柳ジョージとレイニー・ウッド

                   2005.4.23(土)  神奈川県民ホール


友人のダンナさんが行くはずだった柳ジョージとレイニーウッドですが、仕事で行けなくなったので、急遽masshが行くことになりました。
まるっきりタナボタよ〜ん。
Rockは好きだけど、ブルースはあまり聴きません。さぁどう感じたことやら。。



今夜は柳ジョージとレイニーウッド解散後24周年の、再結成メモリアルライブでした。
(←記念キーホルダー)
客層は40代以上が圧倒的です。
私なんて若いほうやん?
男が断然多く、女性も2割程度いました。
広い神奈川県民ホールなのに、立ち見もいました。大盛況です。

6時の開演予定だったんですが、6時には「もうじき始まりますので、ロビーにいるお客様は
お席にお着きください」とアナウンスがあるという、いたれりつくせりのサービス。
私、何回もライブに行ってるけど、こんなアナウンスがあるの初めて。
クラシックのコンサートでさえ、5分前にブザーが鳴り、規定の時間になるともう一度ブザーが鳴って客席の照明が落ちるというのに。

照明が落ちると、スクリーンに若かりし頃の彼らのスライド写真が映し出されました。
おおっ、柳ジョージはストラトキャスターだ!!
4種類くらいのスライド上映が終わって、幕が上がり、いよいよ始まりです。

オープニングは、まるっきりのブルース曲。
割と静かに始まりました。
「24年ぶりに1回こっきりのライブ」と本人が言ってました。
う〜ん、まさにメモリアルライブなのね。
知らない曲ばかりですが、3曲目は「Remenber the Night」だとわかりました。
後半は延々と3コードくらいで進行してわかりやすかったです。

柳ジョージの曲に触れたのはもちろん初めてなんですが、
かなりブルース入っていると思いました。
今まで私が見たライブで比較すると、ホール&オーツに近いかな。
サックスがあるし、ホール&オーツの初期の頃の、「サラ・スマイル」や「リッチ・ガール」に近いと思います。
彼らは、ブルーアイドソウルと呼ばれていたので、柳ジョージととレイニーウッドも、ブルースはもちろん、ソウル魂も入っているのでは。
後半に、スカも取り入れた音楽をやっていて、ブラックも入っているのを確認。やっぱり!

キーボードのきらびやかなサウンドに80年前後を感じました。
たとえると、10ccの「I'm not in Love」、Styxの「Babe」あたりの、ゴージャスな音です。
キーボードの音って、その時代のサウンドを如実に物語るとかねがね思っています。
70年代はオルガン(チャーチオルガン含む)の音で、80年代になると、きらびやかな音になり、テクノの電子音があり、
90年代になると、シンセ音が本物に近づき、オーケストレーションというか、シンフォニックになって。。というのが私の持論です。
柳ジョージは、ちょうどオルガンからきらびやかなサウンドに移行する時期にあったんだなと、キーボードを聴いて思いました。

ギターもいっぱい見て楽しみました。
柳ジョージは、黄金というか黄色いストラト持ってました。
1回ボトルネック奏法をしたんですが、どっぷりブルースをやってました。
ストラトのような攻撃的なギターを使用しながら、スライド多用のマイルドな音を繰り出してました。
もうひとりのギタリストである石井氏からは、反対にRockを感じました。
彼は、レスポールじゃないけれど、レスポールをひとまわり小ぶりにしてスイッチ類を撤廃した黒いギターを使用していました。
ネックはペグが1列に並んでいて、レスポールからは程遠いのですが。。
アンコールで1度だけレスポールを使ってました。
早弾きのパートは彼でした。
私が唯一最後まで知っていた「Weeping In The Rain」での、泣きのギターは彼によるものでした。
その後のギターソロは柳ジョージでしたが。。
「Weeping In The Rain」でのギターソロ、ものすごくいいよと思っていたんですが、柳ジョージでなくて石井氏によるものだったことにものすごく納得。彼ならあり得る。
だって、ブルースじゃないもん。

にしても彼らは、ブルースが多かったです。
横浜を題材にしたという、「フェンスの向こうで」(?)はちょっとPOPさも感じましたが、
シンプルなベースとドラムスを下地にギターとサックスで自由に奏でる曲が楽しかったです。

私はクラシックをRockの取り入れた曲が大好きで、ブルースがかったRockはそれの対岸にあると
思っているのですが、それなのに楽しんでいる自分を発見して驚きました。

途中、柳ジョージが退席して、レイニーウッズだけになったんですが、
キーボードの人が歌って同じようにブルースをやっちゃったり、
スカを取り入れたテンポのいい曲をやっちゃったり、
ベーシストが歌ってカントリー&ウェスタンをやったり(実際カウボーイハットをかぶり、皮のベストを着ていた)で、
基本にブルースがあるものの、多様性に富んでいるのがわかりました。
古い曲だと言っていたので、もしやレイニーウッドはもともと存在していて、
そこに柳ジョージが加わったのかもと推測しました。
なぜって、彼らは歌がうまいし、コーラスだってうまいし、演奏も上手で5人だけで完結していたんです。

でもね〜、柳ジョージがいた方が絶対いい。
レイニーウッドだけではマニアックに走るきらいがあるんです。
表現を変えると、柳ジョージには“華がある”ってことです。
MCもうまいし、観客にアピールするっていうか、大衆性があるというか。
親しみやすいのとは違うんですが、彼の声に人を惹きつける“何か”が存在しているのです。

最近、日本人のバンドのライブを見にいくので感じるんですが、
演奏だけなら社会人バンドでもうまい人はゴロゴロいます。
が、バンドを決定づけるのはボーカルです!!
ソツなくうまく歌うだけじゃなく、人の琴線に触れること、魂を揺さぶること、
理屈じゃなく、感情にアピールするかどうかなんです。
柳ジョージにはそれがあるっ!!
今夜は彼の歌ごころにやられました。

終盤に入ると、柳が小声で「さぁ行くぞぉ〜」と言い、
「Weeping In The Rain」が始まりました。
最前列のボブサップ並に体格のいい男性がすっくと立ち上がり、後ろを振り向いて後ろの人にも立つように促すと、1階席は全員総立ちに!!
その後の「Smile On Me」やいろいろ、そこからはずっと観客席は立ってました。
2階は、私の席は「危険のため立たないでください」とあったので立てなかったわぁ〜。
よく見えたので、立つ必要もなかったし。

アンコールはな、なんと「テネシーワルツ」でした。
でもこれ、4拍子のやっぱりブルースっぽくなってて、どこがワルツなんじゃい!状態でした。
最後だけパワフルなワルツになって締めくくってました。

1回引っ込み、2回目のアンコールがもろ「ブルース」でした。
ドラムス、ベースを基調に、サックスやギターがそれこそジャムセッションみたいに自由に飛び回っています。
アドリブでやっているんだろうなぁ〜。

そして、最後のアンコールです。
「今日はみなさんと同じ空気を吸って楽しんでこられました。感謝してます。ありがとう〜〜っ!!」
と言い、♪赤いキャンディー 新聞紙に包み・・・ みたいな歌詞の歌を歌いました。
客席が沸いたから、いつものラストソングなのか、代表曲なんでしょうね。

音が割れたりしたけど、音のバランスが良かったし、
照明がきれいだったりで、素晴らしいライブでした。
そういや、ミラーボールが降りてきて、照らし出していたっけなぁ〜。
柳ジョージが活躍した頃は、アラベスクとかのディスコミュージックもはやっていたっけと思い出してました。

そういや、クラスの男の子が大学入試で不合格になり、
雨も降ってきて、まさに「Weeping In The Rain」だったと言っていたっけ。

一口に24年といっても、さまざまなドラマがあったことでしょう。
でも会えば完璧にライブをこなす力量とチームワークの良さを感じずにはいられませんでした。
テレビカメラが正面と右と左に設置されていたから、テレビ番組かDVD化されるのかも知れません。