あけてくれ(第28話)

注:前の怪奇大作戦もそうですが、自分の記憶で書いているので細かいセリフ等は
  違っているかもしれません。思い込み&思い入れで書いてますので、
  そこのところはヨロシク。
    
深夜の空に電車が走る。とってもシュールなイントロダクション。

佐原健二と桜井浩子は西条康彦を置き去りにして二人っきりのドライブと
しゃれこんでいた。そこに現れた柳谷寛。いきなり道路にぶっ倒れた状態で登場。

こりゃやばい、とのことで江川宇礼雄博士の所につれていくことに決定。
突如目覚める柳谷、いきなり奇声を上げて逆上。佐原、桜井の制止も聞かず
電車にダイブ!!
  
突如、場面は電車の社内へ、変な車掌に起こされる柳谷。切符を見せろと言われるが
見つからないので、車掌にとある一団のところまでつれていかれたのであった。

そこにはおっさんとおばはんと学生さんと死神博士天本英世がいた。

「あ、お仲間ですか?私はこういうもので・・・」と名刺を出す柳谷。
卑屈なポーズが哀愁を誘う。昔見てた時はどうとも思わなかったのだが
就職して仕事をするようになってからどうもこういう姿は悲しい物に感じるのは
大人になったからだろう。

「まあいいじゃありませんか、一人でも多い方が心強いでしょう。今もこうやって
飛び入りさんに説明していたところですから」という天本。

「貴方の小説にかかれている世界は本当にあるのですか!」と唐突に訪ねる学生。
持っている本は天本の顔のドアップ写真。タイトルも書いてないので気色悪い。
(2020年の挑戦の時はしっかり書かれていたのに。)

「あなたがた何時も仰有っていたじゃありませんか。何もかも煩わしくてどこかへ
逃げ出してしまいたい。競争や派閥はこりごりで裸のままで過ごせる世界が
あったらなあと。最近、会社でうまくいってませんね?何もかも煩わしくて
奥さんや娘さんから逃げ出したい。そうでしょう?」痛い所を突いてくる天本。
しどろもどろになる柳谷。

「今、電車は時間と空間を飛び越えて別世界に向かっているのです。
嘘だと思うのなら外をごらんなさい。」冷静に言い切る天本。
動揺した柳谷は外を見て驚愕。そこには過去の自分が写っていた。
未練を感じた柳谷は絶叫。

「俺はまだ行けないんだ!俺は降りる!あけてくれ!!」
 
場面は一瞬に転換。ここは江川の研究所だった。

全て逆催眠によって引き出された柳谷の記憶だったのだ。
それを聞いて納得する江川と助手岡部。

驚くべき事に別室には同じように「あけてえ!」と叫び続ける女がいた。
その別室は手で書いた宇宙が壁一面に書かれていた、実に狂った部屋であった。
(話の筋には関係なし)
「新幹線の線路に倒れていたのを運び込んでからずっとあの通りなのだ」との事。

大体、こんな電子音の鳴っている怪しげな研究所ではなく、
普通、病院に連れていくものだと思うが・・・・

とりあえず佐原と桜井は天本の家へいった。
「ずっと外へでかけたきり帰ってない」との返事。「連絡は定期的にあるが何処に
いるのか分からない」
と答えるお手伝いのおばちゃん。全然訳が分からなく要領を得ない。
二人は江川と警察で合流。そこで発表された内容は恐るべき話だった。  
「電車のおっさんが8ミリで記念撮影の最中、車両が空へ浮かび上がって消えた。」のだ。
おっさんのリアクションがなかなか気合いが入っていて良い。
生前円谷英二は役者に「もっと驚け!」と説教をかましていたそうだが、
このおっさんは「教え」を忠実に守っていて好感がもてる。

「他にも電車が忽然と消えたりする事件が相次いでいる。この件が世間に知れたら
パニックになるので発表は時期尚早。黙っていろ」と口止めをする警察当局。

結局訳が分からないだけの話か、と諦めていた佐原の車に突然天本の笑い声と封筒が!
ましてやその封筒は天本の顔のドアップ写真。しかも黒ベタ。
そこには全ての謎が記されていた天本の手記が入っていた。
  
「私はひどく疲れていた。作家としての行き詰まりでスランプ状態にあったのは
事実であった。今日もSF愛好会という愚劣な集まりに参加した帰りで死ぬほど
疲れていた。
そしてふとエレベーターを見るとどんどん下がっていくのが分かった。
ひたすら下降するエレベーター。
尋常でない所まで下がっていったエレベーターの終点は見たこともない別世界であり。
車や電車が空を飛ぶ世界であり。現実社会の模倣でもデフォルメでもない
もう一つの世界で、そこには先住民がいて家族を持っているものもいたのだ。」
納得する佐原と桜井。
   
一方、家族に引き渡された柳谷は嫁と娘にさんざん責められる。
逃げ出したいので会社に直行。

普通、午後4時過ぎに会社に来たら上司に怒られるのは当たり前。
思った通りさんざん怒られる。

「一体、あの時感じた未練は一体何だったのだろうか?」

この世界に何の未練も無くなった柳谷は夜空を見上げながら叫び続けた。
「連れてってくれー!俺も連れてってくれ!どこへでも連れてってくれー!!」

石坂浩二のイヤなナレーションが締めくくる。

「もしも温かい家庭や理解のある異性がいらっしゃるなら、
夜の電車はくれぐれもご注意下さい。」          終
という話なのだ。結構みんな知っている話であるが本放送の時は「余りにも難解」 との見解で放送されずウルトラマン前夜祭に急遽振り替えられたのだ。 再放送のとき、トドラの話が終わったのに翌日もやるとテロップに出て 何か変な気分になったのを鮮明に覚えている。本当はそういう演出だったのでは? と勘ぐりたくもなる。私のようにリアルタイムで見ているような人間は 本当に訳が分からなかった。 難解というよりは余りにも身につまされる話だったんじゃないのかなあ。 と言うのは、これがいきなり関西で深夜に再放送が行われた頃。それは大昔、 といっても14年前。 まだ、ぴあが大阪に無かった頃の話である。 余談だが、当時、情報誌と言えば、「Lマガ」か「プレイガイドジャーナル」 しかなかった大阪に進出するため、確か、ぴあが「Q」という名前で今のぴあと まったく同じイラストの情報誌を出して、どんどん関西に食い込んでいき、 「Q」は知らない内にぴあに名前を変えて、関西進出を成し遂げていったような? という記憶がある。 確か、そんなこんながあってぷがじゃは潰れたんじゃなかったっけ。 (暇な人はぷがじゃの関係者であったガンジー石原氏に聞いてみよう) 又、ウルトラQの放送はその「Q」というイメージを植え付けるために 広告代理店が仕掛けたという噂があったような記憶が? (読売広告社の奴が言っていたような記憶が・・・・) 話は戻るが、その頃はコピーライターブームでゴジラ復活の年だった。 今も覚えている1984年である。 この年に就職した私は、世間の厳しさにうちひしがれており、 それにもまして私生活でもいろいろあったので 「できるなら俺も逃げ出したい」と強く思ったという記憶がある。 そんなこんなで早やそこから14年。いい年こいたオヤジになった私は、 どこかに行ってしまいたいという気力はすっかり失せて、 時間があれば家でゴロゴロしていたいと思う様になった。 私も大人になったものである。(劇画オバQのようだ。)


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