発表3要旨: 今野哲也 「島岡譲の理論に基づく”We are the Champions”の分析

――QUEENにおける「ゆれ」と「かげり」――」

 

 本発表は、イギリスのロックバンドQueenの”We are the Champions”(1977年、『世界に捧ぐ』収録)

を対象として、島岡譲(1926- )が提唱する理論(「島岡理論」)を用いながら、その音楽的内容を読み

解くことを目的とする。  ”We are the Champions”は、リード・ボーカル、ピアノ担当のF.マーキュリー

(Freddie Mercury 1946-1991)の作である。パンク・ロック全盛時代を背景に、よりシンプルで印象的

なメロディを目指して作られた楽曲と言われているが、現在ではスポーツ・イヴェントでは欠かせない

楽曲となっている。しかし、その音楽的内容を精査すると、クラシック音楽にも匹敵する非凡な創意が

見出される。とくに、楽曲の核とも言える第29小節(第69小節、第86小節)で、”We are the Champions”

の歌詞が繰り返される部分には、「クリスタル和音」を見出すことも出来る。また、それに続く第30~33

小節(第70~73小節、第87~90小節)部分にも、F-dur → B-dur → Es-dur(正2度下行)の巧妙な転

調が見出される。  表面的な印象とは裏腹に、こうした精密な音作りが成されている点こそが、この楽

曲の魅力の本質であることを述べ、発表の結論とする。

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