このマウスピースも存在は数年前からしてはいたものの、日本国内での流通はほとんどなく、今回marmaduke saxophone accessoriesのデックスさんの御好意で初めて試奏できた。

外観はマイヤースタイルで、ごくシンプルな奇をてらったところのないデザインだ。ウインドウの開き方はメイヤーNYタイプよりも若干Meyer"G"よりのV字型に開いている。吹いてみると、これぞ「ミディアムチャンバー」というような良い意味で「コモる」というか、チャンバー内に一定の息が溜まる感覚が「ああマイヤーだなぁ」と感じさせる。

全体のボリュームも最近のマウスピースにしては大きくなく、マイヤーと同等で使いやすい。激しく吹いても下品に暴れる事の無いマウスピースだが、ある程度コントロールした音質で、ビバップなどをプレイするにはまさにうってつけだろう。サウブトーンを生かしてポールデスモンド風に吹くのも得意とする所だ。あまりワイドに表現する人よりも、コンパクトにサウンドをまとめたい人にオススメ。（小さい音という意味ではない！）

派手ではないが素晴らしいマウスピース。マイヤーよりもマイヤーらしい。アメリカ製にしては「アメリカン」な豪快な大ざっぱさは少なく、日本人のプレイヤーにもとても向いていると思う。出来栄もコントロール性能も音色も非常に好感度の高いマウスピースだ。地味だけれどもオールマイティで非常にオススメできるMPCだ。

なお、今回は試奏していないが、ハイバッフルのタイプもあるということだ。

＜2010年8月＞