2003年03月31日
“音楽家の実際(ちょっと宣伝?)”

突然なのですが、みなさんは紅白歌合戦なんてご覧になるのでしょうか?僕はほかのチャンネルと 並行して見るといった不真面目な視聴者なのですが。

昨年の紅白では、男性と女性それぞれクラシックの新人歌手が出場していました。 ジョン健ヌッツオさんと鈴木慶江さんです。二人とも今年になってから新しいCDの録音をして、 僕は両方とも演奏に参加させてもらいました。ヌッツオさんのアルバムではカッチーニの アヴェマリア、鈴木さんのアルバムでは白鳥で僕がソロを弾いていますので、興味のある方は 聴いてみてください。

さる26日に鈴木慶江さんのアルバムがリリースされたのですが、その前日にその発売記念の会が 青山学院の記念館であり、その中で3曲ほどミニコンサートがあるということで僕もチェロを弾きに でかけました。演奏者は鈴木さんと朝川朋之さんご夫妻、そして僕という小編成でした。 (話は脱線しますが、朝川さんは作曲家、アレンジャー、ハープ奏者、ピアニスト、とたくさんの 顔をもち、そのいずれもが超一流というスーパーマン。しかもおしゃれで小顔でかっこいいとくると、 チェロしか弾けない僕はどうすりゃいいのという感じです。)

「白鳥」は朝川さんのアレンジでハープとピアノをバックに、ソプラノとチェロが美女と野獣よろしく お互いにメロディーとオブリガートを交互にとりながらからんでいく構成で、鈴木慶江さんの声量に チェロ一本で挑めってか!とリハではやや気後れしてしまいました。本番前に客席を見ると、 いわゆる業界の関係者ばかり。ますます緊張気味でしたが、出番を待つ間に聴こえる彼女の歌の ひたむきさに心動かされ、ステージではとても集中して弾くことができました。

僕は緊張があまり外に出ないタイプらしく、「ぜんぜんあがんないね」とよく言われるのですが、 とんでもない、実際は死にそうになって弾いています。学生の頃は、プロの人は何事もなく音楽だけに 集中して演奏しているのに違いないと思っていましたが、とんでもない誤解で実際のところ、 自分をみてもあるいは周囲の音楽家をみても、みんな極度の緊張の中でギリギリの状態で弾いている のです。

数週間前にあるローカルな新聞の連載記事で、生のコンサートは完璧ではないのでCDには勝てない、 自分は音楽会には行かないなどと書いていた人がいましたが、その筆者は僕たちのコンサートに対する 感覚をまるで理解していないなと思いました。基本的に演奏は本当にその場でしか起きない 一種の奇跡のようなもので、プレイヤーとお客さんが一緒に創る一期一会の瞬間(変な日本語!) なのですが。。。偏見かもしれませんが、自称クラシックファンの人ほど、素直に音楽を共有して くれない人の割合が大きくなるような気がします。知識だけで音楽を聴くというか頭でっかちというか、 もっと自身の心や感性で受け止めてほしいものです。

僕のように感性ばかり先行してこころ動きすぎ、アップダウンありすぎ、好き嫌い多すぎの 三重苦というのもいかがなものか?ですが。。。。。

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