2002年09月29日
“付属品;テールピース”

楽器の付属品というと何だかオマケのような感じで、大したものには思えないかも知れませんが、 ところがどっこいチェロの音に関係するものも多いのです。 駒、魂柱の材質は言うまでもなくチェロのサウンドに大きく関係しますが、 テールピース、テールガット、エンドピンなどもそれぞれ重要な役割を果たしています。

テールピースは僕が使ったことがあるのは、一番標準的なプラスチック、 黒檀、つげ、ローズウッド、鉄、さらにチタンのものまで試したことがあります。 一概には言えませんが、経験上からその材質の重さ、そして硬さが音に大きく 影響を与えるように思います。前々回書いたように僕の楽器も以前は頻繁に変わっていたので、 同じ条件で比べたわけではないのですが、それぞれの材質の特徴を述べますと、 プラスチックは比較的安定してどのような楽器にも対応するように感じます。 黒檀はどうしても重くなるので、音も重厚な感じになりやすいです。 つげは本当によい材料のものならいいですが、軽いのはよいとして、 妙にやわらかいものが多く、結果として倍音が少なくなるように思います。 ローズウッドは音がしゃきっとしていて、僕の現在の楽器にはこれが合っているように思います。 鉄はやや音がきんきんするように思いますが、ヴィオラのバシュメットなどがつけていますね。

余談ですがチタンのテールピースでは痛い目にあったことがあります。 チタンのものに付け替えて直後、たしか尾鷲にフルートトリオの演奏会で 出かけたときだと思うのですが、演奏会当日早めに現地入りしてホテルで練習をしていたところ、 いきなりバンというすごい音と共に弦とか駒が目の前から飛び散りました(やや大げさ)。 チタンの強さに耐えかねて、テールガットが切れてしまったのです。 一瞬なにがおきたかわかりませんでしたが、はっと我にかえり、これは大変なことになったぞ、 とにかくあと数時間でなんとか直さなければと、とりあえず懇意にしている東京の楽器やさんに 電話をしたのです。

「もしもしチェロの三宅ですけど、テールガットが切れて大変なことになってるんだけれど。。。」

「ああ、そうですか。じゃあとりあえず来て下さい。」

「いやいや今名古屋から3時間くらい南下してきたところにいるんだけれど、 ここら辺に楽器やさんいないかな?」

「はははは(笑)。ハンガーでも伸ばしてつないどいてよ。じゃあね。ガチャン。」

と今だから言えるけれど、泣きそうな状況に追い込まれてしまいました。 皆さん、尾鷲という土地に行かれた方はわかりますが、典型的な小さな漁師さんの町で お店なんて数軒しかないのです。僕はチタンを深く恨んだのでした。

そのあとの顛末はというと、ホールの横に奇跡的にホームセンターがあり、 僕はそこに駆け込んでピアノ線とペンチを買い、本番ぎりぎり前になんとかチェロの音が 出るようになったのでした。

後日くだんの楽器やさんに別の用で電話したところ、僕のトラブルの数日後に山本裕康くんの チタンテールピースにも同じ悲劇が起き、製造元から申し訳ないといって、 強化したテールガットを3本ずつ送ってきたので取りに来て下さいなどと言っておりましたが、 個人的にチタンはもう怖くてつかえないなーと思っています。

付属品の話なんだか長くなりましたね。次回に続くです。 

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