ナゾの液体『Rock Steady』


ナゾの液体
オーディオの業界ではかなり有名所で、御存じの方も多くおられるであろう、大阪は日本橋の「逸品館」さん。一見筆者とは無関係のようにも見えるが、2007年のある日、小瓶に入った液体のサンプルを送って来ていただいた。レコードを聞く人には懐かしい、カートリッジの針クリーナーの瓶のようであるが、何やらナゾの液体が入っているようだ。なんでも「逸品館」さんはこの度楽器用のアクセサリーを開発、販売するブランドを立ち上げたとのこと。その第一段がこの「Rock Steady」だということだ。ちなみに「ロックスタディ」ではなくて「ロックステディ」なんですね。

中身はナニ?

原理としては、超微粒子の金属をオイルに溶かし込んで、それを管楽器の金属の接触面(たとえばネックなど)に塗布することで、接触面積を増やし、振動の伝達をスムーズにすると言うことだ。

オーディオアクセサリーで電気接点に微粒子の液体を塗布して、電気の流れをスムーズにするようなモノがあったと思うが、それを楽器用に応用したものでないかと筆者は考えた。

試してみる

とにかく半信半疑ながら、アルトマーク6のネックの部分に塗布してみる。接続して吹いてみると、音色そのものは何も変わらない。さらに大きく吹き込んでみると「おお!」手にビリビリと振動が伝わってくる。所謂楽器が「鳴る」感じだ。一番近い感じとしては、若干調整の狂った楽器がオーバーホールから上がって来た時の感じに近い。とりあえず効能はありそうだ。

調子に乗って、サムフックの接触面やら、リガチャーのネジ、ネックの締めネジなんかにも塗ってみると、どんどん振動がスムーズになっていく。コレはなかなかのモンです。フラセルがアメセルに近付いていく感じとでも言えるだろうか?

だれでも体感できるのか?

ウチのバンドのメンバーでサックスを吹くことができる女性に試してもらったが、(楽器はセルマーSA80アルト)全然効果を実感できてないみたいだった。彼女はクラシック系の発声で、そんなに大きな音で吹くわけではなく、そもそも「楽器の振動」を感じてはいないようなので、実感できないのもやむを得ないのだろう。ちなみに彼女はヘタクソではない。メロディも音程もそこそこ吹けるので、演奏スタイルによる感覚の違いがあるのかもしれない。

一般的にはリガチャーとかサムフックで振動の感覚の違いを実感できる人にはなんらかの効果は体感できるものと思う。

使いこなすには。

塗布する場所それぞれに振動の変化が表れるので、塗りまくれば良いと言うものでもないのだろう。楽器の鳴りはあくまで「バランス」が大事なのだから。デビットサンボーンの楽器調整も手掛ける、サックス奏者のジョンパーセル氏がボディにセロテープなんかを貼ってその楽器のベストの振動に持っていくというようなことをやっていたが、あそこまで行くととてもワタシらでは手に負えない。振動させ過ぎない部分が必要だったりするワケなので、コレはバランスを考えるのが難しい。

あまり難しいことを考えずに、筆者が考えるベストな使い道は、まだ新しく、鳴り切っていない楽器に使用して、「振動のクセをつける」。コレに限ります。通常よりも早く「鳴る楽器」に仕上がるのではないかな?と思う。逆にもう十分鳴っているオールドの楽器なんかには鳴り過ぎてキケンかもしれない。

結局オススか?
値段は0.5ccで¥1800と安くは無いし、ネックなどは抜き差しにより効果が薄れるので、半永久に使うと言うわけにはいかない。(サムフックの接点などはかなり持ちそうだが)、5ccで7500円の徳用タイプもあるので、コレくらいあれば随分と使えるとは思う。とにかく「元気よくバリバリ鳴らしたい」とか「新しい楽器を鳴らし込んでいく時間が少ない」とか言う人にはいいだろう。キチンと楽器を調整しない人や「楽器が手にビリビリくる」といったことに興味の無い人は試しても意味がないと思う。

http://www.b-air.jp/

2007/08/10

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