九州1日目
なんで台風なんて来るの??
台風15号の影響を、何よりも心配していた。
ちょうど九州の西側を通り、韓国に上陸してから新潟あたりで日本に上陸というコースが予測されていた。
私たちが出発する日の未明では、福岡と韓国の中間点あたりに位置していた。
「大丈夫かなぁ。雨男がいるからなぁ〜。」
でも私は、これまでの旅行の傾向は、出発する日が一番天気が悪く、次第に回復して来ているので、そんなに心配はしなかった。
台風さえ通過すれば大丈夫だろう。その後は雨とか曇りの予報だったが、楽観的だった。
羽田について、ツアーのカウンターで受付を済ますと、隣りの「五島列島ツアー」は欠航だった。
北九州行きも欠航だった。
私たちは、幸い熊本行き!それに9時45分発の、遅めの時間帯である。
今のところ、出発するらしい。けれど、羽田に引き返したり、違う空港に着陸したりする可能性は残っているという。(条件つきという)
うううう、心配だぁ〜。どうか到着してくれっ!!!!
上空は静岡を過ぎるあたりから雲が増え、あとは雲しか見えないフライトだった。
息子の席は、おとなりがスチュワーデスさんという、天国の座席!!
スチュワーデスさんの中で一番美しい、モデルような人と息子の表情を見比べて、密かに笑っていた。
明らかに照れが見て取れた。だって、彼女は息子と反対向きに座ってるから、息子は彼女を意識してしまうものね。
熊本空港は、直前の大雨で先着便の2機が着陸できず、順に着陸をするために40分くらい上空で待たされた。
遅くなっちゃうのは残念だが、着陸できるんだから、これでもいいや!!!
熊本空港に着いた時は、雨はあがっていた。
小さい空港のおかげで、手荷物はすぐに出てきてくれた。
バスに乗り込むと、正式な添乗員さんがおらず、臨時の添乗員さんがいた。
福岡から来る添乗員さんは、電車が台風のためにストップ、ならばと高速バス乗り場に向かったら、これまた通行禁止になっていて、どうあがいたところで熊本へ到着するのは無理だったらしい。
う〜ん、よくわからないが、代理の人はソツなくこなしてくれたので、どうでもいいよ。(^^)
バスは、途中大雨に降られた中、阿蘇のすそ野を通過しながら高千穂へ向かった。
外輪山と内輪山の間を抜けていく。
植林した林以外は、だいたい草原で、高原のようだった。
所々に田んぼがあるが、林も散在しているために、田園地帯とはなっていない。
私の目からは、贅沢な土地活用法に見える。
子供達は、朝早かったせいか、バスの中で眠り始めた。ああ、あいつらはどこでもすぐに寝られていいな。
高千穂
子供の頃に見た、翠色が鮮やかな幽玄な渓谷の写真。。
それが高千穂峡のイメージだった。
深く切り立った谷に、ゆるやかな流れ。遠くに滝が見える。そこにボートが一隻。
まさに秘境のイメージだった。
堂ヶ島の“天窓洞”の、半ば洞窟のように、周りの俗化されたものから遮断された、神聖な場所だろうか?
さぁ、この目で確認し、存分に体感しよう!!
高千穂は、晴れていた。
遊歩道が完備されていた。30分ほど歩くと、例の場所に到達できるらしい。
それまでに、急流の合流地点や、流れが一番速い地点、幅が一番ある地点、橋が4重に重なっているのが見える地点などがあって、見どころ満載だった。
台風の通過のおかげで湧き水が増え、小さな滝をいくつも形成し、苔むした樹木を湿らせていた。
そして最後の最後で見た、有名な光景!!水が濁っていたものの、これぞ高千穂!!
ここまで歩いてきた甲斐があった。
私はすっかり満足していた。
こういう名所は、たいていが足を使わなければ見えない場所にある。
が、高千穂は違った。
遊歩道をそのまままっすぐに歩くと、段差もなく、すぐに釣堀とおぼしき場所に出た。
釣堀店のすぐ裏に高千穂峡があるような違和感。
だって、ここは険しい山の中でなく、平坦な土地だ。いわば、平坦な土地の一角の地盤が弱くて、そこだけ削られ、高千穂峡になった雰囲気だ。
そして、滝の水源はもしやと思ったら。。。
そうです、釣堀の排水だったんです。オ〜マイ・ガァァァ〜〜ッ!!
うちの方で頻繁に見られる、ドブ川に注ぎ込む下水――それをちょっとしゃれたものにすれば、高千穂峡の滝が完成するんです。う〜ん、見なければ良かった。。。。
さらに、もうちょっと歩くと、舗装された道が。。上から来ると、ほんの1〜2分で高千穂に来れちゃうんです。
霊峰らしく、いろんな神社仏閣があって、町全体が霊験あらたかで、ご利益がありそうなんですが、裏事情を見ちゃったようでなんだかなぁ〜。^^;
(写真 上左: 入ってすぐ見える、川の合流部分。水流が激しく、圧倒的な迫力
上右: 最近できた橋によって、橋が四重に重なって見える
下左: いわゆる高千穂峡。真名井の滝が優美さを際立たせる
下右: 仲むつまじい家族写真。この角度だと渓谷の幽玄さがよく表れる)
阿蘇草千里
高千穂は、晴れていたのと歩き回ったおかげで、すっかり汗をかいてしまった。
九州は暑いと言われ続けて覚悟してたので、こんなもんかと思っていた。
さて、次に到着したのが、阿蘇の高原である草千里。
見渡す限り緑の原っぱで、近くに池が二つ、遠くに三角の烏帽子岳を望み、馬が放牧されているから乗馬が楽しめるらしい。
らしいというのは、まったくの霧で全然見通しがきかなかったからだ。
それに、涼しい。いや、それを通り越して寒い!!
半袖じゃ間違いなく外へ出られない。
私たちは、お土産屋さんが4件くらい軒を連ねる駐車場へ連れて来られた。
その雰囲気がまるで昭和新山!!景色は一瞬見ただけで全景が把握できるけれど、ここで時間を取るからおみやげでもたっぷり見てくださいと言わんばかり。
事実、そこでは45分も時間をもらった。いらないのにぃぃぃ〜〜〜。
ヒマ潰しにおみやげばかり見ているのもなぁ〜ってことで、あまり人がいない草原に赴くことにした。
(写真は草千里の池。まだ池の全景が見える)
う〜〜〜っ、しゃぶい〜〜っ!!
でも、馬糞のごろごろしている中を歩き出すと、小さくて浅い池に出た。私たちは霧の流れによって対岸が見え隠れするのを楽しんでいた。
時折、近くの小高い丘が見え、山にいることを思い起こさせた。
集合の時間が気になり、バスへ戻ることにした。
えっ???帰りの道がわからない。。。。
さっきまで薄かった霧が濃くなり、たちまちあたりは白一色になっていたのだ。
うす明るい中で、うすぼんやりした光景。
明るいから、手元はよく見える。親子3人も見分けられる。が、2m先はもうわからない。どうしよう。。。。
(写真は草千里の池に注ぎ込む小川。霧の中ってなんかうれしくない??)
とその時、前方に4つの光が見えた。山の夜道に迷った時、麓に見える明かりにも似た、導きの光だ。
「こっちだ!」と、娘に光のありかを教えようとしたが、その時既に消失していた。
あんなにはっきりと見えていたのに、もう消えたなんて。私が見たのは幻だったのか??
とにかく、方向だけわかったから、まっすぐに進めば車道のどこかに出るはずと、突き進むことにした。
相変わらず、周囲は神秘的な異次元空間に包まれている。初めての体験だ。
こんな時は、EZナビウォークも役に立たない。地図にある道にいるわけじゃないからだ。
ちょっと不安な気持ちを抱えつつ、しばし異次元を楽しんだ。やけにハイになっていた。
歩き続けているうちに、まもなく車道に到達した。
その時になってようやく、4つの光はお土産やさんの屋根に取り付けられた照明だとわかった。
霧に囲まれることを想定して、草千里の方面に光を照らしていたのだろうと、今でも思う。
各自が勝手なことを言いつつ、集団行動をした今回の旅行だったが、この時ばかりは皆が同じ方向を向き、同じことを考えて歩いていたと思う。「まっすぐ歩きさえすれば、帰れるんだ!」と。
ここを過ぎたら、正規の添乗員さんが到着していた。
しきりに謝っていたが、私たちはちゃんとツアーを続けているからどうでもいい。
DJのような話方をするバスガイドさんの心地良い話を聞きながら、「やまなみ街道」を進んで宿泊先の別府を目指した。
この「やまなみ街道」は、山が波のように連なっているからつけられた名前だそうだ。
一般公募で決まったという。候補として「アベック街道」というのもあったそうだ。カップルが多く利用する意味の他に、阿蘇のア、別府のベと、地名を取って名づけようとしたらしい。(クは何だったかな)
そんなこんなで、別府を目指した。
(写真は阿蘇のすそ野で見た池。晴れてたら草千里もこんな感じだったのかな)