Sonata Arctica

Reckoning Night




フィンランドのメロディアス・スピード・メタルのソナタ・アークティカ4枚目の作品。
キーボーディストのミッコ・ハルキンが脱退し、ヘンリック・キンゲルバーグが加入している。
隠しトラックとして、『Jam』が12番目に収録されているが、これはただのお遊びトラックだ。スカスカの音に好き勝手に爪弾くギター。まぁ、ないよりあるだけ貴重かってな感じ。まぁ、Evil Masquradeの笑い袋のような笑い声が延々と続くボーナス・トラックよりもマシだが。。
いや、違うわ。これは大航海時代の音楽を再現したJAMで、当時の雰囲気のままに、くつろぎ、笑いあって演奏しているのだぁ〜!!

全体的によりシンフォニックになって、ストーリー性が表面に出ている。
もっとも、ジャケと詩が合っているのは、9曲目のWhite Pearl Black Oceansだけだが。。無理やり合わせると、その後の2曲も関連してくる。
ジャケの嵐の中の帆船、ブックレット内側の、まるで船乗りのようなメンバー写真(服装が普通なのがおかしい(^^))から察すると、舞台は15〜16世紀の大航海時代か。
Angraが12〜13世紀の十字軍遠征を取り上げ、Rhapsodyはいつものことだが、紀元前の古代(5〜15世紀の中世時代もちょっと)を取り上げたので、ここに欧州中世〜ルネッサンス3部作が完結した。(ホントか?)

3つを比べてしまうのはいささか乱暴だが、敢えて比較すると、まずSonata Arcticaは一番若い!!一番年長のボーカルのトニーでも28歳。ギタリストのヤニは23歳だ。
リズムが一番シンプルである。変リズムもあるのだが、だいたいテーマとなるリズムで突き進む。とは言っても、曲の始まりとメインの曲ではがらっと違っていたりするし、間奏部で変化することもある。他の一般的なRockバンドと比べると、やはりテクニカルだ。

1 Misplaced 今作もSonataは突っ走るぞぉ〜〜!!の意思表明をしている?
全面的に背景に流れるキーボードが、とってもSonataらしい。スケールが大きくなる。
2 Blended No More 私は以前から、トニー・カッコの歌い方は、デュラン・デュランのサイモン・ル・ポンに似ていると思っていた。それよりも似ているのが、ABCだったボーカリストだ。(知ってる人いるかな?)
両者とも大英帝国出身で、クィーンズ・イングリッシュというのか、大仰で鼻にかかった気取った発音をしている。
この曲の出だしで、早くも“鼻にかかる”歌声が聴ける。
ミディアム・テンポの、あまりクセのない曲。
3 Ain't Your Fairytale いかにもSonataらしい疾走曲。私はセカンドのSan Sebastianから入ったためか、疾走曲が彼らの基本だと思う。
4 Reconing Day, Reconing Night... インスト曲。
新加入のキーボードのヘンリックのクラシカルなセンスが光る。
重厚で沈痛でありながら、表情豊かである。
5 Don't Say A Word サビの“Mother always said "my son,...”が印象的な曲。繰り返されるフレーズも多く、親しみやすい。長くはないがテクニカルなヤニのギターソロが変化をつけていていい!トニーのシャウトが心を打つ!
ライブではノリノリになるだろう。
6 The Boy Who Wanted To Be Real Puppet この曲でヤニのギターソロは何に当てはまるか考えてみた。超絶早弾きではないし、泣きのギターでもない。適度に早く、適度にテクニカルである。
一定の水準は満たしているものの、コレといった個性が見当たらない。惜しい!
が、リフとかイントロでは印象的なフレーズを弾くと思う。
7 My Selene この曲だけ、トニーでなく、ギタリストのヤニ・リマタイネンの手による。
3曲目のAin't Your Fairytaleと同様、疾走曲だ。以前からのSonata色が一番色濃く表現されている。
Burrn!のインタビューで、トニーは「自分と違った曲つくりをしている」とあった。息継ぎを考えずに作ってあるらしい。注意して聴いてみると。。なぁ〜るほど、音の連続だぁ〜〜!!
8 Wildfire 高校の時の先生にナレーションをお願いしたらしい。
ヤニの重いリフにトニーの声がよく走っていて、重さの中に軽快さがある。
トミー・ポルティノのバスドラが強力だ。
9 White Pearl, Black Oceand... 8:47もの大曲。構成は複雑で、場面ごとに変化し、ロックオペラのようだ。
シンフォニックで壮大だ。
最後にアーメンで締めるのは、国民のほとんどがキリスト教徒のお国柄か?
10 Shamandalie ピアノとアコギを生かした、マイナー調の曲。
せつなく、力強く、心に染み入る。
11 Wrecking the Sphere ここでのヤニは、テクニカルなギターを聴かせてくれる。ハーモニクスがある。この2倍くらいの長さで弾いてくれたらなぁ〜。
ヘンリックのキーボードソロはまるでリチャード・アンダーソンだ。音色といい、フレーズといい、音の振るわせ方といい、そっくりだ。パクリはしないが。^^;

1〜8曲までは、従来のSonataと同じである。
9曲目からは、とってもプログレ的になる。
9曲目からの壮大な流れのまま、エンディングを迎える。
私にはそれが2部構成のように聴こえる。もともとプログレがかったメタルが好きな私には大歓迎だ。新加入のヘンリックの影響によるものだろう。


ただ、ギターソロがあまり聴かれないのが難点といえば難点だ。
これも、ボーカルのトニー・カッコがほとんどの作品を手がけているためだろう。いわば、Queenのブライアン・メイ状態。エドガイもボーカルのトビアス・サメットが作曲しているが、もっと作品主義だ。