Theo Wanne

テオ ウォン

Parvati Vintified #7

(Ballad Song)

(FunkySong)

Sxophone Mouthpiece HeavenのTheo氏がオリジナルマウスピースを発売した時はさすがにびっくりした。写真で見るかぎりの仕上げの良さ、それにビックリの値段で気になってしょうがないマウスピースだったのだが、あまり日本には入ってこないため、今まで吹くチャンスが無かった。Theo氏からビンテージマウスピースを買っていたトッププロたちも一斉にこのマウスピースを試しているようだ。筆者の敬愛するヤン・ガルバレク氏も含めて。

現時点で三種類のモデルとウッド製がラインナップされていて、もっともハイバッフルで鋭い音の「KALI」。ミディアムでオールラウンドの「AMMA」、もっともダークな「PARVATI」と別れている。各モデルは別個に記載するが、全モデルを通じての雑感を記しておきたいと思う。

Theo氏のWEBサイトの文章を見る限りビンテージマウスピース(特にオットリンク)の復刻というイメージが強いが、必ずしも100%ビンテージのコピーという訳でもないようだ。全体のデザインもリンクの4スターのようなショートシャンクがベリーオールドな感じだし、60年代、70年代・・・とどんどん簡素化されるシャンクのデザインも立体的で手間がかかっている。最大の特徴は独特なリガチャーだが、凄くオールドな感じにも、先進的な感じにもどちらにも見える。全体にまとまったネオクラシックなデザインで凄くカッコよく、質感そのものが高いので、非常に所有欲をそそられるマウスピースだ。

各モデルを通じて音色は太く、ボリュームが大きく出るが、下品な程のフルパワーというより、リンク的な豪快ながらも品の良さを兼ね備えていると思う。効率が良いぶんハスキーさやダークさはビンテージリンク程では無く、「リンクの代わり」を求める人には若干方向性が違うように感じられる。ビンテージ特有の「息のヌケ」や「微妙なコントロール」などは十分再現されていて、吹いていて本当に気持ちがいい。重ねて言うが「味」を最優先する人には万難を排してビンテージのリンクを選ばれた方が良いと思う。

ガーデラはデュコフのラインを極めて究極のマウスピースに到達したのだが、テオ氏のマウスピースはやはりリンクを追求して現代の最高のマウスピースを造り上げたのだと思う。Theoで最もハイバッフルの「KALI」はほとんどガーデラの「STUDIO」並のバッフルなのだが、ガーデラが「軽快」「キレ」「スピード感」を優先してるとすれば、「KALI」はそれよりも、「太く」「エネルギッシュ」で「豪快」なマウスピースだ。このサウンドは近年のヤンガルバレクのアルバムで聞くことができる、鋭くも優しいサウンドである。

唯一心配なのはガーデラでもあったように、このクオリティがいつまで持続できるのか?ということである。詳しい内状は知らないが、クオリティを保ちながら、さらに研究を重ねていただきたいと願うばかりである。なお、今の所ラインナップはテナーのみである。

Aug/2008


まず最初に、、、

筆者の勝手なイメージでは「オットリンク吹きが自分の愛用するビンテージリンクのサブとして、又はリンクの代わりに使うマウスピースとして同等のクオリティと同じ音色を持つ」というのがテオウォンだったのだが、いい意味で裏切られた感がある。フュージョンやロックでもイケる「キレ」を持っていたからだ。

テオウォンのマウスピースはほとんどのモデルを吹いてみたのだが、最もテオらしいバランスなのは"AMMA"モデルのように感じられた。しかし、筆者としてはVintifiedという独特な仕上げの色合いと、ダークな音色が気になって、Parvati-Vintifiedを入手して、長期で使用してみることにした。筆者の場合楽器の使用状況が色々なのだが、アコースティックでノーマイクのジャズ演奏と言うのが一番少ないような気がする。なので、一人で静かな試奏室でサウンドチェックするのはなかなかキビシイ状況ではある。毎回簡易的に録音して、冷静にチェックするのは欠かせない。それでもバンドで1〜2度使わないと本当の結果は出ないのだが・・・

それにしても、このTheoのParvatiは弱く吹いてもダークかつハスキーで同行者に聞いても「良い音」だったようだし、かなりブロウすれば割と硬く芯のある音になり、勢いのあるサウンドが得られるようだったので、パワープレイにも対応できるような気がしたのである。その上筆者のテナーはガーデラなので、ハイバッフルタイプのマウスピースでは全体的に硬い感じの音になってしまうようだ。ハードに吹いた時に出る硬めの音は、素直に息が通るためにガーデラの楽器本体が良く鳴っているためかもしれない。良いバランスで面白いと思う。全体的なサウンドは都会的というのか、ラーセンのような泥臭さは無く、かといってバンドレンやセルマーのような大人しい感じでもなく、パワフルなオットリンクを若干シャープにしたような感じの音だ。

独特なVintifiedという真っ黒な仕上げは、塗装でもメッキでもなく、金属表面を化学的に腐食、炭化させたような感じで、「遺跡から発掘された真鍮製品」のような趣だ。嗅ぐとかすかに火薬のようなニオイがする。どういう加工なのだろう?音色は間違い無くダークに、サスティンが極端にカットされた響きになっている。ノーラッカーの楽器のような反応だ。

リガチャーが独特なデザインで面白いものだが、位置を変更するには、六角レンチを使用して所定の穴の位置にセットするしかない。微妙な位置にセットできないとか、即座に変更できないとか問題もあるかも知れないが、筆者的には位置は一度決めれば動かさないので、全然構わない。ロートンやシュガルは同じような形状でスライドできるリガチャーを持っている。ちなみに「一番後ろの穴」にセットするとプレートがリードを半分くらいしか押さえれない特殊な状態になる、が、取り説には「ここの穴はデクスターゴードンのファン専用」と書いてあり、かなり笑える。プレートが取り替えできるようになっているので、反応、音色の変化が楽しめるようになっている。Vintifiedのプレートが付属しているが、鳴り易く、音色もマイルドでなかなか良い。

現在リンクなどを使われている方で、フランソワルイのリガチャーの方は別売でフランソワルイのリガチャーに対応したネジとプレートのセットを売っているので、プレートをTheoの物に変えるだけでもかなり良い反応になる。これらはそう高額でも無いので、試されても面白いかと思う。

コントロール性は非常に良く、スピード、息圧の急な変化にも素早く対応してくれる。音程ももちろん取り易し、フラジオ域の安定性も素晴らしい。気難しい面はあまりないので、安定感を求める人には最適、逆にアバレや味を求める人にはインパクトは少ないかも知れない。

Theo氏マウスピースの中では最もダークかつジャズ向けなモデルであるが、筆者はそれほどダークには感じない。それはパワーが入った時の反応がシャープな感じがするからなのだろうが、

このマウスピースのキャッチフレーズを考えるとするならば、「シャープなビンテージリンク」にするか「非常にジャジーなガーデラ」にするか悩めるところだ。

現在の価格はほぼ10万に届こうかと言う値段で、ビンテージリンクは大方10万を超えているので、理解できない金額ではないが、それにしても高い。(素材的には真鍮であり、純銀などではない)

過剰な包装もどうか?と思う。高級感がある、、のかもしれないが、付属のマウスピースケースもソフトケースやパックケースを愛用する筆者にはかさばって使いにくい。ポンゾールのプラケースの方が実用的には優れてると思うのだが・・・

Aug/2008

配管部品ではアリマセン!

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