SAXZ Tom Ejiri

(Tenor)

サクゼト トムエジリモデル(テナー)

with BGM (Slow)

with BGM (Fast)

筆者が長年メインで使用してきたテナー用マウスピースはポンゾールのM2+であった。パワフルなロックに対応するためにポンゾール氏から直接入手してから15年ほどずっとメインで使用してきた。

ポンゾールM2+の破壊力はすさまじく、かなり大音響のロックバンドでも音負けすることはなく、反面小さくサブトーンで吹くとジャズ的なニュアンスも出し易い。かなり気に入っていたマウスピースなのだが、唯一気になる部分としては高音部やフラジオ時の詰まりである。超ハイバッフルの宿命と半ばあきらめ、息の量を減らすなどして調節しながら演奏してはいたのだが、それもストレスと言えばストレスではあった。

SAXZさんに製作していただく事が決まった際に筆者が出した注文は、M2+の破壊力は維持したまま、高音の詰まりを無くし、ウタ物の合いの手でもジャジーなニュアンスを出し易いという物だった。オープニングは115にしてもらった。ラーセンの115は実寸で100とか105だったりするので、かなり広めの開きだが、ハイバッフルのマウスピースはある程度広めの方が良いと思う。

一般的なSAXZのテナーメタル(エンパイアなど)はデュコフやガーデラのようなステップバッフルである。それももちろんいいのだが、ポンゾールタイプはまっすぐなハイバッフルが奥でストンと直角に落ち込んでいるのが特徴である。ブリルハートのレベルエアにも似て個性的だ。

真鍮やステンレスの削り出しであるポンゾールと違い、SAXZはデュコフのような鋳物である。ボディは全体肉厚だが重量はそこまで重くはなっていない、金属組成の違いが出ているのだろう。素材の厚みや重量も音色や反応に影響を与えるので、この点でもポンゾールとは違った面を見せてくれる。全体的にダークなサウンドは素材や重量から得られる物だろう。フェイシングは長めになっていて、奏者のコントロール能力は要すものの音色変化などの表現の幅が広がっている。

肝心のバッフルは高さはM2+のものを維持しながら全体の長さは若干短くなっている。(と言っても1ミリから2ミリ程度だが)様々なバッフル形状が存在するガーデラでもここまで極端なものは無い。

チャンバーの容積はポンゾールより大きくなり、音色にファットさを増している。筆者的にはポンゾールの他にビンテージラーセンの120/2Mをファンクバンドで吹くのが楽しく、その豪快に吹けるイメージも欲しかったので狙い通りの仕上がりに非常に満足している。

早速バンドで使ってみた。。。。

まずはファンクやアッシド系の泥臭いバンドで使ってみた。従来はラーセンの120/2Mを主に使っていたが、SAXZはあんなにバッフルが高いにも関わらず結構ゴリゴリ吹けてしまう。もちろんフラジオは全然当たり易い。ピーキーで扱いにくいというような事は全くなく、ちょっと気合いが入りすぎてブロウしたとしても詰まりにくい。素晴らしい出来映えだ。

ホーンセクションでもパワフルでバッチリだし、唄物のカラミでも抜群にコントロールしやすい。

その後念願のロックバンドで使う事ができた。パワフルかつ繊細でエレクトリックで大音量な環境でも力負けしないいいサウンドで吹けた。ポンゾールよりも全体に太い音だ。

フルアコースティックのジャズでは使用した事は無いが、そこまでは求め過ぎという物だろう。中途半端な仕上がりになってしまっては元も子もない。

唯一気になる点はリードのマッチングか?当初筆者はバンドレンの青箱2番をメインリードに使っていた(一時期レジェールシグネチャーにハマっていたが、葦のフィーリングが恋しくなり、一番寿命が長そうな青箱に落ち着いたのだ)のだがリードミスが多発するようになってしまった。フェイシングや色々な部分を改良していただいたのだが、なかなか収まらない。

そこでリードをダダリオジャズセレクトに替えてみたところ嘘のように収まってしまった。ハイバッフルと青箱は相性が悪いというのが通説だが、アルトのSAXZではかなりいい感じだったので、テナーも行けると思い粘ってみたが、早くリードを替えるべきだったのだろう。

アルトがメインの筆者だけに息のスピードやくわえる力などの安定感が弱い部分があるのかもしれないが、このセッティングで解決する事ができて良かったと思う。

なお、マウスピース径が太いため(ポンゾールの真鍮タイプでなくアルミタイプの太さにに準ずる)合うリガチャーが少ない。筆者はSAXZさんでリング型の専用リガチャーを作っていただくまではフランソワルイ製のオットーリンク用を使用していた。リンク用のものなら若干キツいがだいたい行けると思う。

総評>

非常にクオリティが高く、筆者の理想とする吹奏感のマウスピースが完成したと思う。日本人のプロプレイヤーは楽器を鳴らし切るタイプが少ないので、日本製のハイバッフルマウスピースは概して、少ない息でバランス良くコントロールする事を念頭に作られた物が多い。逆に外国製の物は楽器を鳴らし切る事が多いプレイヤーを対象にしているため、異常に息を多く要するものが多い(少ない息でも鳴らしやすいガーデラは日本人にも好まれたが)。標準的日本人の体格であっても楽器をもっとフルパワーで鳴らしたいと思う御仁には是非試していただきたいマウスピースだ。もちろんパワーだけのバカ鳴りマウスピースにはなってないのでご心配なく。筆者が活動するバンドでは唄伴からファンクまでこれ一本で全部いけそうだ。

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