2003年01月08日
“失敗談”

今回は以前にお約束した失敗談を少し書いてみます。なにせ面白いことと当事者の恥は 背中合わせですので、どこまで公にしてよいか判断に苦しむところです。

まずは僕自身の失敗談が当たり障りがないかな?僕の場合、一番目立つのが忘れ物ですね。 とにかくいろいろ忘れてしまうのです。そんなこと言ってもチェロを忘れたことはないでしょうって? 音楽会に行くのに忘れたことは幸いありませんが、居酒屋さんに置いてきたことはありますね。 燕尾服、ワイシャツ、黒靴、靴下、弱音器、蝶ネクタイ、楽譜、とひととおり痛い目に あっていますが、一番困ったのが弓を忘れたときでした。

もう今から20年くらい前、僕が学生のときに有名なテナー歌手K林K男さん (ほとんど言ってますね)の伴奏を弦楽四重奏でする仕事がありました。 確かメンバーは、ヴァイオリンが今クリーブランドシンフォニーで弾いている橋爪さんと 新日フィルのコンマスの崔くん、ヴィオラが東フィルの首席の金子なおちゃんという 今考えるとなかなか豪華な顔ぶれでした。会場が神奈川県のどこか少し遠い場所だったのです。 その日会場に着いてリハーサルのために楽器のケースを開けると、なんと普段2本入っている弓が 両方ともないのです。血の気が引きましたね。「な、なんで、こんなことが。。」 とすぐに昨晩すこし酔っ払って壁に釘を打ち、そこに弓をぶらさげて楽器やさんのようだと 自分で悦に入っていたのを思い出しました。本当に馬鹿です。 しかし取りに帰るのにも時間がありません。ヴィオラのなおちゃんに

「ねえ悪いんだけれど弓一本貸してくれない?」

と恐る恐る聞くと、「えーっ」と相当驚かれましたが何とかヴィオラの弓を借りることができました。

その弓のメーカーは、頑丈で有名なU木さんの手によるもので、 僕はチェロもなんとか弾くことができるのではと思ったのです。 実際そのヴィオラの弓は大した剛弓で、なんとか四重奏はばれずにこなしていきましたが、 その日、運が悪いことにチェロのソロの曲が一曲あったのです。 K林さんが自分は歌いたくないとおっしゃったその曲はシューベルトのアベマリア。(なるほど!?) そのソロを緊張した僕はヘロヘロの音で弾いてしまったのでした。

K林さんからその後仕事をもらったことはありません。

つい昨年久しぶりになおちゃんに会って、

「今、何の弓を使っているの?」

となにげなく尋ねたら、

「三宅くんが弾いたことある弓よ!」

と即座に少し冷たく言われてしまいました。三宅進くん反省が足りません。

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