Gottsu Metal HL

Gottsuアルト メタル  HL

with BGM (Slow)

with BGM (Funk)

http://www.bamboomouthpiece.com/

竹マウスピースでおなじみのゴッツさんが、なんとビックリ!メタルのマウスピースを作ってしまった。。。。竹のマウスピースを愛用するマルタ氏が古くからメインで使用している古いデュコフのリフェイスなどをゴッツ氏に依頼していた所、その出来映えの良さに「どうせなら一から作ってみたら?」ということで、製作する運びになったらしい。・・・ということなので、つまりは筆者も大好きなデュコフタイプのマウスピースということになる。竹という独特の世界で新しい道を切り開いてきたゴッツ氏だけに「素材の重要性」をメタルであってもおろそかにはせず、こだわりにこだわって素材を吟味してから製作に望んでいる。「Tin alloy」という素材を使用(組成は企業秘密!)してるということだが、見る感じは柔らかく、シルバーではあるがやや鈍く光ってアルミ系の合金が近いのかな?と思われる。柔らかさ故にリガチャーなどのキズも入り易く、気にする人には欠点かもしれないが、音が良ければ筆者等は全く気にならない。’95年あたりのデュコフを下敷きにしてる様で、所謂「黒デュコフ」のような鉛系の合金ではない。

全体のフォルムもゴッツさんらしい独特さが随所に表れている。バレルはデュコフサイズにしてあり、基本的にデュコフのリガチャーが使えるが、割とバレル部は短めで終わり、シャンク部分が長めになっている。くわえる部分のビークも特徴的で、ARBのメタルなどに代表されるいわゆる「ダックビル」という薄めのくわえ心地だ。この辺はデュコフよりもかなり薄く感じるがARBほど極端ではない。最初は慣れを要するかもしれないが、筆者もすぐライブで使えるほど違和感はなかった。チャンバーは概ねデュコフのスーパーパワーチャンバー”D”に非常に近いもので、内部にはブラスト加工がされていてザラザラしている。加工精度は改めて言うまでもなく素晴らしい。筆者が気づかないノウハウも随所にちりばめられているとは思うが、プレイヤーとしてはサウンドと吹き心地がよければそれでいいと思っているので、細部は各人でチェックされたし。
 
さて、肝心のサウンドであるが、普段から古いデュコフのD8を愛用する筆者だけに、どれほどのサウンドなのか非常に気になっていた。ここ最近になって「デュコフの代用」となるマウスピースが次々と発売される流れがあり(プロ奏者が個人的にオーダーで作ることはこれまでもあったが)石森オリジナル、SAXZなど気になる方々も多いと思う。筆者の独断で言わせていただければ、どちらも素晴らしいマウスピースではあるがデュコフの代用を考える時に、真鍮や銀という素材では面白くないと思う。もちろん出来映えは素晴らしかったので、これらのマウスピースのレポートはまた別の機会にできれば、と思っている。

話をゴッツメタルに戻すと、さすがゴッツさんはフルパワーで吹いた時のハイバッフルの抜け方を良くご存知なのだと感じる。こういうハイバッフルのものはなんというかちょっと「鼻づまり感」みたいな音色が特徴であるので、あまりバカみたいに抜けて鳴りすぎるのも品がない。あくまで「息は気持ちよく抜けるが音はちょっと詰まる」のが良いと思う。サンボーンなどのハイバッフルの吹き方は高いバッフル部分に空気を力強く充満させないと雰囲気がでないのだが、一旦そこで溜まった空気を押し込む感じの音が非常にデュコフっぽい。筆者もいくつか最近のデュコフタイプのマウスピースを吹いてみた事があるが、多くはガーデラのようなタイプで、非常に作り良く、コントロール性抜群なのだが、どれもデュコフ特有の「荒さ」をはき違えてるように感じた。その点ゴッツは作りは真面目だが、サウンドには「デュコフで遊ぶ」という感覚があって非常に共感を覚えた。
”D8”より若干狭めの7番で試したからかもしれないが「暴れ馬」加減は黒デュコフに比べると若干大人しいと感じた。が、ピアニシモあたりのコントロール性を考えると差し引きしても余りあるだろう。ファンクはもちろん、早いビバップやバラードまでハイバッフルマウスピースとしては驚異の対応能力を見せる。筆者の好みではもう少し開きの大きな8番あたりでブリブリ鳴らしたいところだ。
繊細な作りのメタルマウスピースはフラジオが出しやすいものが多いが、力を入れすぎると詰まってしまいがちになる。その点このマウスピースはオールドデュコフやラーセンのように”ギューン”とパワフルな「歪み系」のフラジオが鳴ってくれる。やんちゃに吹いても「キマル」のがこのマウスピースの美点だと思う。

最近筆者はD8の変形などにより、特に高域のコントロールに苦労する状態に陥ってしまったが、一時的にARBを使用する事でしのいでいた。そこでこのゴッツメタルを試してみると、コントロール性はARBと同等以上の性能があり、音色はよりデュコフに近いと感じた。このマウスピースでサンボーン的に演奏すると、デュコフらしい音色はもちろん若干初期のレベルエア的な要素もあり非常に好ましい。筆者としては初期サンボーンのレベルエアサウンドも大好きなのである。

旧D8と比べて見ると、さすがにサブトーンを使用した低音やスローな曲では鉛系素材のもつ特色なのか旧D8は非常に味がある音色で、「さすがデュコフ」と思わせるものがあるのだが、ファンキーに吹く場面ではスムーズな分、逆にゴッツの方がキレ良く感じる面もある。しかしながら全体的なトーンも明るくなりすぎないのが非常に好印象。真鍮素材ではこうは行かなかったと思う。筆者のバンドではラバー的に吹く場面もあるのだが、リードミスなどの心配も無く、音色も柔らかくコントロールできて全く問題が無かった。サブトーンも十分に気持ちよく出せる。なおARBも非常に個性的で良いマウスピースではあるが、ステンレス特有の高周波や音の細さには好みもあり、メインで使うには至らなかった。

全体としては非常に良くできたマウスピースで、上級者はもちろん、初めて使うメタルとして選んでも問題ないと思う。試しに普段あまりサックスを吹かないどちらかというとクラシック系の音色のプレイヤーにも感想を聞いてみたが(普段はマイヤーを使用)吹きやすさはマイヤーよりスムーズだということで、筆者が聞いた所音色も、歯切れよい割に耳障りな部分はなく、リードミスも無く「普通に良い音」であった。このことからも、ジャンルやプレイヤーを選ばない、使いやすいマウスピースだと言える。
価格は安くはないが、近年の高価なハンドメイドマウスピースと比べればクォリティの割にはむしろ割安だとも言える。現行のデュコフも割と高価なので、ブランド名を気にしないならばゴッツの方が気持ちよく吹けると思うし、逆にデュコフを知らない方が先入観無しに選んでも失敗はしないと思う。ちなみにオープニングはデュコフと同じものを選んでも良いが、リードは少し固いものが必要になってくると思う。効率よく鳴るので、リードが柔らかく感じるからだ。ちなみに筆者はデュコフD8+ラヴォーズMSに対して、Gottsu7+ジャズセレ3Mと言う組み合わせを試している。

不満な点は特にないのだが、リガチャーをなるべく後ろに付けたい筆者としてはリガチャーがバレルからはみ出してしまうのだ。なんとか止まるので問題は無いのだが、ちょっとバレルを長くしていただきたかった、とちょっと思うが、竹マウスピースからのデザインの流れで、短めのバレルがゴッツさんのデザインアイデンティティなのかとも思ったりする。リガチャーは割と選ばないマウスピースで何を付けてもそれなりに鳴るが、現在はハリソンやロヴナーED2、バネリガチャなど色々試している。

最後に、デュコフタイプということで古いものとの比較ばかりを考えがちなのだが、先入観なしに楽しく吹ける素晴らしいメタルマウスピースで、プロやコレクターの様に状態のいいデュコフを探し求める余裕の無い筆者などはメインを変える時がやっときたのかなと思っている。

<2009年8月>

お問い合わせはhttp://www.bamboomouthpiece.com/まで

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name : Altoraneさん
saxophone : alto
career :10年以上

impression :

メタルのマッピと言えば、ディユコフは20年ほど前にサンボーンにはまってい
た頃#6だか#7だか購入したことがあります。ただ、自分はマッピの話以前に金属が
歯にあたることが非常に不快な人なのと、自分の安定しないアンブッシャーのおかげ
で、結局まともに吹き込むことができないままハードラバー派となり、手放してしま
いました。ところが最近Gottsuのハイバッフルがかなりの評判のようで、またGottsuセ
ピアトーンも愛用してその素晴らしさゆえ、試しにセピアトーンと同じFacingのAlto
Metal HL #6 をまたまた通販で購入したところ病み付きになり、メタル嫌いのくせ
に今や自分の定番となり、いざというときのためにサブで2本目まで購入していま
す。
今やラバーはセピアトーン メタルはHL と、全てGottsuになってしまいました。


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< Gottsu metal Mouthpiece> size(opening&facing・・・)

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sopranoalto tenor bari

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1年未満2〜5年5〜10年10年以上

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