ピリンジャーから「新しいコンセプト」である「古いサウンド」のマウスピースが登場した。形状はラバーのようだが、素材はハードラバーにブロンズその他の金属を混入した「ブロンザイト」という素材だそうだ。見た感じではすっかり変色した古い真鍮のマウスピースに見えるがそうではなくて、ピカピカの新品だ。重さもほとんどメタルのようにずっしりしたものだ。ルックス的にもビンテージルックで、古い楽器やビンテージ風仕上げのサックスに良くマッチする。
サウンドも期待に違わずすばらしく、リンクのメタルとラバーの中間くらいの非常にマイルドな音色ながら太く、リッチでパワーがあるサウンドだ。「パワーがある」というと誤解を招く恐れがあるのだが、サンプルを聞いてもらえば分かるように、「楽器の鳴り」を引き出してくれるような感じだろうか?半ラバー半メタルということなのだが、サウンド的にもメタルの力強さがあり、コントロールのしやすさはラバーの良さがある。もちろんフラジオの出しやすさは現代のマウスピースならではの利点がある。オットリンクの感じでジャズをやりたいのだが、ふつうのメタルでもNYメタルでも音がカタくて元気すぎて、ビンテージは入手困難だし、ラバーだとちょっとヌケとパワーと重さが物足りないナ、という人には非常にオススメである。反面吹く息がほとんど音にならず、悪く言えば効率が悪いので、テナーに慣れた人か、よほど楽器を鳴らし切るパワーがないと使いこなしは難しい。ただ、つくりも良く気難しいマウスピースではないので、ジャズを始めたい初心者が選んでも苦労はあるが、それもアリだとは思う。ふつうはリンクメタルから入って、もう少しビンテージな音を・・・・というのが自然な流れだろう。MK6などにはもちろん、カドソンとかリファレンスとかビンテージラインの最新楽器に付けて、オールドファッションを気取るのにもいいだろう。スモールコンボの歌伴なんかで、シブく歌とカラむといいだろうな・・・・と筆者なんかは思う。
イギリスのピリンジャーにしては?といっては失礼だが、非常にアメリカンサウンドを感じるし、最近のビンテージ風マウスピースの中では出色の出来なのは間違い無い。大人しく吹くのも雰囲気があるが、ゴリゴリジャズを吹くのも音質がウルサくないぶん思いっきり吹きまくれていい。筆者のガーデラだとちょっと楽器がカタめなので、NYリンクよりもこちらの方がマッチングが良いようだ。筆者がジャズ専門なら是非手に入れたいが、値段と登板機会を考えると非常にキビシイ価格帯(4万弱)ではある。
Sep/2007
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