音楽用語について

Start:2001/04/24


MML
Music Macro Languageの略。文字で楽譜を作るというもの。例えば「cde」とだけ書いて、ある種のソフトで「演奏」を指示すると「ドレミ」と鳴る。ソフトによっては「ドレミ」と書いてそのままドレミが鳴るものもある。もちろん、音符の長さ、強さ、楽器の指定なども指定できる。MMLの文法をある程度覚えると、単なるノートに思いついたフレーズを書き殴りすることも可能となり、作曲に非常に有用である。MMLには色々な種類があるけど、http://www.text2music.com/を見ればほとんどすべてが紹介されているだろう。
SMF
Standard MIDI Filesの略。標準MIDIファイルと訳し、そのまんまの意味。MIDI経由で演奏するための楽譜データと思っておけばいい。わざわざ「標準」とついていることから、標準でないものもある。上のMMLにしても今となってはMIDI機器を制御するから、MIDIファイルの一種だし、その他RCPとかいろいろある。後述のシーケンサにおいても、それ独自のファイル形式がある。そういう中で、このSMFにしておけば大抵の人は読んだり書き直したりできるということである。
コンパイラ
コンパイラを和訳すると、「翻訳するもの」である。MML→SMFコンパイラだったら、MMLをSMFに変えることである。「変換」と訳してもいいこともしばしばあるが、コンパイラの場合は、全く同一内容のままで変換するのではなく、何かしらの情報を加えたり、逆に減じたりすることが多い。
シーケンサ
シーケンスという言葉があり、これのもともとの意味は「繰り返し」というものである。この場合は、曲のフレーズを指す。昔は、8音とか16音という非常に短いフレーズを何度も何度も延々と繰り返すような曲が多数あり、その部分をシーケンサという機械でやらせていた(その当時のシーケンサは多くの音を記憶することができなかった)。これが転じて、今ではシーケンサのことを「自動演奏装置」と定義付けている。また、その装置も今ではソフトウェア化していることは多くの人が知るところである。
WAVE
音声ファイルのこと。カセットテープやMDなどと同じく「録音したもの,言い換えれば音そのもの」である。上記のSMFと混同する人がまれにいるが、SMFは「楽譜データ」すなわち五線譜と同じようなものである。五線譜には音が入っていないが、五線譜を使って演奏すれば音がなり、WAVEとして録音ができる。そんな関係である。
SMF→WAVEレンダラー
要はSMFからWAVEを作るソフトなのだが、SMFやWAVEのところで触れたようにSMFには楽譜データが無いので、楽器の音がないと音を作るのが不可能である。従って、何らかの形でそれを用意する必要がある。多くの人はパソコン以外に別の音源を購入して、そこから音を出すようにし、これをパソコン側の録音ソフトで録音してWAVEを作るだろう。しかし、これだと3分の曲だと作成に3分かかり、10分の曲だと作成に10分かかるので面倒くさい。それに対してレンダラーは、パソコン側に「楽器の音」を全部用意しておき、変換のコマンドを実行するとまたたくまにWAVEを生成してしまう。10分の曲でも数秒でできることさえある。ただし、その「楽器の音」なるものが重要であり、これを集めることが高音質音楽への道となる。
ちなみにレンダー(render)を辞書で弾くと、「〜にする」とか「〜翻訳する」とか「〜演奏する」などの訳があり、上記のコンパイラ(コンパイル)とあんまり意味が変わらないと思うが、なぜかSMF→WAVEのときは「レンダラー」である。日本ではあんまり使われていない言葉で、「レンダラー」と仮名書きして使っている人も現時点では少ないだろう。
モジュール(module)
MODとも言う。というか、ほとんどの人がMODと言う。非MIDI音楽制作の一つであり、一つのファイルの中に楽譜データと音色の両方が入っているのが特徴。ファイルサイズはSMFとMP3の中間となることがほとんどである。欧州を中心に昔から流行しており、低コスト高グルーブなテクノミュージック作りには欠かせないものとなっている。なお、モジュールを制作するソフトをトラッカー(Tracker)と言い、Fast Tracker, Impules Tracker, Modplug Trackerなどが代表的なものとして挙げられる。再生はモジュール専用のプレーヤーもあるが、Winampのような一部のMP3プレーヤーを使うこともできる。
Sound Font
Emu社(Creative Media社)が提唱している音色波形ライブラリのフォーマットの一つである。上記2社のサウンドカードであれば、カード内部にロードすることができ、カードのハードウェア音色として使える。これらのカードがなくても、パソコンのRAMに置いて音を鳴らせるソフトも存在する。なお、ライブラリの意味については後述する。
(音色波形の)ライブラリ
いわゆるWAVEは一つのファイルに一つの音しかないが、ライブラリは一つのファイルの中にいくつもの波形を包含させており、指示(楽器名および音程)に応じて指定のものを読み出し、その音程通りの周波数で発音する仕組みになっている。例えばGMライブラリと呼ばれるものはGMの楽器音色とドラム音色がすべて入っている。なお、一つの楽器に一つの音色では周波数を変えてもすべての音程に対応できないため、複数の波形をもっている。超高級なライブラリであれば、ピアノの波形を88種類用意するであろう。しかし、これだとファイルサイズが巨大になるので、大抵のものは一つの波形でいくつかの音程を担うように設計されている。また、この設計がそのライブラリの総合的音質につながることは言うまでもない。

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