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無限懲罰房 あとがき 【TEXT TOP】

2006年5月17日よりmixi日記にて不定期連載を始め8月23日に完結した短編小説『無限懲罰房』は、
私が高校時代に執筆したショートショート作品『地中の大男』のアレンジ版として創作された。

当初に書き上げた『地中の大男』の舞台設定は侍の時代の山村で、村を支える柱を揺さぶり地震を起こして村人を苦しめる大男を
通りすがりの武者修行中の侍が退治するという昔話の色合いが強い作品だった(大男の設定は、私が幼少の頃に読んだ
『地震と火山の不思議』という本の中に紹介されていた「古代の人々が考えていた地震の原因」の一つをそのまま引用した)。
『無限懲罰房』のような設定にアレンジされたのは、同作の執筆を開始する数日前に私が見た「昔は刑務所だった下宿を訪問する」という夢を
何らかの形で記録したかった事による。第1〜2話で下宿の間取りや脇役であるはずの弾き語り少年の描写が詳しいのは、
その夢があまりにも強烈な印象であった事を表している。

高校時代の作品と最近見た夢の融合によって創作された本作には、日本国内のショートショート第一人者である
星新一と芥川龍之介の影響が色濃く出ている。 多くのショートショート作家がそうであるかと思うが、私の場合同ジャンルの肝である
「意外な結末」をまず考え出し、そこからその結末へ辿り着くべく物語の導入・情景描写・過程といった「肉付け」を
体裁良く練り上げ文面化していくというニュアンスで執筆を行うが、確固たる結末が出来上がっていれば肉付け作業は即興的に行う事が多い。

『無限懲罰房』は結果的に当初の私の構想以上に多くの肉付けがなされた作品だが、
物語の結末と登場人物の設定以外は全て所謂ぶっつけ本番で書かれたものである。即興的文体と言えば6月2日に掲載した『恐るべき文明』などは
『無限懲罰房』よりもストレートで星新一の影響がモロに現れた作品だが、これとは違う手法で執筆した『灰』(未発表作品)は
『平家物語』等の軍記物に倣い文体の様式美を重視した古典文学に近い作品である。『灰』はいつかmixi日記で連載を始めると思うので楽しみにされたい。

因みに現在はもう一つの作品を某所で掲載している。どこに載せているのかはここでは敢えて書かないが、機会があったら探してみるのも良いだろう。

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