2004年05月14日
“リサイタル再考”

ひさしぶりのエッセイです。ここのところ家に帰って倒れて眠る日々が続いておりました。 実はリサイタルもあと1ヶ月、準備が結構大変なのです。当HPにもリサイタルの告知をしなければ なのですが。。今夜から大阪へ行き来週は札幌、一度東京へ帰ってきて翌週小樽と結構ハードな 日々が待っています。

まあ愚痴はこれくらいにして、リサイタルのことを書いてみます。僕が初めてリサイタルをやったのは 24のとき、アメリカでした。桐朋なんていういっぱしの学校を卒業しておきながらソロリサイタルを やったことがなかったなんて、一般の方からみたら不思議な話です。大学にいる間の実技試験は、 協奏曲のどれかの楽章、あるいはバッハの組曲から1曲といった具合で、人前であまり長く弾いたことが なかったのです。短い曲を何ヶ月もかけて丁寧に仕上げて発表するスタイルです。

ちなみにアメリカの大学はどうかというと、早いうちからフルプログラムのリサイタルをやる必要が あります。僕なんかからすると「えー大丈夫なのかな?」というような技術レベルの子でも、 結構堂々と一晩の演奏会を弾ききったりして、本当に日本とは対照的ですね。どちらがいいとは 一概には言えないとは思いますが、せめて日本でも大学の卒業時にはリサイタルをやっても いいんじゃないかと思います。

日本でリサイタルをやったのは1990年が最初です。シューマンの幻想小曲集、ショスタコービッチ、 ドビュッシーのソナタ、バッハの組曲3番を神楽坂にある音楽の友ホールで弾きました。本番前に 栄養をつけなければと思い、カツどんセットを頼んで完食したまではよかったのですが、開演時間が 迫るにつれて緊張して胃腸が動かなくなり、ゲップをしながらステージに出て行った愚かな私でした。

コンサート直前の過ごし方というのは人によってまちまちで、シュタルケル先生は当日は朝からなにも 召し上がらないようですし、僕は食べすぎは別としておなかがすきすぎると身体が震えてきて、弓も 震えるような気がするので軽く食べるようにします。コーヒーがよくないといって絶対飲まない人は 結構多く、確かゲーリー・カー氏もマスタークラスでそんなことを言っていました。タバコも本番前に ボヤのようにもうもうとケムリを立てている人もいれば、コンサートが終わったあとの一服まで我慢の 人もいます。コンサートが終わったあとの一杯は本当に醍醐味ですが、実はここだけの話、本番前に 飲んじゃっている音楽家も見たことがあります。いずれにしてもコンサート、リサイタルは どんな大家、ベテランにとってもオソロシイものなのです。ステージ上で涼しい顔をして弾いている ように見えても、背中にじっとり冷や汗をかいているのです。

なにもそんなことを好き好んでやらなくてもいいのにね!

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