2004年04月17日
“撮影秘話”

いよいよリサイタルのチラシも出来上がり、6月18日の当日が近づいてきました。印刷された チラシを見てようやく「ああ、本当に演奏会をやるんだな」と実感します。なにをのんびりしたことを、 と思うかもしれませんが、演奏家の気質ってそんなものですよ。気がついたらあと2ヶ月! ちょっと慌てています。

今回のチラシは撮影場所が横浜の赤レンガ倉庫、もちろんちゃんと許可をとっての撮影です。 人がいない時間に撮影するということで日曜日の朝8時に現地集合というスケジュールだったのですが、 いろいろ大変だったのですよ。まあ聞いてくださいな。

前日土曜日の夜に新潟で本番だった僕は音楽会が終わってすぐに車に乗り込み帰路に着きました。 およそ夜中の1時頃には家に帰って眠れるだろうと気合いをいれて運転をしていると、関越トンネルの 手前でなにやら標識が。。。よく見るとチェーン装着していない車はこの先走行禁止、一般道に降りろと 書いてある???それってもしかして僕のこと?!快晴の天気で浮かれて出かけてきた僕、うっかり チェーンを忘れてきたのです。雪なんて降っていないのに、と係員に抵抗してもまったくの無駄。 仕方なく一般道を苗場のスキー場を横目に見ながらそろそろ走り始めました。夜11時近いスキー場 近くの国道はカチンカチンに凍っており、まったく走行に問題がなかった高速道路に比べて危険度 100倍、地獄の雪上訓練が始まったのでした。不幸中の幸いは、その日運転していた フォルクスワーゲンのゴルフが滅法バランスがよく、ほとんど滑らなかったこと。さすがドイツは 雪国だけあって設計が違うな、と変な感心しながらの運転でした。しかし滑らないように低速ギアで 関越トンネルを越えて群馬県に入るまでの一般道雪上訓練走行は相当に時間がかかり、家にたどり 着いたのは外が明るくなってきた早朝でした。2時間弱横になってぼろぼろになりながら横浜へ 出かけたのです。こんな状態で写真をとったらゾンビかフランケンシュタインという顔にしか ならないよ!と不安になりながら現地に着きました。幸運なことにすばらしい快晴、問題は疲れで めげている僕の顔のみ。その顔色を見てか、僕の顔のアップはほとんどなしでした。でもそれが 結構成功して(?)雰囲気のいい写真が撮れたみたい。こういうのを怪我の功名というのか?

なんとか撮影セッションが終わり、僕の次のスケジュールはそこから数百メートルの場所にある ランドマークタワーでマネジメントの人と打ち合わせ。なにげなく車に乗り込みエンジンをかけて 走り出したわずか数十秒後、道の前に急に数人の男が飛び出してきました。

「わっ!なんだ?」

男たちに制止され、僕は停車しました。

「一体なんだ?」

よく見ると男たちは警察官で、止まった場所は派出所の前。中年のおじさん警官が妙に甘い声で、

「シートベルトしてくださいねー。」

えっ、まさか減点じゃないよね?

「今回は罰金はいりませんからね、点数が1点だけ減りますからね。」

ガーン、逆だよ、お金は払うから点数まけてよ!!

そんな勝手な願いがもちろん聞き入れられるはずもありません。このエッセイを読んでいるかたは ご存知ですよね、僕の免許が危機に瀕していることを。いよいよ大変なことになってきました。 今は毎日車に乗り込むたびに「右よし、左よーし、シートベルトOK」と路線バスの運転手さんのように 掛け声をかけています。

しかしよく考えてみると、今回の撮影が大変になっている諸悪の根源は僕が運転していることか? チェロを担いで電車であちらこちらに行く日々がもう目の前です。

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