2005年04月03日
“ご無沙汰更新ですみません”

先月20日から30日まで韓国に行っていました。以前のエッセイに書いた演劇の公演をソウルとプサンでやってきたのです。演劇に先立って、プレコンサートを世宗(セジョン)劇場でやりましたが、普通の形式でも面白くないし、なんといっても演劇のプレコンサートという役目があるので、3月に出した「ZAL」の内容をほぼカバーし、朗読部分を韓国公演の吹き替えの声優さんと若村麻由美さんにお願いし、ひとつの詩を韓国語で始めて、途中から日本語にするというちょっと実験的な試みもしてみました。そもそも韓国では今回のようなコラボレーションのコンサートはあまりないらしく、当初はなんだか先方も乗り気でなかったのですが、終演後はひとまず好評でほっとしました。演劇のスタッフの方たちが全面的に協力してくださり、朗読と音楽を拍手なしで続けるために照明を瞬時に切り替えたり、出演者の出入りの段取りや、細かい舞台配置など、短い時間でよくぞここまでという舞台になりました。日本であのスタッフを僕たちのコンサートにお願いしたくなりましたが、いったい費用がいくらかかるのか想像もつきません。それに加えて豪華な朗読陣ですから、本当に贅沢な思いをさせていただきました。

コンサートは一応僕の専門分野ですからまあ普通にこなせたのは当然として、みなさんがご興味があるのは「いったい役者ミヤケはどうだったの?」という部分でしょう。それによっては東京公演に行こうかなんて思っている方もいるかもしれません。今回、僕の役は主人公、ハ・ソンエ(若村麻由美さん)の恋人、鳥飼幸樹という若いチェリストです。幸いなことにセリフがなかったのですが、稽古が始まってみると、その分表情で表さなければいけない?という事実に気がつき、焦りました。しかも、この話自体が、フィクションではありますが、我が家に起こったことにかなり基づいているので、現実との切り離しが難しく、心身ともに疲れ果ててベッドに倒れこむ日々でした。しかしこれはお芝居なんだというのをなんとなく飲みこんでから、すこし楽になりましたが、それでもソウルの初日は足が前に出るかな?とすこし心配になるくらいの緊張でした。それにほとんどウォーミングアップなしで弾くので弾くのもやや怖いです。まあおかげさまで大きな事故はなかったですよ。今回の演劇出演の大きな目標はとにかく失敗をして笑いをとらないということだったので、その点は合格でした!演出家や俳優さんは大変やさしく素人の僕をフォローしてくださり、「役者さんじゃない人とやっている気がしない」とか「舞台に慣れてる」とかいろいろ言ってくれてありがたい限りですが、いやあプロの役者さんはすごいですよ。今回はセリフがだんだん役者さんの中に入っていくプロセスを見れて本当に面白かったです。そしてすこしでもよいものを創りたいという意欲と努力!音楽家の一流と同じです。コンサートを手伝ってくれたスタッフさんたちも本業はさらにすごかったですよ。全員が台本のみならずバックグラウンドまで理解しており、流れ作業でないひとつひとつの仕事ぶりには感心しました。まさに俳優さん、スタッフが一緒になってひとつの舞台を創りあげている実感があり、毎回心動かされ、涙がこぼれそうになります。美術も石井みつるさんという日本を代表する方が手がけており、ラストシーンは心奪われます。4月13日からいよいよ六本木の俳優座なので、これはまたしびれるでしょうね。日本のチェロ界のトップT先生やら、俳優さんが見に来るらしいので、いよいよ正念場です。

それにしてもあまりに僕がこの演劇の世界がいいというものですから、家内からはやんわりと警告されているのです。大げさですよね、今回に味を占めて僕がまた俳優をやるとでもいうのでしょうか?うーん、でもチェロも弾ける男優っていいかも!!?

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