2005年08月08日
“イタリア公演総括”

ただいま!イタリアのツアーから帰ってきました。ミラノの空港を利用したのでテロとか若干心配だったのですが、なんとか無事でした。今年は例年になく海外での仕事が多かったのですが、いずれもちょっとそれぞれの事情でやや行くのは危険?!というケースでした。3月に韓国へ行ったときは竹島問題の真っ只中で、多くの邦人アーティストの公演がキャンセルになりました。有名どころではN響のソウル公演がなくなりましたし、僕と同じ事務所のハーモニカの人のリサイタルもキャンセルを余儀なくされました。幸いなことに僕たちのリサイタルは日韓友情年とのからみもあり、また朗読に韓国の俳優さんが参加したこともよかったのかな?5月に上海に行ったときは中国全土でデモの真っ最中。在留邦人の家族が一時帰国などの話も聞きましたし、現にいくつかの街でのコンサートは「アーティストの安全を保障できない」というオソロシイ理由でキャンセルになりました。ところが上海だけは諸事情で公演を取りやめるわけにはいかず、決行されてしまったのです。僕の心中としてはもうホテルに引きこもって過ごすしかない!といった感じだったのですが、現地は案外平静で、僕はピアノの藤満くんと買い物やら食事で外を出歩くこともできたのでした。

さて、イタリアの話ですが、ここ数年ヨーロッパの夏は暑く、ことにイタリアは死者が出るくらいの暑さだと聞いていて覚悟してでかけましたが、最初の演奏会の地、ヴェネト州のコネリアーノの辺りはまるで軽井沢をさらに湿度をなくしたような感じで、嬉しい誤算でした。ここの音楽祭はかなり大がかりなプロジェクトで多くの企業がスポンサーになっており、アーティストもチェロのブルネロが弾いたり、僕のリサイタルの次の日はチェンバロの巨匠レオンハルトがコンサートをしていました。ただ個々の会場やお客さんの数はこじんまりとしており、ちょっとひと安心!まあ普通に楽しく弾こうと思ったのですが、コンサートが始まって曲が進んでいくうちにじわじわと押し寄せる感覚がありました。それは一言でいうなら「この人たちは音楽をめちゃめちゃよく知っているぞ、下手すると僕より知っているんじゃないか?」という恐ろしいものでした。特にブラームスのときはお客さんからのなんというかオーラのようなものが僕たちの音楽に染み込んでくるような気がして、面白かったけれどとても疲れました。基本的には音楽を楽しむというお客さんなので助かりましたが、イタリアでこれなのだからドイツでブラームスを弾いたら大変だろうなと余計な想像をしてしまいましたよ。あと印象に残ったのはフォルテ・デ・マルミというピサの近くの町の教会でのリサイタルです。計4回のコンサートの最後ということもあり、余力を残さなくていいという気持ちもあったのか思い切り弾くことができて、前半のブラームスでもう立ち上がって拍手してくれる人がおり、最後のラフマニノフのあとはほぼ全員でのスタンディングオベーション、拍手が鳴り止まないなかでアンコール2曲弾かせてもらいました。本当にいい経験させてもらいました。日ごろもっともっと真摯に音楽に向き合っていかなきゃな(反省)。また来年来ない?というオファーももらい、まずは成功に終わったツアーでした。

イタリアでの暮らしで一番困ったのは、食生活でした。いや口に合わないとか、日本食が恋しくてとかの問題ではないのです。とにかく食べる時間がめちゃめちゃなんですから。なにしろ音楽会が始まるのが9時で終わると11時。そのあとレストランでドカーンとフルコースいくわけで、満腹でおなかはちきれそうなまま2時くらいにベッドに入るという健康診断前には絶対やめたほうがいい日々のおかげで4キロ増量に成功(!)しました。目下もとの人間に戻るべく努力したいのですが、、、こう暑いとついついビールがすすんでしまい。。。皆さまもご自愛ください。

line

バックナンバー目次

トップページ

close