宇野友子 ビリー・ジョエルの“Just The Way You Are”におけるハーモニーとテクスチャー 発表概要


ポピュラーミュージックを聴くときに、ヴォーカル以外の音の特徴に興味を感じる場合がある。例えばそれは楽器やリズム、曲の雰囲気などである。1977年に発表されたビリー・ジョエルの“Just The Way You Are”は当時、他のポピュラーミュージックとは違う空気感があった。1970年代はカーペンターズやエルトン・ジョンなどのアダルトコンテンポラリー(以下AC)のアーティストらの活躍で始まった。そして時代の流れはモータウンのソウルミュージックが全盛となり、他方ロックミュージックの主流はプログレッシブロックからパンクロックへ移り変わった。1970年代後半からはディスコミュージックが台頭し始めていた。その中で突然ヒットチャートに踊り出たのがこの曲であった。この曲はACのバラードであるが、ソウルミュージックのように情熱的な歌唱でビートが効いたものでもなく、またロックミュージック色が濃いわけでもなかった。さらにソフトロック色の強かったACの分野においても爽やかな雰囲気を併せ持ち、当然ながらジョエルの他の作品と比較しても違う作風であった。
しかしながら、その特異性に関しては未だ研究されておらず、そのオリジナリティの解明には至っていない。他の曲との差異を探るべく分析していくと、フェンダーローズ・ピアノの音色と、電子音による高音部のペダルポイントが作り出す独特なハーモニーとテクスチャーに気がつく。高音部のペダルポイントは5分程の曲中2分以上に及び、それは特有な雰囲気を作り出す。この特徴は歌詞の内容とも連携する「不変」を示唆したものと推察される。

 本研究では、ビリー・ジョエルの“Just The Way You Are”のハーモニーとテクスチャーを分析し、他の楽曲と比較することによりその音楽的特徴を抽出することを目指す。その特徴がどのような効果や雰囲気を作り出しているか、歌詞との関連も含めて一つの解釈を試みたい。

 

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