストアルバム。ご存じVitarij Kuprijとジョージ・ベラスの弟子でもありインストソロアルバムもリリースしているMarco Ferrigno。もう一人のギタリストLealに関しての詳細は不明だが、相当なテクニシャンであることがこのアルバムから分かる。叙情的なバッキングに3人の火花散る壮絶な速弾きの応酬が繰り広げられる。Ferrignoはベラスの弟子らしくクロマチックスケールを多用した音数の多いリードをプレイし、Lealも負けじと応戦する。(両方とも似たタイプなので左右のチャンネルで区別はしてあっても、どっちが弾いているのか判別できないのが難点だが)ただ、楽曲的には、淡々と続くミドルテンポのナンバーに3人のバトルが被さるというパターンがほぼ全編に渡り展開されるので、はっきり言って中盤はダレる。折角これだけの人材が揃ったのだから、曲の練り方にもう一ひねり欲しかったというのが正直な所ではある。

Rusty Cooley
RUSTY COOLEY
NEO-CLASSICAL度=4 TECHNICAL度=4 POINT=88
STYLE Instrumental(METAL/NEO-CLASSICAL)
 アメリカ人ギタリストの1stソロアルバム。これまで数々のオムニバスアルバムには参加していたが、その素性は謎のままで、この度ようやくオールインストのソロがリリースされた。ソリッドなトーンで怒濤のごとく繰り出されるソロは怒りとエネルギーに満ち溢れており、ハードなリフとともにネオ・クラシカルメタルインストの王道型を具現化している。やや荒さは残るが、これだけ弾きまくりながらもソロの扇情性を十分保っているところは見事。コンポーズ面でもなかなかのセンスが感じられるし、将来性は期待大。ちなみに7弦ギターの使い手でもある。

Matt Mills Project
MATT MILLS PROJECT
NEO-CLASSICAL度=5 TECHNICAL度=4 POINT=78
STYLE Instrumental(METAL/NEO-CLASSICAL)
 MATT MILLSなるアメリカ人ギタリストのソロアルバム。スウィープも織り交ぜながら凄まじい速さで弾きまくるソロが特徴。さしずめFrancesco Fareriのネオクラ版といった印象だ。技が少ないせいか、フレーズが全体的に単調だが、テクニック的にはまずまずのものを持っている。薄っぺらいサウンドとワンパターンな展開の曲が思いっきりB級臭さを感じさせてくれるが、ルックスも含め、(笑)個人的には応援してやりたいタイプのギタリストではある。

Master Of Paradise
TONY MACALPINE
NEO-CLASSICAL度=4 TECHNICAL度=4 POINT=81
STYLE HEAVY METAL/HARD ROCK(PROGRESSIVE/NEO-CLASSICAL)
 今作は意欲の表れか、はたまたネタ不足か、あっと驚く自身のヴォーカルを全面的にフィーチュアした内容になっている。はじめての挑戦とあってヴォーカルメロディーには垢抜けない部分も多く、表現力も不足気味だが、所々にハイトーンも絡めながら、中〜高音域を丁寧に歌い上げ予想外に健闘している。肝心のギターはまさにマカパイン節炸裂で、ことギターソロに関してはここ数作の中で一番印象的といってもいいかもしれない。インストだったら素晴らしい仕上がりになったろうに、と個人的に思う曲もチラホラあるが、マンネリ打破に向けた意外性ある試みとして一定程度評価したい。

Vk3
VITALIJ KUPRIJ
NEO-CLASSICAL度=3 TECHNICAL度=5 POINT=80
STYLE Instrumental(PROGRESSIVE/METAL/NEO-CLASSICAL)
 絶倫キーボーディストというらしいが(笑)、ARTENSIONのKeyの3rd。今回は相棒にトニー・マカパインを迎えたマニア感泣の組み合わせ...と思われたが、やや肩すかしかもしれない。展開の多用で緊張感が散逸してしまうような曲に無駄に弾きすぎるKey&Gt。期待されるテクニシャン同士の激突で生まれるスリリングな展開、とはほど遠い内容になっている。何より曲が散漫だし、トニーのギタープレイも全く精細を欠いている。ソロ、バンドとアルバムの量産がマイナスに作用している見本だと個人的には思う。

The Mission
ROYAL HUNT
NEO-CLASSICAL度=2 TECHNICAL度=2 POINT=80
STYLE HEAVY METAL
 前作「Fear」はヴォーカルが変われど、サウンド自体はほとんどD.C.クーパー時代と変化なしという作りだったが、今回はジョン・ウエストの魅力が十分堪能できる1枚となった。最近のアーテンションでのワンパターンな歌メロにははっきりいって辟易させられていたが、自信の中音域中心の伸びのある声質をいかして、起伏に富んだ魅力的なヴォーカルラインを丁寧に歌い上げている。カミングアウトすれば(?)、個人的にROYAL HUNTのクサ過ぎるサウンドは苦手なので、評価はこの通りだが、品質的には悪くないと思う。

Dios Eol
ALEJANDRO SILVA
NEO-CLASSICAL度=4 TECHNICAL度=5 POINT=90
STYLE Instrumental(HARD ROCK/METAL/NEO-CLASSICAL)
 チリ人ネオクラシカルギタリストの2ndソロ。オールインスト。世界にはまだまだ優れたギタリストがいると痛感させられた1枚。流麗なファストプレイ、音粒揃いまくりの高速スウィープとテクニックは一流どころと比較しても全く遜色ない。それどころかワンパターンにならないフレージングは、テクニカルと言われている凡百のギタリストよりもはるかに音楽的センスの良さを感じさせてくれる。サウンドはいわゆるネオ・クラシカルなソロを随所に配したメタルインストで、全体的には平均的な曲が並ぶが、圧巻はラストの「Dios Eol V Neopangea」。トニー・マカパインの焼き直しではない、新世代の疾走ネオクラインストとも言える独自のエッセンスを注入した悶絶チューンを聴くことができる。(誉め過ぎか?・笑)評価はこの曲だけに付けたようなもんです。脱帽!

Burining Sprit
TONY BAENA
NEO-CLASSICAL度=5 TECHNICAL度=4 POINT=81
STYLE Instrumental(METAL/NEO-CLASSICAL)
 スパニッシュギタリストの1st。一聴して誰もがトニー・マカパインの名を浮かべるだろうが、まんまパクリというわけではない。中華風の曲もあれば、メローなバラードもある。だがやはりインパクトを感じさせるのは、大半を占めるマカパイン譲りのスリリングな展開のインストだろう。これまでも類型インストは多数存在したが、テクニック、曲の完成度でも上位の部類に入ることは間違いない。音質的にこもり気味のギターが難点だが、ネオクラインスト好きなら十分楽しめる内容だと思う。

Electric Joy
RICHIE KOTZEN
NEO-CLASSICAL度=0 TECHNICAL度=4 POINT=79
STYLE Instrumental(ROCK/FUSION)
 3rdソロアルバム。2ndでは自らヴォーカルをつとめたが、今回は再びオールインストアルバムとなった。1stでもややフュージョンチックな面は散見されたが、今回はそれを更に押し進め、よりライトなロック/フュージョン路線となっている。メタルファンにはかなり取っつきにくいサウンドになってしまったが、ギタープレイは相変わらずウルトラC級の技のオンパレード、楽曲もファンク、ブルース、ジャズと多彩で、センスは天下一品である。個人的には嫌いでないが、一般的にはフュージョンファン向け、ギターキッズ向けの内容だと思う。

Unknown Soldier
WARMEN
NEO-CLASSICAL度=3 TECHNICAL度=3 POINT=84
STYLE Instrumental(METAL including 3 vocal tunes)
 CHILDREN OF BODOMのKey、ヤンネ・ウィルマンの1stソロ。ゲストヴォーカルにシナジーのキンバリー・ゴスが参加している。疾走感あるメタルインストが中心で、パワーメタル調の曲にネオ・クラシカルなキーボードが絡む。ギタリストも無名であるがかなりの巧者で、ヤンネのKeyと互角にバトルを繰り広げている。印象としてはチルボドよりもSONATA ARCTICAのような透明感ある北欧系パワーメタルに近い。言うまでもなくアンネのKeyも圧巻で、このアルバムを聴くと、チルボドではアレキシ・ライホ以上に重要な役割を果たしていることがあらためて分かる。

Schizoid
JEFF KOLLMAN
NEO-CLASSICAL度=1 TECHNICAL度=4 POINT=80
STYLE Instrumental(HARD ROCK/FUSION)
 1stソロ。ハードロック/フュージョン路線だが、数々のバンド、プロジェクトで培ってきた音楽的バックグラウンドを反映させた幅広いソロワークを聴かせてくれる。全体的な出来も単調にならず、表情豊かな曲が並ぶ。ただ地味で玄人好みの作りなので、万人には受け入れられないかもしれない。スリリングな#8のようなインパクトのある曲をもっと多く配すれば違った印象になるだろう。

Wages Of Sin
ARCH ENEMY
NEO-CLASSICAL度=0 TECHNICAL度=3 POINT=82
STYLE MELODIC DEATH METAL
 4thアルバム。Voが変わった分、若干でも音楽性の変化を予想していたが、それは杞憂だったようだ。ノーマルヴォイスを散りばめるなどの昨今の流行には見向きもせず、徹頭徹尾己のスタイルを貫いている。幾分聴きやすくなったとは言え、爆裂デスラッシュリフに切り込んでくるアモット兄弟の叙情ソロ、と構図は不変だ。とはいえマンネリの影がチラついているということも指摘せざるを得ない。次作はライブアルバムを除き通算5枚目となる。変化を付けるのが難しいジャンルだが、そこは天才アモット兄弟の腕の見せ所に期待といったところか。

Across The Miles
GENERATION IBANEZ PROJECT (V.A)
NEO-CLASSICAL度=1 TECHNICAL度=3 POINT=78
STYLE Instrumental(HARD ROCK/FUSION including 2 vocal tunes)
 歌モノ2曲を含む14曲入りのギターオムニバスアルバム。ほとんど全員無名のギタリストで、ネオクラファンの要注目と言えばRUSTY COOLEYぐらいだろうと思う。全体の音楽性はハードロック、フュージョン中心だが、RUSTYだけがネオクラインストを2曲プレイしており、ひとり気を吐いている恰好だ。この2曲以外はテクもそこそこ、曲も凡庸で特筆すべき部分はない。ほとんどマニア向けアルバムと言っていい。

Getting Heavier
RACER X
NEO-CLASSICAL度=2 TECHNICAL度=5 POINT=82
STYLE METAL/HARD ROCK(including 1 Instrumental tune)
 5thアルバム。すでに再結成後3枚目ということで、ポール・ギルバートは単なるインスタント再結成を目論んだわけではなかったようだ。再結成以後のアルバムは、1st、2ndで聴かせたLAメタルにヨーロピアンテイストをまぶしたものに、メンバーそれぞれのこれまでの音楽的バックグラウンドを投影させた、落ち着きと余裕が感じられるサウンドに仕上がっているが、今回もそれを踏襲した作りになっている。単なるハイレベルなプレイヤー同志の激突にならないのは、このバンドならではのメンバー間の信頼の上に成り立つ結束が、強固なサウンドの融和を生み出しているからであろう。初期のパワーはかなり減退しているが、これも成長の証と言える。テクニカルプレイも盛りだくさんでギターキッズを喜ばせることも忘れていない。

Taking The Lead
ELIAS VILJANEN
NEO-CLASSICAL度=1 TECHNICAL度=3 POINT=83
STYLE Instrumental(METAL/HARD ROCK)
 フィンランド人ギタリストのオールインストアルバム。そこそこテクニカルではあるが、派手に弾きまくっているわけではない。ギタープレイよりも、時にメロデスをも彷彿とさせるヘヴィーでドラマティックな展開を含んだ曲がかなり魅力的。プレイも音質も安定しているので、インストアルバムとしては高品質の部類に入るだろう。ギターアルバムというより、メタルインストアルバムとして高評価したい。

The Alchemists
V.A
NEO-CLASSICAL度=3 TECHNICAL度=5 POINT=83
STYLE Instrumental(METAL/HARD ROCK/FUSION/JAZZ)
 2枚組オムニバスオールインストアルバム。人選がマニア心をくすぐる。STEPHEN ROSS,TODD DUANE,SCOTT STINE,RUSTY COOLEY,ROB JONSON,STEPHAN FORTEなどSHRAPNEL系やMARIO PARGAのようにほとんど第一線から退いていたような人まで実に多彩な顔ぶれである。サウンドの方はネオクラをはじめロック、ジャズ、フュージョンと何でもありだが、メタルインスト好きが期待する人たちは裏切らないプレイをしてくれているところがまたうれしい。


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