九州3日目

そろそろみんな帰宅したくなってきた。
でも、今日は私がずっと行きたかった長崎に行ける!! 帰らせてなるものか。^^;

朝食を和風にしてみた。場所柄明太子が用意されていたからだ。
高級品ではなさそうだが、新鮮でおいしかった。わたしは2皿取り、さらにおかわりした。九州名物のさつま揚げと日向夏も忘れずに。
おかわりを取りに行っている間にコーヒーが運ばれたらしい。昨夜と同じエスプレッソ!!
ああ、誰かもらっておいてくれれば良かったのにぃ〜。コーヒーマシーンからのとは雲泥の差だ。


呼子の朝市

このツアーのタイトルともなっている「呼子の朝市」
別に行きたいワケじゃないけど、連れて行かれるからしょ〜がない。
そこは、漁港の近くにあるしょぼい商店街の店先で、いかの干したのとか魚介類、畑の野菜などを売るものだった。
発砲スチロールの箱の入れたのを、おばぁちゃんが椅子に座ってのんびりと売っている。
店の数は20〜30くらい。これならうちの近所で開かれる“荒神さま”の方がずっと規模が大きいし、人だっていっぱいいる。
ツアーの目玉となるイベントとはとても思えない。
けれど、ここが輪島の朝市と並ぶ“日本三大朝市”のひとつなのだ。朝市の連合会議もここで行われたらしい。う〜ん、よくわからないぞ、日本!!

ここで特筆すべきは、初めて見た魚介類だろう。
右の青紫色のカニは、わたりがにである。私は茹でられた赤いのしか知らない。
左の紫色のウニは、赤うにである。この辺では赤うにが取れるらしい。
ウニは鮮度が命というので、早速食べてみた。
おばちゃんがカチ割ると、山吹色のいつものウニが出てきた。海水もいっぱい含んで。
食べてみたが、おいしいというのか、それほどでもないというのか。。
確かにウニは新鮮で、とろっとしてる中に、しっかりとした歯ごたえというか感触があった。甘さもまずまず。けれど、海水に浸かっていたせいか、塩水の味が強くて、繊細な部分はよくわからなかった。
それより、生ぐささがわずかに感じられて、たくさんは食べられそうになかった。冷やせば大丈夫だったのか。しょうがやしょうゆがあれば、また違っていたと思う。
とはいえ、新鮮な取立ての魚介類を食べられた体験は楽しかった。これが旅の情緒というもんだ。
ここでは、一夜干のいかを購入!5枚で1000円は安い!!
(写真は色の違いはあれど、すべて赤うに。撮影すると言うと手に持たせてくれた)


長崎

ああ、長崎だぁ〜!!
ついに念願叶ってやってきたぞっ!!!
びいどろと異国情緒とカステラの街。

3時間の自由行動のうち、私はオランダ坂と大浦天主堂、そしてグラバー園へ行くことにした。
まず目指すはオランダ坂。カステラ屋さんが沿道にやけに多い。
レンガ造りの博物館もあり、古き良き時代を偲ばせる。
(左の写真。野口彌太郎美術館と書いてあった。リンク )
それによると、国指定重要文化財 旧長崎英国領事館だそうだ。
ほぉ〜、なにげなくあるのに、すごい!!


オランダ坂は、ちょっとした住宅街への入り口のような、どこでも転がっているシチュエーションで始まった。が、ここは長崎。ちょっと進むと坂がキツくなってきた。

旧アメリカ領事館である十二番館や、活水女子大の前を通ると、息が上がってきた。ツタのからまるレンガ造りの壁は優雅なのだが、肉体はちっとも優雅じゃないのだ。
(右の写真がオランダ坂の入り口 真ん中の写真が蔦のからまる壁))

一部美術館になっている東山手洋館群あたりは雰囲気があって、とてもいい。
前庭に出ると、遠くに海が見える。が、中華風の屋根も見える。「孔子廟」というちょっとした名所みたいだ。そばまで寄ると、中華な音楽が流されていて、自己主張が強かった。オレンジの屋根に赤い柱はかなり違和感があった。
(写真は東山手洋館群。後ろに長崎の住宅街が見える。右中央よりやや上部に見えるのは「孔子廟」の屋根)

この辺を進んでいたら、弘樹が「せっかく長崎ちゃんぽんの発祥の地で長崎ちゃんぽんを食べようとしたのに、おふくろは無視した。俺の言うことを聞いてくれなかった。」とうるさかった。
私は言われたのが全く記憶にない。
うわの空で聞いていたのだろうか?

が、オランダ坂を進むと、Uターンして元の場所に戻るコースを辿っているので、いくらでも修正はできた。
わかったよ、弘樹、長崎ちゃんぽんを食べよう!!
そこは、「四海楼」といい、4階建ての豪華な建物だった。リンク

1階が入り口でそこからエレベーターに乗って入る。
入り口におねぇさんがいて、15分待ちだと表示していた。15分かぁ〜。でもやめると弘樹に何言われるかわからないからなぁ〜。。ってことで、がんばって待ってみた。中で20人以上が待っていた。
20分くらい待ったらやっと席が空いた。窓際の海がよく見える席。人が待っている通路側で、待ってる人にじろじろ見られながら食べるのと違い、海を眺めながらだと、一味違うね。(^^)
トイレにはびっくり。扉が丸く、引き戸のように、回転させながら締めるのだ。手を洗う場所も、ちょろちょろと絶えず水が湧き水のように滴っている。トイレ自体が中華風なテーマパークのようだった。
(写真は「四海楼」の入り口。弘樹は満面の笑み)


注文したり食べたりで1時間かかってしまった。ああ、もったいない。
けれど、やや太目の噛み応えのある麺がおいしかった。イカやエビや野菜がたっぷり入っていて、栄養的に申し分ないと思った。
かつての主人が、中国人留学生のために安くて栄養がある食べ物を。。ということで考え出されたのが、この“ちゃんぽん”なのだそうだ。いまや965円もするが、バランスのいい食材を使っている点は評価できる。
が、これが発祥の地のちゃんぽんなら、“リンガーハット”は検討してるよ。麺が違うが味は似てるし、何よりも安い!!
(写真:これが発祥の地のちゃんぽんだっ!!)

わずか3時間しかない自由行動が、もう半分過ぎ去ってしまった。
でも、大浦天主堂とグラバー園は、どうしても行くぞっ!!


大浦天主堂


スペイン坂や、井の頭公園の入り口にも似た雰囲気のお土産やさん通りを通って、大浦天主堂へ入って行った。
お土産やさんの最終ポイントが大浦天主堂になっていて、わかりやすい。
いわば、浅草なら仲見世と同じ。洋風化しただけ。人形焼がカステラに、お守りがケータイストラップに、かんざしがびいどろに、カルメ焼きがソフトクリームに変わっただけの話。


白い石造りの大浦天主堂は、大きさはごく普通の古い教会だった。
日本にある天主堂では最古のものらしい。
内部は薄暗く、正面にきらびやかなイエス・キリストの十字架が掲げられていた。
左右の壁面には、絵がいっぱい飾られている。
イエスがユダの裏切りによって、処刑されることが決まり、十字架を自分で背負って運んでいくさま、十字架に縛り付けられてしまうさまが、時間を追って克明に描かれていた。
見ているだけで胸が痛くなってしまう。私の小学生の時の記憶では、「人間が犯した罪をすべてかぶって、みんなの身代わりとなって死んでいったイエス・キリスト」である。確かにここにいると、自分が犯した罪みたいなものを考えてしまう。自分が取るに足りないちっぽけなものに思える。
2000年もの長い間、人々に支えられてきた宗教は、何よりもその重みが違う。人間の基本的な部分、「いかにどう生きるべきか」についてしばし考えた。

別館に、大浦天主堂にもやってきたことのある神父さまの展示があった。
最後はアウシュビッツで絶命したが、その壮絶な生き方には絶句した。強い信念は感動を生む!
(昨夜“ジャンヌ・ダルク”を見、今十字軍の騎士のストーリーが主題のアングラの“Temple Of Shadows”を聴きながら書いてるので、多分に感化されています。^^;)


グラバー園

さあ、念願のグラバー園だ。長崎と言ったら、ここでしょう!!

中はかなり広い。緩やかな斜面に古い洋館が点在しているので、登りはエレベーターで一気に最高地点まで行ってしまう。
終着点には旧三菱第2ドッグハウスがあった。
2階のテラスからは、長崎港がよく見えた。前庭の池は西洋式の公園を思わせ、テーマパークのようだった。
毎日こんな美しい風景を眺めていたら、人生観が違ってくるよ〜〜。
(写真がそれ。日差しがさんさんと降り注いで、とっても暑かった)

続いて、旧ウォーカー住宅、旧リンガー住宅、旧オルト住宅と見て回った。
(右の写真が旧ウォーカー住宅)

旧ウォーカー住宅はとってもこじんまりとしていた。日本の平屋建ての住宅くらい。
リビングと寝室が二つある程度だった。
瓦葺きの屋根といい、洋館と言ってもかなり和風建築が入り込んでいた。特に部屋の広さが。狭いものは大きめの4畳半ってところだった。


続いて行ったのが、旧リンガー住宅。
ここにはオルゴールが展示されており、クラシックが5曲くらい聴ける。
私は思わずヴェルディの「アイーダ」にしてしまいました。(^^)
♪オオ〜、オオオオ〜オオ、オオオオオ、オーレ、オーレ、オーレ
気分が高揚してくるね。

その次が旧オルト住宅。
ここは少し広い。部屋数が6つくらいあった。調度品も風格がありどっしりしている。
洋館を眺めて感心したのは、どの部屋もベッドがあるのと同じように、ソファとテーブルのセットがあることだ。それとクローゼット程度しかないようだったが。
シンプルでありながら、くつろぎを第一に考えるってことだろう。
日本人の感覚だと、個人の部屋ならせいぜいロッキングチェアのような大きな椅子がひとつあればいいと思ってしまう。
ソファはリビングにあればいい。

家も良かったが、庭がもっと良かった。小さな噴水が涼をもたらし、木陰が爽やかさを運んでくれる。ほっとするね♪
(写真は庭のベンチで休む真紀)

さて、旧オルト住宅のあたりから、子供達が飽きだした。
こんな真夏の暑いさなかに、なぜ勾配のある坂道を登ったり下ったりしないといけないのか、古い洋館を見たって別に何とも思わない、古い洋館なら大学でいつも見てる、オレらの年齢では歴史的建造物の価値がわからない。。と言うのだ。
ついには、「こんな所、来たくなかった、おふくろに連れてかれたんだ!」とまで言う始末。
もぉ〜、楽しみにしていた場所に来たのに、そんなこと言わないでよとちょっとムカついたが、私につきあわせているのも事実だから、じっとガマン。
気を取り直し、「それなら、何をしたい?」と聞くと、
部活におみやげを買わなくてはならないから、入り口にあったお土産やさんをくまなく見たい と言った。
わかった、それじゃ先を急ごう。。と、最後のグラバー住宅を目指した。
それにしても、せっかくグラバー園に来たのに、お土産やさんかい。。。^^;

旧グラバー住宅は、クローバーの形をしている。
裏に使用人や奥さんのツルさんの部屋まであって、かなり広い。裏庭には馬小屋まであった。中は旧オルト住宅などと変わらないが、家族で暮らしていた痕跡というか、台所や食堂なども当時のままに復元してあって、興味深かった。
食事内容が、レストランのディナーのようで、さすが金持ちと思った。
(写真は旧グラバー住宅。

急がなくてはならないのに、各旧住宅の中ではみんなバラバラに行動する。グラバー住宅でもひとりひとりを拾い集め、確認してから先に進んだ。
もういいかげん、疲れるぞっ!!

最後の長崎伝統芸能館は、唯一近代的な建物で、冷房が効いていた。涼しい〜♪
おみやげや、ねぶたのような、紙で貼られた魚がたくさん展示してあった。
が、先を急ぐので、ここはふっとばし。
気がついたら、集合時間まであと15分に迫っていたのだ。

もういいや、この先はみんな自由だ。5分だけ余裕があるから、各自やりたいことをしといで。バスの中で集合しよう!!

で、私は福砂屋のカステラを買うために、バスの駐車場の近くの直売店へ向かった。5本お買い上げ。
トイレを済ませ、バスの前に来たら、5分前だった。子供達はどうしているか?姿が見当たらない。ちゃんと辿り着けただろうか??
電話をしたらもうバスの中だった。
う〜ん、結構しっかりしているな。



もう帰らなくちゃ

長崎からは高速道路で福岡空港まで直行した。
福岡空港では、最後の悪あがきのように、おみやげを買いまくった。明太子とおまんじゅうと。。
博多ラーメンを食べようと思ったが、まだ5時だったのでおなかがすかない。
仕方ないから、飛行機の中で食べられるようにと、パンを買い、軽食を食べることにした。


ふらっと見ると、やったっ!地ビールが置いてあるじゃない!!
即座にGET!です。
旅の終わりに来て、ようやく念願の地ビールに出会えました。
これで家に帰れる!!!!
(写真は地ビール『杉能舎』。あと『風来塔』だったかな、飛行機に関する名前のがありました
もしかして、この旅最高の笑顔??)

最後の方では、真紀は彼に会いたくて「早く帰りたい」の連発だったし、弘樹も家で好きなことをしたい様子だった。
やっぱり今回が最後の家族旅行かぁぁぁ〜〜〜。一抹の寂しさを感じたが、これが“巣立ち”っていうものなんだな。
その締めくくりとして、まぁまぁの家族旅行ができたから、あきらめがつくでしょと、自分を慰めていた。
家に帰れば、留守番をしてくれたダンナの面倒をみなくちゃならないし、洗濯物だってどっさり持ち帰る。
現実に引き戻されちゃうわぁ〜。



旅の終わりに

今はこんな旅行記になってしまったが、きっと「あの時、こんなことを思ったよね」と振り返って語り合えるようになれると信じている。その思いが、今回の旅行記を書く原動力となった。
いいことばかりでなく、イヤなことも包み隠さず書いたのはそのためだ。
総括すると、「楽しかった」「有意義だった」かな。


そう書く私だが、実は「これからは大手を振って友人と旅行に出かけられる!」と張り切っている。(^^)
旅行はやっぱり女同士よねっ!!!