Chuck BerryのキャリアはLittle Richard、Fats Domino等の黒人ロック&ロールの先駆者達と同様、リズム&ブルースのミュージシャンとして始まった。
ジャズ・ギタリストのCharlie ChristianやCarl Hogan (リズム&ブルース・アーティストのLouis Jordanのバンド、Tympany
Fiveのギタリスト)はChuckに影響を与えたが、とりわけ大きな影響を与えたのはブルース・マンのMuddy WatersとHowlin'
Wolfである。
Chuckは1950年代の有名なブルース・レーベルのChessでもレコーディングし、ブルース・ミュージシャンを起用した。
ベーシストのWillie Dixon、ドラマーのFred BelowとOdie Payne, Jr、ピアニストのJohnnie JohnsonとLafayette
Leakeといった面々は、Chuckのレコーディングに数多く参加している。
そして、そういったレコーディングの大半はChicagoで行なわれた。
1960年代にロック&ロールの偶像となった頃にはChuckはピュア・ブルースからは離れたが、それでも彼の音楽にはブルースが流れていた。
Chuckはロック&ロールの開拓者としてElvisと同様に重要な人物だがその理由はいささか異なる。
Chuckはロック&ロールの最初の偉大な作詞家の1人であり、彼のギタースタイルは、ロックのリフのトレードマークの1つとなった。
そのうちの1つ、"Johnny B. Goode"で聴くことが出来る足をくねりながら奏でられるブギウギ調のリフは、多くのロックギタリストの基本的なレパートリーとなった。
Chuckはリズム&ブルース、カントリー、スウィング、ブルースといった音楽を取り込んだ。
このことが彼をロック&ロール初期も重要なギター・スタイリストにしたのである。
St. Louisで生まれ育ったChuckはギターに興味を持っていた。
地方のジャズ・ギタリストのIra Harrisを先生として、Chuckは4弦テナー・ギターの基本的な演奏を学んだ。
しかし、1950年までには、彼は6弦のエレクトリック・ギターに持ち替えていた。
2年後、ChuckはSt. Louis clubsとプロ契約を結び、音楽活動を開始した。
1952年の大晦日には、彼はSir John's Trioと一緒に演奏している。
グループはピアニストのJohnnie Johnsonに率いられ、ドラマーのEddie Hardyもいた。
Chuckはカントリーの要素をthe Sir Johnのトリオ・サウンドに持ち込んだ。
しかし、同時に彼はいくつかのMuddy Watersの曲を演奏させた。
結果として、(音楽史上ではその功績は認められないものの)Chuckによるブルースとカントリーの融合は最終的にSir Johnのトリオを基本的なロック&ロールバンドの形にした。
ChuckのMuddy Watersとの関連はこれで終わらなかった。
1955年にChuckは、Chicagoに旅し、Muddyと会い、どこでレコーディングをすべきかを尋ねた。
MuddyはChuckに、Chess RecordsのLeonard Chessのところが良いと勧めた。
Chuckはこの助言を取り入れ、数週間後、Johnson、Willie Dixon、ドラマーのJasper Thomasと共に、カントリー風味のブルース曲
"Ida Red" (後に"Maybellene"となった)や"Wee Wee Hours."を録音した。
そのレコードは1955年のR&BチャートのNo.1ヒット、ポップ・チャートでも5位のヒットとなった。
ChessレーベルはMuddy WatersやLittle Walterといったミュージシャンによる商業的成功に喜んでいたが、彼等がアピール出来るのは主にブルースあるいは、リズム&ブルース・ファンに限られていた。
しかし、Chuckが加わったことにより、Chessレーベルはより多くの聴衆にアピール出来るようになった。
1956年の終わりにはChuckはChessの他のどのミュージシャンよりも多くレコードを売った。
白人のティーンエイジャー達がこぞって彼のサウンドとレコードを支持し、ポップ・チャートに送り込んだからである。
Chuckのチャート上での成功は50年代を通じて続いた。
Chuckは1956年〜1958年にかけてヒットを量産し、その多くはロックのスタンダード・ナンバーとなった。
"Roll Over Beethoven,"、"School Day,"、"Rock & Roll Music,"、"Sweet Little
Sixteen,"、"Reelin' and Rockin',"、"Little Queenie,"等がそれで、典型的なロック&ロール・ソングとなった。
"Johnny B. Goode,"はまさに彼のいくつかある初期の傑作の1つに数えることが出来る。
これ等の曲は、Rock, Rock, RockやMister Rock & Roll、おびただしい国を超えてのツアーとして残ると同時にChuckをメジャー・スターに伸し上げた。
ロックの流行やスタイルも変化していたが、Chuckは、彼が1950年代に作り上げたブルース色溢れるロック&ロールの古典を何度も演奏し続けた。
時折起こした法律との諍いは、彼のキャリアを助けることは無かったが、彼はいつでも、こうした事件から復活し、ロックに影響を与えた先駆者としての地位を守った。
彼のトレード・マークである2つの弦を弾くギター・リフと見覚えのあるダック・ウォーク(彼独特のかがんだ歩き方)は彼の定番となった。
1985年にはブルースの殿堂入り、そして翌年1986年にはロック&ロールの殿堂入りしたChuckは自伝を書いた。
1987年に発売された"Chuck Berry: The Autobiography"がそれである。
同年、Chuckはロック・ドキュメンタリーの"Hail! Hail!
Rock 'n' Roll"に出演し、これも発売された。
St.LouisのFox Theatreで撮影されたこのフイルムには、Rolling Stonesのギタリスト・Keith RichardsやBruce
Springsteenといった大物もゲスト出演した。
Chuckは今でも、頻繁に公演を続けている。
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