PAとは何か!?

音に携わる裏方のことをPAと言いますが、ではPAとは何だ?ときかれることがあります。PAとはPublicAddressの略称であり、意味は大衆拡声問いいます。拡声とは読んで字のごとく音を広げる・・・声を広く聞かせることです。ライブなどで見たことはないでしょうか?会場のど真ん中の一番いい席にどかっと置かれた機材、会場中に引きずり回された太いケーブル類、そしてステージの両サイドに置かれているスピーカーの山、ステージ上においてあるスピーカーとマイク、そしてそれらをつないでいる大量のケーブル。これらを用意し、扱う人たちのことをPAと呼びます。ほかにも音響さんと呼んだり(私はPAより音響と言う言葉をよく使いますが)もします。音を広げる意味では同じですので。音を響かせるのと広げるのとはちょっと違うかもしれませんが同じでしょう?大概マイクとコンソールとスピーカーがあればPAです。家庭でスピーカーをいじる人もいますよね?見方によったらそれですらPAと言えるのです。ただし、会場でのPAの場合はミスが許されないのです。PublicAddressと最初に言いましたが音響をやる限りその心はPublicAssistお客さんのためのAssistantと考えたほうがいいのです。そのままだと聞きにくいライブの生音を聴きやすくするためにでかいスピーカーから音を出す。そういう仕事なのです。

2004/02/20PA班所属Y.K

 

まずは音について
 音とは振動です。音を発する物の振動が空気を伝わって耳に届き鼓膜をふるえさせて、人間が音として感じます。

音の性質
 速さ・・・気温15℃で約340m/秒です。気温が高くなれば速くなり、気温が下がれば遅くなります。時速にすれば1200km/秒ですが、音というのは意外と遅いものでちょっと広い会場のPAなどでは結構苦労します。ちなみにマッハ1(Mark1)は音速と同じ340m/秒です。

音の三要素

 音の高さ・・・振動数です。1秒間に何回振動するかが周波数です。振動数が少ないほど低い音で多いほど高い音が出ます。人間が聞き分けれる音の範囲は20Hz〜20kHzです。世の中の音響機器のほとんどがこの範囲の音を扱えるようになってます。音源のフォーマットもこの範囲を目安に扱っておりますが、いくつかの例外(MP3など)もあるようです。

音の大きさ・・・音の大きさを表す単位にはいくつかあります。
@音圧レベル・単位は「dB(デシベル)」です。これは音の振動による空気の気圧の変化の波です。0dBは人の聞くことができる最低の音圧を基準としています。人間の聞くことので きる音圧レベルは0dB〜130dBです。たいていの家庭用アンプの場合−XdBから+XdBの間を0.2dB位づつ変動させるタイプでしょう。1dBを1と考えた場合2dBは10、3dBは100といった計算になります。倍数の大きさが大きいのでたいていは0.1〜2くらいの幅で調節できるボリュームがついています。(この倍率についてはLOGの計算式が必要となるためここでは詳しい計算や説明は控えさせていただきます。覚えていても電気など専門職のもの以外・・・いや専門職でも無意味なことですのでご了承ください。)
Aラウドネスレベル・単位は「フォーン」です。人の耳には同じ音圧でも周波数によって聞こえる大きさは違います。そこで1kHzの純音と比べて同じ大きさに聞こえるレベルを計り、1kHzの音圧レベルの数値で示したものがこれです。

音の色(音色)・・・波形の形です。同じ音の高さでも音の聞こえ方が違います。この事です。たとえば同じドの音でもピアノとオルガンでは違います。もうひとつ大切なのはエンベロープ音の鳴り始めから鳴り終わりまでの音量の変化です。たとえばオルガンは鳴り始めから鳴り終わりまで同じ音量をキープします。しかしピアノの場合は鳴り始めから終わるまでにだんだんと音が小さくなります。

次にPAのしくみについての説明です。

1.音を拾う
    (マイキング&LineInput)

 音の入り口には大きく分けて「音をマイクなどを使い取る方法(音取り系)」と「再生機などからケーブルを使い直接入力する方法(再生計)」の2つです。
 @音取り系
  この方法では歌やスピーチなどの人の声や楽器の音マイクやDI(ダイレクトボックス)で取り、電気信号に変えます。
 A再生系
  録音素材(CD・テープ・MD・サンプラーなど)を再生させ、出力段より出てくる電気信号をケーブルを通しコンソールへ入 力します。方法は家庭用と同じです。パソコンを使ってる人ならわかると思いますが、音を出すために外部のスピーカーにつなげるのと同じです。そのスピーカーとPCの間がミキサーなどのコンソールに変わるだけです。

2.音を混ぜる・音質を調節する
    (Mixing&Equalizing)

 PA機材の中心になる機械、ミキサー(正式にはMixingConsole)を使います。ミキサーにはたいていの卓は3バンドイコライザーがついているのでこれを使って音質補正をかけたりもします。音を混ぜるのでミキサーといいます。
 このミキサーを使いただ単に音を混ぜるのではなく、音量のバランス(フェーダーでのボリューム調整)、音の位置(Panpotの調整)、音質などの調節(音質補正)、音への色づけなどを行います。音を聞く人たちが気持ちよくいい音で聞けるようにするところです。ついでにこの仕事をする人はミキサーさんと言わずにオペレーターと言います。実際に間違えてる人もいるので注意を。
 ミキサーはこれだけでこういう仕事をするのではなく、イコライザーやエフェクター等の機械を用途に応じて接続されます。主にメインミックスアウトにはグラフィックイコライザーまたはパラメトリックイコライザー、コンプレッサーをかけていきます。そしてボーカルには単独のコンプレッサーを、ドラムのタムとバスドラムにはゲートをかけ、バスドラムにはもう1つコンプレッサーを掛けます。そして最後にベースにコンプレッサーを掛けます。
 今あげたのはメインMixingConsoleのことです。次はMonitorMixingConsoleです。Monitorは演奏者に対する音響です。ですので客に聞かせる音を作るわけではありませんのでエフェクターなどはいりません。各チャンネルにイコライザーをきり音を作れば終わりです。
 
3.音を大きくする
    (Amplifier)

 音を大きくするのはアンプ(Amplifier)と呼ばれる機材です。アンプとは何かと言うのは皆さんわかるでしょう。ミキサーから出てきた音は電気信号です。電気信号を音に変えるのはコイルと磁石と言うことを皆さん知っていますよね?それではミキサーから出てきた信号をスピーカーにいれて鳴るのか。それは否です。ミキサーから出る信号は本当に微弱なものです。0.1Wあるかないかでしょう。それに対しライブなどで扱うSRスピーカーは1発1000Wを超えるようなもの。パワードスピーカー(メイヤーのMSL-4など)があればすぐ鳴らせますが、普通のスピーカーでは振動すらしないでしょう。ではどうするのか。増幅させてやるのです。振動波で出てきてるのであれば一度変換させないと増幅させることは無理ですが、電気信号で出てきてくれるのです。それならば昔であれば真空管、今ならばトランジスタやパワーICなどで増幅できます。その回路が組まれ、増幅率が高く出力が高いものが業務用で売られてるパワーアンプと言われるものです。これが微弱な音声信号を会場中に響き渡る振動波に変えてくれるのです。
 アンプ(正式にはパワーアンプリフャイアー)という物は基本的にスピーカーのサイズに合わせて選びます。大きい会場では大きな物を。特に野外では大きな物を。PA機器全体に言えることですが大は小を兼ねますね。買うときに選ぶコツですが、いくら出力が高く軽いからと言うのはあまりよくありません。軽いというのがネックです。軽い方がいいのはわかりますが、これに関しては別と言えます。アンプの増幅回路(内部の電子回路)自体に1000Wの出力を出せるほど増幅率はありません。ではなぜそこまでの高出力アンプができるのか、それは回路ではなくトランス(正式名称Transformer:変圧器)が高出力だからです。理屈はまたA4レポートウン十枚の長さになるのでここでは控えさせていただきますが、これが曲者です。軽くて高出力な物はできます。ただし安定性は保障できません。トランス自体が共鳴し鳴りだすのです。出力をMAXにしてアンプに耳を当てたら流している曲が聞こえるのです。その点重いトランスの場合はそういうことがなく安定しています。最近は軽くてもそう言う欠点が減ったいいものも出てきているようですが、この点だけは改善されきってないでしょう。安定したアンプを選ぶのであればトランスが重い、重量が重いアンプを選ぶのがコツだと考えております。

4.音を出す(スピーカー)

 電気信号を音の変えるところ、スピーカーです。
 これもアンプと同じように会場の大きさに合わせてください。
 スピーカにも種類があり、ワンボックスタイプ、マルチウェイ(セパレート)タイプがあります。モニタースピーカーにはワンボックスでフロア置きに向いたスピーカーを選びます。
 @ワンボックス
  いわゆる普通のスピーカー。1つですべての音域の音を鳴らすことができる。設置が簡単。大きい物から小さな物まで様々。たいていのUNIT配置は上からツイーター(もしくはホーンドライバー)、ウーファーの2WAY。ウーファーがダブルで入っていたり、ツイーターの次にミッドレンジドライバー(もしくはヴォーカルレンジドライバー?)、ウーファーの3WAYもある。配置自体はさまざま。会場や規模に従いUNIT自体も大きくなる。大きいもので46センチくらいまで。18インチを超えると単一のサブローとして作ったほうが早い。
 Aマルチウェイ(セパレート)
  高音・中音・低音の各成分を別々の箱のスピーカーで鳴らす。各スピーカーは高音用をツイーター(Tweeter)もしくはHornDriver、中音用をミッドレンジドライバー、低音用をウーファー(Woofer)もしくはサブロー(SubLow)と呼ぶ。会場の規模しだいではワンボックスの方がいいときもあるが大きい会場の場合は音の足りないスピーカーを増設できるだけすればいいこの方がいい。つめばその分大型化ができる。設営と撤去が大変。特に野外や大きな会場では低音が不足することが多いので、ワンボックスに低音用スピーカーを足して使うことが多い。例としてはメイヤーのMSL-4が3発に対し、SubLowに650Pを2発といったセット。私たちVODではPEAVEYのSP-4G×2に16inchのSubLowを2発使い低域補強を施している。
 Bモニター
  これはお客さんが聞くのではなく、歌や楽器を演奏している人が聞くためのスピーカー。
  モニターにはワンボックスのスピーカーを使うが、形が三角形で床においたとき斜め上に向いて音を出せるようになっている。形状自体は全部同じ。ただしボーカルだけ前に2本置きパラレル接続にするため、アンプの出力との計算が必要。12inchから15inchのウーファーが入り、HornTweeterが入った2WAYが多い。

 

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