遠藤信一 モーリス ラヴェル《水の戯れ》の分析 発表概要

モーリス ラヴェルの作風の特徴として、古い様式を用いたことがあげられる。≪古風なメヌエット(1899年)≫≪ソナチネ(1903年~1905年)≫≪クープランの墓(1914年~1917年)≫等があげられる。しかし、そこで使われる和声は斬新である。先にあげた曲は勿論のことだが、≪鏡(1905年)≫などに見られる、海や鳥たちの様々な表情をリアルな表現や、≪高雅で感傷的なワルツ(1911年)≫で聴ける斬新な響きは和声がその立役者となっている。つまり和声もラヴェルの作風の一つの特徴としてあげられる。

それではそれらの特徴を具体的に見るために、今回はラヴェルが1901年25~26歳の時に作曲した≪水の戯れ≫を取り上げ、楽曲分析することとした。分析は和声とゆれの観点から行った。まず、曲全てに渡って詳細に和声分析した。さらに、分析した和声を大きく見ることで全体構造を明らかにした。その結果、シンプルな低音進行と、低音よりも上に置かれた和音や旋律などに組み込まれた高次の付加音や非和声音が生み出す複雑な響き、軸和音を基にしたゆれの効果、さらにそのゆれの応用である半ずれのゆれなどの和声の特徴、全体構造はラヴェル自身述べているソナタ形式ではあるが、工夫が凝らされた第2主題の構造などが明らかになった。

 

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